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KDDI、6万円台のスマートグラス「NrealLight」を12月1日発売、コンテンツを体験してきた

外出先で日常使いできる携帯性

 KDDIは、Nreal Ltd.(エンリアル)と共同開発したスマートグラス「NrealLight(エンリアルライト)」を、12月1日から発売する。対応する5Gスマートフォンと組み合わせて、XR技術を体験できる。事前予約は、11月11日午前10時から受け付ける。

 価格は6万9799円、auオンラインショップとKDDI直営店で取り扱う。また、同機と対応スマートフォンを購入したユーザーに1万Pontaポイントを進呈するキャンペーンを12月1日~2021年3月31日まで実施する。

本体

エンリアルライトは、スマートフォンをコントローラーとして使う

 エンリアルライトは、5G対応AndroidスマートフォンとUSB Type-Cケーブルで接続して使用するスマートグラス。

 コンピューティングデバイス分離型や一体型のスマートグラスと比較し、軽量化と小型化を実現している。また、本体のウデ(テンプル)部分は通常の眼鏡と同じように折り畳めるため、携帯性にも優れている。

 また、コンピューティング部分は、5Gスマートフォンを利用するため当然携帯でき、エンリアルライトと分解して持ち運べるので、「スマートグラス」というよりは、「スマートフォンのアクセサリー」として携帯できる利便性を備えている。

 なお、エンリアルライト自体は、これまでもauの5G関連イベントなどでプロモーションの一貫として使用されてきた。イベント時は、auカラーのオレンジで、ウデ(テンプル)部分にauのロゴがデザインされていた。今回コンシューマー向けに販売される本体は、グレーの単色でまとめられており、通常のサングラスのようなデザインに仕上がっている。

 エンリアルライトとスマートフォンをつなぐのは、USB Type-Cケーブルで、ウデ(テンプル)の先端の耳にかける部分から出ている。付属のパーツを組み合わせれば、メガネバンドのように使うことができ、さらにフィットさせられる。もっとも、重さは約106gと軽量なので、装着していてもずれ落ちることは少ない。

 製品には、本体のほか4種類のノーズパットが付属する。ユーザー自身がフィットするパットを選んで装着できる。

 また、エンリアルライトに度付きレンズを搭載することもできる。付属の矯正レンズフレームを、眼鏡店でレンズを入れてもらい、そのフレームをエンリアルライトに装着して搭載する。

 このほか、外の視界をシャットアウトできるVRカバーと、持ち運び時に便利な収納ケースが付属する。

製品セット
付属品、上からノーズパット、VRカバー、矯正レンズフレーム
エンリアルライトは、視界が完全に塞がれない。室内での移動やちょっと離席する程度であれば、グラスを装着したまま移動できそう

対応コンテンツ

既存のAndroidアプリを利用

 エンリアルライトは、接続するAndroidスマートフォンのアプリをそのまま利用できる。ただし、多くのAndroidアプリはスマートフォンの画面で操作することを前提に開発されているため、スマートグラス単体で操作できるアプリは少ない。

 エンリアルライトでは、既存のAndroidアプリをスマートグラスを通じて楽しめる「Nebula」機能を搭載。Nebula機能では、「ミラーリングモード」「MRモード」の2つのモードがある。

ミラーリングモード

 ミラーリングモードは、スマートフォンの画面をそのままスマートグラスに映し出す機能。

 たとえば、スマートフォンの画面で予め動画アプリなどで動画の再生画面を用意しておけば、エンリアルライトを通して動画を視聴できる。3m先にある100インチの画面から見ているような、没入感ある動画視聴体験ができる。

 スマートフォンの画面よりも大迫力で動画を楽しめるほか、エンリアルライトを付けた人にしか画面が見れないので、混雑した場所や車内でも利用できる。さらに、付属のカバーでエンリアルライトのレンズ部分を覆うと、外の視界をシャットアウトできるので、さらに没入感を高められる。

 エンリアルライト発売時点では、テラサやパラビ、FOD、YouTube、smash.のアプリをサポート。au 5Gの料金プラン「データMAX 5G テレビパック」でセットの動画配信サービスに対応しており、5Gエリアで高画質の動画をダウンロードしておけば、移動中でも大迫力の動画体験ができる。

 利用シーンとしては、家でソファーやベッドの上など場所を選ばずに大画面で映像を楽しんだり、新幹線や飛行機など長時間の移動中にプライベートで大迫力映像を楽しんだりといった使い方ができる。

MRモード

 MRモードでは、エンリアルライトの視界に仮想の画面が表示され、その画面でアプリを起動できる。

 画面の操作は、仮想画面にスマートフォンからレーザー光を当てるようにポインター操作を行い、スマートフォンの画面をタップすることで仮想画面にタップする仕組み。パソコンのポインターとクリックと同じような操作感で楽しめるため、初心者でも簡単に扱える。

 画面上には、最大3つのアプリを並べることができるため、たとえばYouTubeアプリで動画を見ながらChromeブラウザでブラウジングするといった使い方ができる。

 アプリの画面は、手元のスマートフォンで簡単に拡大縮小ができる。操作は、基本1つの指で操作できるので、テレビのリモコンのような感覚で操作できる。

専用アプリ AR会議「Spatial」

AR会議「Spatial」
空間イメージ

 エンリアルライト専用アプリとして、Spatial Systemsは、AR会議アプリ「Spatial」を開発している。エンリアルライトを通じて仮想の会議室を作成し、そこに出席者のアバターが登場し会議を開催できる。

 空間には、アバターのほか、付箋のように壁に貼り付けられるメモや画像などのコンテンツ、3Dモデルを設置できる。

 画面内の操作は、スマートフォンからレーザー光のようなものでポインター移動、タップでクリックなど直感的に操作できる。

 利用シーンとしては、日本と海外間でアパレルのデザイン会議で、3Dモデルを利用して試作品の展示などを行う。3Dモデルは拡大縮小のほか、近寄ることで3Dモデルの内側を見ることもできる。たとえば、かばんの3Dモデルであれば、かばんの外側と内側を見ることができる。

 会議人数は30人程度を想定している。

専用アプリ 「TTS・視界翻訳」

 ロゼッタは、エンリアルライト専用アプリ「TTS・視界翻訳」を開発している。

 同じ部屋にいるエンリアルライトユーザー同士の同時翻訳や、視界上の外国語をエンリアルライトを通じて翻訳できる。

 同時翻訳機能では、エンリアルライトを通じて仮想のトーク画面が登場。SNSのメッセージ機能のように、自分が喋った内容が右から、相手が喋った内容を翻訳したものが左側から吹き出しで出現する。

 視界翻訳機能は、視界上の外国語を日本語に翻訳して表示する。エンリアルライト上でターゲットスコープが登場し、照準をあわせた文章が翻訳されて表示される。

FEELCYCLE

 FEEL CONNECTIONは、同社のバイクエクササイズ「FEELCYCLE」のエンリアルライト向けサービスを開発している。

 通常の画面よりも大きな画面でインストラクターの指導を受けられるほか、360度の映像で、自身の周りにまるでほかのインストラクターとトレーニングしているかのような体験ができる。

実際のバイクマシーン。ユーザーはこれにまたがってエンリアルライトを装着してトレーニングする

デジタルヒューマン

 Quantimは、エンリアルライト向けに、3Dのデジタルヒューマンアプリを開発している。

 エンリアルライトを通した視界上に、リアルな3Dモデルのナビゲーターが登場。案内や簡単なコミュニケーションができる。

 3Dモデルは、MECサーバーでレンダリングしたものを利用している。ユーザーの位置情報をMECサーバーに送信し、レンダリングした映像を受信して映像を映し出すことで、ユーザーが移動してもほとんど遅延なくコンテンツを楽しめる。

対応スマートフォン

 エンリアルライト発売当初の対応機種は、auの5Gスマートフォン「Xperia 5 II」、「Galaxy Note20 Ultra 5G」の2機種。

 対応機種は今後も追加予定で、動作確認が完了次第順次追加していく。

 なお、KDDIによると過去の機種に関しては、4Gと5Gともに対応予定はなく、動作確認は今後発売する機種で実施していく。

Xperia 5 II SOG02
Galaxy Note20 Ultra 5G SCG06

販売チャネルと体験スポット

 エンリアルライトは、auオンラインショップとau直営22店舗で取り扱う。

au 直営店舗取扱い店

  • au SAPPORO(北海道・札幌)
  • au SENDAI(宮城・仙台)
  • au HONJOWASEDA(埼玉・本庄)
  • au KASHIWA(千葉・柏)
  • au OMIYA(埼玉・大宮)
  • au TOKOROZAWA(埼玉・所沢)
  • au UENO(東京・上野)
  • au IKEBUKURO(東京・池袋)
  • au SHINJUKU(東京・新宿)
  • au 渋谷スクランブルスクエア(東京・渋谷)
  • au SHIBUYA MODI(東京・渋谷)
  • au KICHIJOJI(東京・吉祥寺)
  • au TACHIKAWA(東京・立川)
  • au HACHIOJI(東京・八王子)
  • au みなとみらい(神奈川・横浜)
  • au NAGOYA(名古屋・栄)
  • au KYOTO(京都・四条河原町)
  • au OSAKA(大阪・梅田)
  • au ABENO(大阪・阿倍野)
  • au FUKUOKA(福岡・天神)
  • au HAKATA(福岡・博多)

 また、KDDIのコンセプトショップ「GINZA 456 Created by KDDI(GINZA 456)」やau直営取扱店で店頭展示する。GINZA 456では11月11日から、au直営取扱店では12月1日から展示し、ユーザーは実際にエンリアルライトの「Nebula」機能やARゲームなどを体験できる。

Pontaポイント1万円分プレゼントキャンペーン

 エンリアルライトと対応スマートフォン「Xperia 5 II」「Galaxy Note20 Ultra 5G」を購入したユーザーに、Pontaポイント1万円分を付与するキャンペーンを実施する。期間は、2020年12月1日~2021年3月31日まで。

 対象となるのは、期間中に「エンリアルライトの購入」と「対応スマートフォンの購入」、「auスマートパスプレミアムに加入」の条件を期間中に満たしたユーザー。

 すでに対象スマートフォンを購入しているユーザーも対象となる。

すぐに使えるXRアクセサリー

 筆者はいくつかコンテンツを体験したが、自身の手持ちの5Gスマートフォンのコンテンツが使用できるので、手軽に始めることができるデバイスだと感じた。

 特に大画面で動画コンテンツを視聴できることは、大きなテレビや視聴用の部屋を用意することなく気軽に大迫力の映像を楽しめる点では、ハイエンドユーザーだけでなく多くのユーザーが楽しめる。

 大画面での動画視聴は、部屋だけでなく外出先でも楽しめる。新幹線や飛行機での移動中でも、大迫力の映像を楽しめる。特に夜間のフライトや車内では、ほかの乗客や隣で寝ている家族に気を使って動画の視聴やスマートフォンの操作が憚られるが、エンリアルライトだと自分の空間として楽しめる。

パーソナル事業本部 サービス統括本部 5G・xRサービス企画開発部長 上月 勝博氏

 ただ、現状対応端末が2機種しかないため、少し敷居が高い点がある。エンリアルライトを担当しているKDDIのパーソナル事業本部 サービス統括本部 5G・xRサービス企画開発部長 上月 勝博氏によると、「USB Type-Cの規格上、1機種1機種丁寧に動作確認を行っている」としており、対応端末も今後発売される新機種で確認していくという。

 エンリアルライト単体で購入するというよりかは対応機種を購入する際に、エンリアルライトをアクセサリーとして購入するという購入方法がメインとなりそうだ。