ニュース
5Gで国宝「聖徳太子絵伝」の新たな鑑賞体験をKDDIらが提供
2020年9月18日 06:00
KDDIと東京国立博物館 、文化財活用センターは、5G通信やAR(拡張現実)などの最先端技術を活用し、新たな文化財鑑賞体験を提案する共同研究プロジェクトを2019年に発足。同プロジェクトの第一弾として、東京国立博物館で「5Gで文化財 国宝『聖徳太子絵伝』ARでたどる聖徳太子の生涯」を開催する。期間は、9月29日~10月25日。
同コンテンツでは、1面あたり18億画素の高精細画像を、5G通信やAR技術を通じて鑑賞できる。かつて奈良・法隆寺の東院伽藍に位置する絵殿の内壁にはめこまれていた「聖徳太子絵伝」(東京国立博物館所蔵の国宝)を、細かい部分まで5Gスマートフォンで鑑賞できる。
鑑賞機会が限られる国宝を手元でじっくり鑑賞
国宝「聖徳太子絵伝」は、聖徳太子の生涯を描く絵伝のなかで最も古く、「36人の子どもの話を記憶する」「憲法十七条をつくる」などの太子にまつわる58のエピソードが10面に渡って描かれている。
同作品は東京国立博物館に所蔵されているが、傷みが激しく、展示ケース越しでかつ年に1カ月程度の限られた期間でしか鑑賞できない。
同コンテンツでは、博物館内で作品の繊維質までわかる高精細画像で鑑賞したり、自宅など離れた場所でも作品についての解説や、ARコンテンツを体験したりできる。
博物館内ではARグラスと5Gスマートフォンで体験
同コンテンツは上野公園にある東京国立博物館の法隆寺宝物館で実施される。館内では、貸し出されるARグラスと5Gスマートフォンを通じてコンテンツを体験できる。
ARグラス「魔法のグラス」
ARグラス「NrealLight」を同コンテンツでは「魔法のグラス」として使用する。館内に設置されている原寸大の「絵伝」複製画パネルを「魔法のグラス」をかけて覗いてみると、聖徳太子の生涯をたどる代表的な15のエピソードについて、アニメーションを交えた解説が再生される。
ARグラスをかけて、「絵伝」にかかれているさまざまな出来事に目線を合わせると、解説が再生される。解説では、実際には動くことのない「絵伝」の人物や動物などのアニメーションを見られる。
5Gスマホ「魔法のルーペ」
もうひとつ、5G通信できるスマートフォンが貸与される。複製画パネルと重ねると、スマートフォンにパネルの高精細画像が表示される。高精細画像からは、パネルにあるエピソードを選択でき、そのエピソードの解説をナレーションを交えて鑑賞できる。
また、高精細画像はユーザーが自由に拡大縮小できる。高精細画像は、1面あたり18億画素の高精細かつ大容量の画像となっている。普段は展示ケース越しにしか見られない国宝を、肉眼では見ることが難しい細かな質感まで感じることができる。
スマートフォンはソニーモバイルの「Xperia 1 II」を使用。4K HDRの有機ELディスプレイの大画面で細かな表現も再現できる。
自宅でも鑑賞体験
同コンテンツの展示の一部を自宅など会場外でも楽しめる。
会期スタート後に公開される専用サイトで、自宅などの空間に、展示のミニチュアがARで登場する。ARのパネルにタッチすると、高精細のパネル画像とエピソードの解説を見られる。
auスマートパスプレミアム会員向けには、3Dビューによるバーチャル体験が先行提供される。会場内を自由に移動でき、「魔法のグラス」で体験できる15のエピソードをバーチャル空間で鑑賞できる。
5G通信とMECを活用
同コンテンツは、5G通信とMEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)技術が活用されている。
コンテンツは展示室内に設置された5Gアンテナから、インターネットを介さずに直接コンテンツサーバーから配信される。コンテンツが提供されるまでの経路が短くなるため、より低遅延でコンテンツを配信できる。
筆者が実際に体験した際も、高精細動画をほとんど遅延なく鑑賞することができた。
会場での体験は事前予約が必要
会場となる東京国立博物館への入場には、9月現在、事前に日付指定券の予約が必要となる。
また、同コンテンツを体験するには、博物館の日付指定券に加えて別の指定券の予約が必要となる。予約は9月25日12時以降、会期を4つにわけて順次受付開始する。
入館日 | 予約開始日 |
---|---|
9月29日(火)~10月4日(日) | 9月25日(金) 12:00~ |
10月6日(火)~10月11日(日) | 10月2日(金) 12:00~ |
10月13日(火)~10月18日(日) | 10月9日(金) 12:00~ |
10月20日(火)~10月25日(日) | 10月16日(金) 12:00~ |
体験は約40分、完全入れ替え制で実施する。体験料金は無料だが、別途東京国立博物館の総合文化展観覧料(一般1000円)または特別展観覧料が必要。