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ソフトバンクグループがGAFAへ投資、孫氏「AI革命の本命は上場会社」
2020年11月9日 20:23
ソフトバンクグループは9日、2020年度第3四半期の業績を発表した。説明会に登壇したソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長の孫正義氏は、AI関連の開発を進める企業に投資していく考えをあらためて説明し、「本命中の本命」として、グーグルやAmazonなど、いわゆるGAFAと呼ばれる企業や、AI技術に関わる企業への投資が明らかにされた。
本命中の本命
孫氏が上場会社への投資を明らかにしたのは、説明会の後半。
それまで孫氏は、今後の情報技術がAIによる革新によってもたらされるとして、「AI革命」と題し、AIによる自動運転、創薬の可能性を示した後、「最近ソフトバンクは上場株にも投資しました。何をしているのか」と説明し、「AI革命の先駆者というのはですね我々が今紹介したようなビジョンファンド経由のユニコーンだけではないと私は思ってるんです」と述べる。
孫氏
「ユニコーン企業はAI革命のルーキー、新しいスーパースター。しかし本命中の本命は、実はもう上場会社。私はAI革命をサポートする投資家になる。『上場会社は対象外』と誰が決めたのか」
そう述べた孫氏は、ソフトバンクグループが保有する株式の企業名として、Amazon、マイクロソフト、Facebook、Zoom、アルファベット(グーグル親会社)、セールスフォース、Netflix、NVIDIA、Adobeなどの企業名を挙げる。
その具体的な投資額については、米国内のルールにより、今後2週間程度で開示されるとした孫氏は、野球を例に「甲子園で活躍した高卒のルーキーだけでは勝てるチームは成り立たない。メジャーリーガーから来るスーパースターなどを含めて強いチームができる」と解説した。
なお決算短信によれば、第2四半期末時点で保有する現物株式として、Amazonは63億3100万ドル(約6564億円)、Facebookが22億2200万ドル(約2300億円)などとなっている。
アリババ一辺倒からの脱出
今春、「今は一番苦しい」と決算会見で述べ、4.5兆円の現金を調達する方針を示していた孫氏は、これまでにアリババ株式やソフトバンク株式の一部売却や、Arm株式をNVIDIAに全て売約する契約を発表したことを踏まえ、今回の会見で「10兆円の資金化プログラムを完了させたことになる」とコメント。
「十分な守りを固めながら攻めに行く」として、潤沢な資金をAI革命に投資する方針をあらためて紹介。
その上で、ソフトバンクグループの保有する資産のなかで、アリババ株が占める割合の高さを指摘する質問に孫氏は「アリババ一辺倒の指摘はその通り。非上場(企業への投資)だけでは、アリババの成長が大きすぎて、比率が一向に改善しない。アリババの成長はまだ続くと心底信じているが、アリババに偏りすぎている」と解説。一定の価値をすでに保有する上場済みの企業への投資は、AI革命に向けた布石であると同時に、同社のポートフォリオの内訳をより多様化する狙いもあるとした。