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「Rakuten Optimism 2019」が開幕、5G時代に向けた近未来体験イベント

10月開始のLTEサービスに関する言及は控えめ

 楽天グループ史上最大規模のイベントとうたう「Rakuten Optimism 2019」が7月31日にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開幕した。

 8月3日までの4日間にわたり開催され、会場には人気キャラクター「お買いものパンダ」や楽天市場のグルメ・スイーツ、5G時代の世界観を伝える近未来体験エリアまで、楽天グループが展開するさまざまなサービスに関連するブースが並ぶ。また、各界の著名人を招いた講演やパネルディスカッションも行われる。展示エリアは入場無料で、ビジネスカンファレンスは別途チケットが必要。

 本記事では、楽天 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏によるオープニングキーノートと、展示会場の模様をお伝えする。

楽天の事業展開と5Gの未来

 初日のビジネスカンファレンスは竹中平蔵氏による講演から始まり、続いて三木谷社長によるオープニングキーノートが発表された。

楽天 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏

 「5Gってなんなの、スピードが速くなるだけなの?」と聞かれることがあると三木谷氏。22年前の創業当時からのデジタル環境の変化について、当時の1000倍以上の通信速度が手のひらの上で使えるようになるとは予測できなかったと振り返った上で、同様に、通信技術の進化が社会構造の抜本的な改革やサービスの進化につながるだろうと5G時代への期待を語った。

 1997年に「楽天市場」をスタートした当初は、出店数が13店舗、月商32万円という小規模なサービスだった。2019年現在では、グローバルで13億のユーザーと年間15兆円の流通総額という大規模なサービス群に成長した。

 複合的なサービスを提供することによる付加価値を重視し、近年では「Rakuten TV」「Rakuten Viber」など海外展開をしているサービスも含めて、楽天ブランドへの統一を図った。あわせて、FCバルセロナとのメイングローバルパートナー契約、NBAのゴールデンステート・ウォリアーズとのユニフォーム・パートナー契約など、スポーツを通じたブランディングにも積極的に取り組む。

 今の楽天を象徴する取り組みとしては、スマートフォン決済サービスをはじめとするフィンテック領域、そしてモバイル事業を挙げる。

 「安価なモバイルネットワークを実現する、そしてスピードも上げる、5Gも早く導入する」と楽天モバイルの方針を語り、それを実現するための完全仮想化、クラウドネイティブネットワークの構想を説明した。5G時代に向けた取り組みとして、ネットワーク上の比較的ユーザーに近い場所で大きなリソースを提供する「モバイルエッジコンピューティング(MEC)」にも言及。楽天モバイルでは全国に4000のMECサーバーを配置する予定。

LTEサービス開始まで2カ月、料金に自信

 Rakuten Optimismの開催から2カ月後、2019年10月にはMNOとしての携帯電話事業を開始する楽天モバイル。三木谷氏は近年のインドにおけるLTEネットワークの急速な展開と低廉な料金を例に挙げ、未だ明かされていない楽天モバイルの料金プランについて「(通信業界に)殴り込みをかける」と自信を覗かせた。

 一方、会場ではサービスインを間近に控えるLTEサービスに関するコンシューマー向けの具体的な展示は見受けられない。ただし、5Gブースに隣接する形で楽天モバイルのネットワーク構築に関する展示があり、特徴としてうたうクラウドネイティブネットワークの解説のほか、LTE基地局のアンテナ部分が展示されていた。

展示会場の模様

 展示会場は、VRやクラウドゲーミングなどの5G時代に実現される未来のサービスを披露する「近未来体験エリア」、楽天市場のショップから全国のグルメが集まる「うまいもの&いいもの祭り」、楽天の人気キャラクターをフィーチャーした「お買いものパンダエリア」などから構成される。

 入場無料かつ夏休み期間中ということもあり、会場中央に設けられたお買いものパンダエリアは、限定グッズを買い求める人々が列をなしていた。また、会場内の物販・飲食ブースは「楽天ペイ」「楽天Edy」などにキャッシュレス決済のみの対応となるが、各所にサポートデスクが設けられている。

 通信関連の展示としては、シールドケース内での実演で通信中の実機を手に取ることはできないものの、「OPPO Reno 5G」を使った5G通信のデモンストレーションが行われている(関連記事)。

 このほかに、通信技術やIoT関連のソリューションなどに関する展示をまとめた「Rakuten 5G」ブースが入口付近に設けられ、レノボの5G対応PCなどが参考出展されていた。