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モバイルオーダーの浸透を目指し、ドコモとショーケース・ギグが10億円の資本・業務提携

 NTTドコモとショーケース・ギグは、ドコモのキャッシュレスサービス「d払い」の拡充、モバイルオーダーサービスの浸透を目的に資本・業務提携を締結した。出資額は10億円。出資時期は12月中旬を予定している。

左=NTTドコモ 前田義晃氏 右=ショーケース・ギグ 新田剛史氏

 業務提携の内容は、ショーケース・ギグが保有する実店舗向けモバイルオーダープラットフォームをd払いミニアプリと連携、双方が接点を持つ加盟店を中心にOMO(Online Merges Offline)ソリューションを提供。双方連携した加盟店営業活動による、d払いミニアプリの導入を加速。また、ミニアプリやd払いの利用拡大に向けたデータ活用によるマーケティングやコンサルティングサービスの展開。

 ドコモの7000万人を超える会員基盤とモバイルオーダーのパイオニアのショーケース・ギグの相乗効果により実店舗のビジネスモデルの革新、d払いミニアプリのより一層の拡充を図る。

 ドコモとショーケース・ギグの連携の第一弾として吉野家のミニアプリが2019年度内にリリースされる。

さらなるd払いの拡大

 d払いミニアプリは、1つのアプリから複数の店舗のサービスを利用できる機能。ユーザーは複数のアプリをインストールせずとも、簡単にさまざまなサービスを利用できる利点がある。すでにジャパンタクシーのミニアプリがリリースされており、12月10日には「docomo bike share」がリリース予定。

 NTTドコモ 執行役員 プラットフォームビジネス推進部長の前田義晃氏によると、現時点でd払いユーザーは2000万人で、取扱高は837億円。利用可能な箇所は122万箇所で、ポテンシャルユーザーとなるdポイントクラブ会員も7200万と順調な伸びを見せる。

 d払いミニアプリの実現方法として、独自のアプリ・サービスをリリースしている事業者については、APIを提供してもらい既存のアプリをミニアプリ化するという手法を取っている。独自のアプリを持たない事業者が新たにd払いミニアプリに加盟する場合に、ショーケース・ギグの技術を用いてソリューションを提供していくという。

 具体的なサービスの提供スケジュールとしては、ミニアプリの開発支援を年明け1月から開始する。2020年春には吉野家のミニアプリリリースが予定されている。その後2020年夏以降には、各種OMOプロダクトを随時リリースしていく。

 前田氏は「キャッシュレス戦争は決済だけを提供するような形になりつつあるが、そうではなく決済から始まるソリューションの提供、消費者への価値提供を充実させることでキャッシュレスは普及する。各ジャンルにおける消費行動をデジタルトランスフォーメーションしたい」とした。

OMOの必要性

 ショーケース・ギグ 代表取締役社長の新田剛史氏は、OMOの日本への必要性を説明。世界的な潮流があることに加え、日本の労働人口減少を解決するための手段としてOMOへの期待感が高まっていると語る。特に飲食店におけるデジタル化は30%の業務削減を実現できるという。

 来店前にすでに注文が完了していることから、ユーザーは席についてからメニューを見て決める必要がなく、ゆっくり選ぶことができ、店舗側も空いたリソースを「おもてなし」に使うなど、新たな顧客価値の創造も可能だとした。

 東芝テックと提携し、POSシステムとの連携という強みを持つショーケース・ギグの「O:der Platform」は全国区で展開する大規模チェーン店との親和性がある。スムースなモバイルオーダーを実現するにはPOSに蓄積されたデータが必要不可欠と新田氏。

 これと同時にクラウド上だけで完結する決済システムも提供していることが特長で、2つのパターンでサービスを提供できる。同社のシステムはおよそ2300店舗に導入されており、JRグループとの業務提携も行っており、サービス開発を進めている。

 新田氏は「飲食店は48万店舗ほどもある。テーブル決済の日本との親和性を考えると、かなりのところを我々のプラットフォームでまかなえると思う。最低でも10万単位で取っていきたい」と意欲的な姿勢を示す。

 両社は、2020年度内の目標として1万店舗の加盟を目標としており、国内最大のOMOプラットフォームの構築を目指すとした。