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ソフトバンクと産総研、軽量大容量な次世代型電池の共同開発

 ソフトバンクは、産業技術総合研究所(産総研)と共同で、次世代型電池の開発に向けた研究を行う契約を締結したことを発表した。

作製した中容量ラミネート有機二次電池の外観(画像:産総研)

 IoTデバイスや携帯電話基地局などでの活用を想定した、質量エネルギー密度(Wh/kg)が高く、かつ軽くて容量が大きい次世代型電池の開発を目指す。

 産総研は2016年に、レアメタルを含まない炭素や水素、窒素などで構成された有機正極について発表しており、この有機正極が大容量の電池材料となることが分かっている。

レアメタル酸化物正極を有機材料で代替するコンセプト(画像:産総研)

 具体的には、評価用の小型電池(コインセル)の正極活物質当たりの容量で約430mAh/gを記録している。これを質量エネルギー密度に換算すると、現行のリチウムイオン電池に使われる正極材料の2倍に相当する。この材料を組み込んだ電池構成で試算したところ、質量エネルギー密度が400Wh/kg以上の電池が製作できることが示された。

 両者が2019年3月から行っている共同研究では、ラミネートセルにおける正極活物質当たりの容量約418mAh/g(約200Wh/kg)を記録している。また、電池の軽量化を目指して、導電助剤や結着剤、電解液をさらに少なくした状態での二次電池としての動作検証を実施するほか、正極活物質当たりの容量約800mAh/g(約600Wh/kg)以上を目指して研究を進める。

 研究が進められている次世代型電池は軽量で大容量なことから、IoTデバイスや基地局などを用途として、ソフトバンク子会社のHAPSモバイルが事業展開を推進する、上空から通信ネットワークを提供するシステム「HAPS」(High Altitude Platform Station)での活用も視野に入れている。

HAPSのイメージ