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Opensignalのネットワーク調査、ソフトバンクが3カテゴリーでトップ

 Opensignalは、2020年10月版の日本におけるモバイルネットワークの検証結果を発表した。

 今回の調査は、2020年6月1日~8月29日の期間で行われた。今回からは4月8日にサービスインした楽天モバイルが初めて調査対象のキャリアに加わった。

イアン・フォッグ氏

 Opensignal 分析担当バイスプレジデントのイアン・フォッグ氏によれば、楽天モバイルの回線は、ユーザーの全般的な体感を計測するという意味で、楽天モバイルの自社ネットワークのエリアとauのローミングでの接続エリアの両面の総合的評価としている。

 調査項目は上り下りのスピード、4G利用率、LINEなどでの音声体感、ストリーミングビデオ体感。これに加えて日本では初めてゲーム体感も調査した。

ソフトバンクが3カテゴリーでトップ、楽天の健闘も

 回線速度の調査は、上りと下りの両面から調査。下り速度では、ドコモが52.3Mbpsでトップ。次点でauの48.8MBps、ソフトバンクは42.7Mbpsで3位。最下位は楽天モバイルの21.6Mbpsだった。

 一方、上り速度では、楽天モバイルが11.8Mbpsで1位。2位はソフトバンクの9.9Mbpsで、ドコモ(9.5Mbps)、au(8.3Mbps)と続いた。

 ストリーミングの動画を再生し、ユーザー体感を測定するビデオ体感の項目では、ソフトバンクが79.1ポイントでトップに立った。

 これ以降、ドコモ(77.2)、au(75.9)、楽天モバイル(64.9)という結果。ビデオ体感の調査は、ITUが定める手法を使用して、画質や読み込み時間、失速率などを総合的に考慮。0-100のスケールで評価し、75を超えると「Excellent」の評価という。

 フォッグ氏によると「ビデオはモバイルネットワークの多くを占める。この調査でそれぞれのキャリアのトラフィック中でのビデオの扱い方の差異がわかる」という。

 今回の調査では、楽天モバイル以外の3キャリアが75ポイントを超える結果となった。

 音声体感では、番号による発信ではなくLINEやSkype、Facebook Messengerなどのアプリによる音声通話機能を利用した際の体感を評価。

 0-100スケールで測定され、トップはソフトバンクの82.9ポイント。ついでドコモの82.1ポイントと続き、auと楽天モバイルは82.0と同スコアだった。

 ゲーム体感では、オンラインで対戦するマルチプレイヤーゲームを用いた評価が行われた。パケットロス、ジッター(信号波形のゆらぎ)などを含めてオンラインゲームをプレイした時の影響を測定している。

 最も高スコアを収めたのはソフトバンクでポイントは84.9だった。次点でドコモ(84.6)、au(83.3)、楽天モバイル(81.8)と続く。

 ゲームの評価の適正さについてフォッグ氏は「ラボでスマートフォンでゲームをしたときにどのようなネットワークの違いが体感として現れるかとテストしているからだ」と説明。

 4G利用率は、ユーザーが4Gへ接続している時間の割合を評価した。

 トップはauの99.3%だった。2位のドコモ(98.8%)以下、楽天モバイル(98.7%)、ソフトバンク(97.8%)となったが、結果は4社とも僅差で4Gの整備が行き届いていることを示している。

 フォッグ氏は「4Gはこれからの5G時代に重要」と語る。世界の大多数の国において初期の5Gは、4Gをもとに5Gへ接続するため、4Gへ接続できなければ5Gを利用できないためだ。

初登場ながらトップを得た楽天に評価

 今回の調査では、ソフトバンクが3カテゴリーでトップの評価を受けた。ほかのキャリアについても、いずれかのカテゴリーにおいてそれぞれ1つずつトップを獲得している。

 世界と日本のキャリアを比較した場合、調査対象の100カ国中、日本のはビデオ体感では6位、ダウンロード速度は全世界で4位。4G接続率は最も高く98.5%になるという。G7加盟国の中で比較するとカナダはトップクラスのダウンロード速度を誇り、米国は動画のダウンロードで遅れをとっているとフォッグ氏。

 今回の調査で初登場ながらもアップロード速度でトップの評価を得た楽天モバイルについて、フォッグ氏は「初の登場というところでは非常に素晴らしい成果」と評価した。