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ソフトバンク決算、ヤフー統合で非通信分野を大幅拡大へ

 ソフトバンクは、2018年度(2018年4月~2019年3月)の連結決算を発表した。通期予想を上回る増収増益で、説明会で登壇したソフトバンク 代表取締役社長の宮内謙氏は「非常に順調な好決算」と自信をみせた。

 同社の2018年度の売上高は前年度比5%増の3兆7463億円、営業利益は前年度比13%増の7195億円で、どちらも過去最高になった。増収増益の主な要因というスマートフォンの累計契約数は、「いろいろあったが」(※大規模通信障害など)と振り返ったものの、10%(195万件)増の2208万件になった。

大容量プランの競争力をアピール

 コンシューマ事業では、NTTドコモが新料金プランを発表したことを受けて、「SoftBank」ブランドですでに提供している大容量プランを、他社のプランと比較。直接の比較は難しいとするものの、大容量プランで最安の価格帯はソフトバンクの方が安いとしたほか、1GBあたりの「ギガ単価」も最安とアピール。

 宮内氏は「大容量プランについては、十分に戦える数字だ」と自信をみせ、KDDIの今後の動向などから「微修正はするかもしれないが」としながらも、現在のプランで他社に対抗できるとしている。

Y!mobile分離プランはMNOの楽天モバイルに対抗

 また、格安スマホの価格帯で提供している「Y!mobile」ブランドの料金プランは、「変えていないが、価格競争力がある。これからも戦っていける」と、こちらも大きな変更は必要はないという見方を示している。

 ただし「Y!mobile」ブランドのプランについては、今後の法改正に関連して、端末販売と通信料金・割引を明確に分ける“分離プラン”への対応が必要とされているため、新しい料金プランに切り替わる見込み。

 その発表時期は上半期(4~9月)中としており、新しいキャリアとしての「楽天モバイル」(※10月にサービス開始予定)の動向を踏まえて、内容を決定する方針。ただし、楽天が示唆しているような、MVNOの楽天モバイルの価格帯を継承する内容であれば、現状のY!mobileやLINEモバイルで対抗できるとの見方も示している。

 宮内氏はこのほか、「SoftBank」「Y!mobile」の両方のブランドを掲げた店舗が半分の約1700店舗に拡大したこと、1店舗で両ブランドに対応できることで、ソフトバンクからワイモバイルへの移行が増えていることを明らかにし、さまざまなニーズに応えられるようになっているとした。

SoftBankに「スマホデビュープラン」

 同氏はまた、1億総スマホを目指すというかねてからの目標を実現するものとして、「SoftBank」ブランド側で「スマホデビュープラン」を発表した。宮内氏は「スマホを使っていない人にトライしてもらいたい。大々的に宣伝していく」としている(関連記事)。

ソリューション、新領域

 法人向け事業については、かつては無かったソリューションビジネスが今後は大きく拡大するとし、その中心になるAIやロボット、IoTに、今後の5Gを組み合わせ、公共領域や地方自治体向けを含めて幅広く展開していく方針。

 新領域の事業では「wework」「DiDi」「OYO」「PayPay」、MaaSの「MONET」、成層圏通信プラットフォームの「HAPS MOBILE」などを紹介。これらの新領域の事業の成長でキーになるのは5Gであるとし、「コア事業の通信事業に、もっともっと注力していく」と意気込みを語っている。

 なお、PayPayについてはユーザー数が700万人にまで拡大している様子のほか、大幅増資を発表、激化する競争環境に対して強い意気込みを語った。

 加えて、ヤフーの連結子会社化も発表、非通信領域で大幅に連携を強化していく方針を明らかにしている(関連記事)。これにより、ソフトバンクの通信事業とヤフーのコンテンツ・サービス事業を大規模に統合、メディア、移動手段、決済、金融など生活のあらゆるシーンでスマートフォンをシームレスに活用できるようにするとした。

2019年度業績予想

 宮内氏はこうした新領域の事業の拡大を踏まえて、2019年度の連結業績予想を発表、ヤフーの連結子会社で大きく数字が拡大する様子を示したほか、「3~5年以内に、営業利益1兆円企業にしたい」と意気込んだ。

質疑応答

 質疑応答の時間には、ヤフーを除いた場合の営業利益の業績予想が控えめ(3%増)になっていることについて「(2018年度の二桁増から)伸び率が大幅に低下している」と指摘され、新料金プランを中心とした競争環境の激化が影響を及ぼすのかが問われた。

 ソフトバンクでは、株式上場やブランド料の支払いなどに関連して2018年度が大幅な伸びになったことから、相対的に2019年度が伸び悩むように見えると説明。これらの影響を除くと堅調な数字だったとする一方、予想については「そういった、いろんなものを考慮にいれいている」(宮内氏)と、一定のマイナス影響も考慮した数字になっていることを認めている。

 一方で、5Gネットワークの市場投入は、こうした競争環境を変えるものと捉えており、「チャンスが生まれる」(宮内氏)と、前向きな影響があるとの認識を示している。

完全分離で「ハイエンドからローエンドまで揃える」

 今後の法改正により、端末については通信契約と紐づけた割引販売が難しくなる「完全分離」が求められる点について、対応策を聞かれた。宮内氏は「たくさんのメーカーと仕込んでいる。秋ぐらいに発表するのではないか。バラエティに富んでいて、(ファッションでも)ユニクロから高級ブランドまであるように、ハイエンドからローエンドまである。今後は端末の調達力が重要になる。来年度は“5Gスマホ”を含めて、広めていく」と語り、“完全分離で端末が高くなる”といった一部の予想に反して、“そもそも安い端末”をしっかりとラインナップに組み込んでいく方針を明らかにしている。

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