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ドコモ新社長 井伊氏、「移動通信事業だけでない会社に成長させたい」

サブブランド展開は「なにも考えていない」

NTTドコモ 吉澤 和弘社長と井伊 基之新社長

 NTTドコモは、12月1日付の社長交代人事を発表した。吉澤 和弘社長が退き、井伊 基之副社長が社長に昇格する。NTT(持株)によるドコモの完全子会社化とあわせて発表された。

吉澤社長「非通信のサービスを強くできた」

 吉澤氏は、社会がリモート型に変化していくことへの対応や、6Gなどの最新技術を、井伊新社長体制のもと大きく力を発揮できるとコメントした。

 また、井伊新社長に関しては、NTTグループの通信事業の強化や法人営業の豊富な実績などを挙げ、NTTの完全子会社となるドコモで力を発揮してくれるとした。

 これまでの吉澤氏自身については、2020年を見据えた中期戦略のなかで、5Gはもちろんユーザーや社会にどういった価値を提供していくか、いろいろなソリューションやサービスの中で、非通信のサービスを強くできたとした。コンテンツ配信など、通信以外の事業を育て、ドコモ成長の原動力にできたとコメントした。

 また、5G通信に関しても、プレサービスやトライアルなどを実施してきて、サービス開始で社会に必要なものにできたことは、自身の成果のひとつという考えを示した。

井伊新社長「移動通信事業だけでない会社に成長させたい」

井伊 基之新社長

 続いて、新社長となる井伊氏は、現在ドコモの副社長で、国際とコーポレートを担当する。

 国際分野において井伊氏は、新型コロナウイルス感染症でインバウンドの激減や海外渡航が制限されており、ドコモの国際通信事業に大打撃があったという。国際通信事業については、通話通信料に依存しない利益構造を作る必要があるとした。

 今後の未来像については、「あらゆるものがつながる社会」を実現したいという。超高速のアクセス通信技術が、通信環境を意識することなく固定とモバイル問わず融合する通信技術を開発し、社会に貢献していきたいとコメントした。

 ドコモの直近の課題については、ドコモ口座の不正送金問題を取り上げた。ドコモ口座の不正引出問題に関しての、ユーザーからの信頼の回復と、被害の補償、原因究明、再発防止を早期に実施するとしている。そのうえで、ドコモを移動通信事業だけでない会社に成長させたい考えを示した。

サブブランドについて「なにも考えていない」

 記者からは、ソフトバンクの「ワイモバイル」や、KDDIの「UQ mobile」といった、低価格帯のサブブランドをドコモで展開する予定はないのかという質問があった。

 これに対し、井伊新社長は、現段階では何も考えていないとした。ただ、「あらゆる年代のユーザーに支持される」目標を掲げていることを挙げ、低価格帯を支持するユーザーに対してもしっかりとサービスを考えていきたいとコメントした。