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バッテリーシェア「ChargeSPOT」、日本・アジアで本格展開へ

「LINE」アプリ上で手続き、LINE Payで支払いも可能に

 INFORICHは、モバイルバッテリーのシェアリングサービス「ChargeSPOT」を日本やアジアで本格的に展開していく、今後の戦略を発表した。LINEと提携し、専用アプリの代わりに「LINE」アプリ上で借りられるようにするなどの施策も明らかにしている。

モバイルバッテリーのシェアリングサービス「ChargeSPOT」

 INFORICHは新たな施策として、LINEとの提携を発表。専用アプリで提供しているような、スポットを探して借りたり利用時間を確認したりする機能を、「LINE」アプリ上で利用できるようにする。これらはすでに「WeChat」アプリで実現されており、同様の仕組みを「LINE」アプリでも再現し、LINEのユーザーがバッテリーシェアリングサービスを利用しやすくする。また、決済方法にはLINE Payを選べるようにする予定。

 さらに将来的には、「ChargeSPOT」のステーションでモバイルバッテリー以外のアイテムを借りられるようにするといった、INFORICHの「パレットビジネス」構想も明らかにされており、LINEとの提携を活かして新たなサービスを検討していく。

 LINEとの提携とは別に、今後日本でも、特定の場所で借りるとスタンプが貯まり、クーポンに交換できるといった、「ChargeSPOT」を設置する店舗との連携で集客を図るような仕組みを導入する予定。

香港・台湾でも拡大、どこでも返却可能

 モバイルバッテリーのシェアリングサービスは2015年頃から中国本土で人気を博し、これに注目したINFORICHが、香港や日本、台湾、タイなどのアジア圏に展開している。日本では2018年4月にサービスを発表、本格展開を開始したのは同年9月で、半年が経過した段階だが、「ChargeSPOT」の充電ステーションはすでに2500台を展開している。

 香港では3000台を展開し、現地のセブン-イレブンで約800台を展開することも決まっている。台湾は展開が始まったばかりで、台北を中心で150台に達したところ。台中・台南にも拡大しながら、2019年内に3000台を目指す。タイはサイアムグループと提携、今月からサイアムディスカバリーなど商業施設で展開するほか、プーケット島など人気の観光地にも展開していく。また、この夏にはハワイでも展開する予定としている。

 中国本土の企業のサービスにもない、「ChargeSPOT」の特徴として挙げられているのは、上記のような国・地域をまたいでも返却できる、グローバルサービスなっている点。また、別途専用アプリをインストールすることなく「WeChat」上で借りられるようにするなど、外国に行く・外国から来る観光客も利用しやすくした。決済方法も現地のものに対応するようにしている。

ポイントは「返せる安心感」、日本で設置12万台を目指す

 日本国内での展開では、スマートフォンはその進化に反して稼働時間が伸びていないなど、バッテリーのシェアリングサービス自体に(日本でも)当面は需要があるという予測。こうした、事業に前向きな環境に加えて、「ChargeSPOT」の充電ステーションにデジタルサイネージを組み込んで広告メディアとして展開できることや、その筐体の内部に基地局を設置するといった“場所貸し”での展開、さらにユーザーの貸し借りの場所で行動データをビッグデータにして活用するデータビジネスなど、さまざまな展開に言及している。

 ほかにも、災害発生時には、遠隔操作で80%以上充電されているバッテリーを排出して、誰でも利用できるようにするといったことも可能で、これは実際に北海道での震災時に実施。災害発生時の充電問題は関係者が広く認識している課題で、自治体からの引き合いも増えているという。

 同社はこうした展開のほか、日本国内で競合が少ないことなどを背景に、2019年度は1万5000台と、急速に「ChargeSPOT」の設置箇所を拡大する方針。すでに1万台は受注しているという。

 一方、およそ1000人に1台の割合で設置されていると「いつでも返せる安心感」が高くなり、急激に稼働率が高くなることが、大学など比較的閉鎖的な環境での展開で分かっているとのことで、稼働率を最大化する観点から、日本での展開は2021年までに約12万台の設置が目標としている。6月には全国で広告展開も行い「誰でも知っているサービスにする」と意気込んでいるほか、2021年には東証への株式公開を目指すとしている。