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全体重をかけて氷漬け、永遠に繰り返される開閉テスト――富士通が発表会で見せたarrows新機種の底力
2019年6月7日 17:50
新機種発表会にお邪魔したと思ったら、スタッフがディスプレイに全体重をかけ、その隣では氷漬けされたスマートフォンの姿。さらには、ひたすら繰り返されるフィーチャーフォンの開閉テスト――。
いったい何の発表会だ、と記者を困惑させるのは、7日、富士通コネクテッドテクノロジーズが開催した新機種発表会の展示ブースだ。
意表を突く展示、タフネス性能をアピール
数十kgの荷重、そして氷漬けの環境に耐えていたのは、発売されたばかりの「arrows Be3 F-02L」(NTTドコモ)。背面のボタンをなぞるだけでスマートフォンを操作できる「Exlider(エクスライダー)」、背面の脈波センサーで心拍を計測し、血管年齢がわかるといった特徴を備える。
これまでもarrowsシリーズはタフネス性能を追求してきたが、今回は新たにユニボディという設計を採用してさらなる堅牢性の向上が図られた。
その性能の一端を紹介する具体的なデモンストレーションとして、体重を掛けてその性能を示したり、氷の中でマイナス5℃~0℃という環境下で動作する様子が披露された格好。arrowsのタフネス性を知っていたつもりの筆者でも、思わず二度見、三度見してしまう展示内容だった。
5つの製品をラインアップ、その特徴は
富士通コネクテッドテクノロジーズの高田克己社長は、「今回は、飽くなき進化の追求、NTTドコモとソフトバンクへの供給というマルチキャリア、法人での活用に向けた新製品、新領域としてのマルチ通訳機という4つのポイントがある」と同社の取り組みをアピール。
Androidスマートフォン2機種に加えて用意されるフィーチャーフォン「arrows ケータイ F-03L」について高田氏は「フィーチャーフォンはまだ2000万以上が利用、半分以上はスマートフォンへ変えたくない方がいる」と市場性が今もあることを説明。見やすさ、聞きやすさのほか、ヒンジのワンプッシュボタンでオープンできる使いやすさ、そしてタフネス性能が特徴として挙げる。
「arrows U」は、6年ぶりの復活となるソフトバンク向けのスマートフォン。Googleアシスタントをすぐ呼び出せるキーや、手軽な価格帯ながらデュアルカメラを備える。ホームアプリも、より見やすい「シンプルホーム」が用意されている。
デュアルカメラなど、「arrows Be3」とは共通点がない格好だが、ベースは海外で製造され、ソフトウェアは富士通側が開発したもので、品質管理も富士通コネクテッドテクノロジーズ側が進めたという。
法人向けの機種「ARROWS M359」では、プライベートLTE「sXGP」方式に対応した。大規模な工場や、電波事情が整備しきれていない山間部などで、sXGP方式でのエリア構築を求めるニーズが今後増えると見て、今回商品化された。
完全分離プラン見据えたミッドレンジの拡充、ハイエンドは5G時代に
国内の携帯電話業界では、大手キャリアによる端末代金の割引をなくし、通信料を割安にしようという、政治主導の動きが進んだ。
これは、2019年夏モデルの開発時期にあたると見られるが、会見後の囲み取材に応じた高田氏は、どういった影響があったか? という問いに「お手頃な価格で十分な機能を味わえる普及価格帯の機種が多数派になるだろうと考えて、この2~3年、極端に尖った物ではなく、幅広く受け入れられる製品作りを目指していた」と回答。特にarrowsは30代~50代に広く受け入れられたブランドとのことで「ハイエンド機は、5G時代にご用意できれば」と述べる。
SIMフリーモデルは?
キャリア向けモデルをベースにしたSIMロックフリーモデルへの考えを問われると、「あまり頭の中にない」と高田氏。
一見すると、SIMロックフリー向けの製品を手がけない意思表明のようにも思えるコメント。しかし高田氏が続けた言葉は、それとは真逆のものだ。
高田氏
「SIMフリー化に関するルールが整備されてきた。MNO、MVNOと分け隔てず、arrowsとしてあるべき商品像を明確にして開発し、幅広く提案し採用していただけば(MNOとMVNOの間に)垣根を作るつもりはない」
こう述べた高田氏は、キャリアモデルと同等製品をMVNO向けにも供給する可能性があることを示唆した。