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液晶のシャープが作った画期的な保冷バッグ、一般販売へ

 シャープは、液晶ディスプレイの研究開発で得られたノウハウを生かして開発された「TEKION LAB 保冷バッグ」(*TKS001N)の一般販売を11月上旬から家電量販店などで開始した。店頭価格は5500円程度。

「TEKION LAB 保冷バッグ」(*TKS001N)

 同製品は、氷点下を約2時間にわたってキープできる蓄冷材ユニットと保冷バッグをセットにしたもの。蓄冷材ユニットを冷凍庫に入れて凍らせておくと、包んだ飲料をマイナス6度付近に冷やせる。大きさとしては720mlサイズの瓶(直径74mm)に適合する。重さは蓄冷材ユニットが約490g、保冷バッグが約92g。

 日本酒やビール、酎ハイといったアルコール飲料やノンアルコールの炭酸飲料を冷やすことで、これまでにない味わいが楽しめる。味わいだけでなく、ノンアルコールの炭酸飲料では、キャップをひねった瞬間に中の飲料が凍り始めるという面白い化学反応も楽しめる。

 シャープ 研究開発事業本部 材料・エネルギー技術研究所 第二研究室 係長でTEKION LAB代表の西橋雅子氏によれば、この技術は元々、高温から低温まで、さまざまな温度条件の下で正常に動作する液晶ディスプレイを開発する上で得られた成果を応用したもの。これが特定の温度帯をキープできる素材の発見につながり、すでに停電が多いインドネシア向けの冷蔵庫で、この技術が利用されている。

 今回のものは、さらに一歩踏み込んで、家電メーカーとしては珍しく、電気を使用しない製品へと昇華させたものとなる。当初はシャープとしても半信半疑で、クラウドファンディングや一部店舗でのテストマーケティングの形で販売されていたが、好評だったため、一般販売されることになった。

 蓄冷材ユニットは、中に入れた飲み物がマイナス6度程度になるように調整されているが、西橋氏によれば、技術的には28度からマイナス24度の範囲でターゲット温度を設定した蓄冷材の製造が可能だという。

シャープ 研究開発事業本部 材料・エネルギー技術研究所 第二研究室 係長でTEKION LAB代表の西橋雅子氏
技術的には28度からマイナス24度の範囲で対応可能

 機会があれば、液晶のシャープが作った画期的な保冷バッグで、不思議な口当たりやのど越しを体験してみてほしい。

ノンアルコールの炭酸飲料を冷やし、コップに注いだ例