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ソフトバンクのIoTとトヨタのEVを活用したモビリティサービス、共同事業を開始
2020年代半ばには自動運転で提供
2018年10月4日 19:22
ソフトバンクとトヨタ自動車は、MaaS(Mobility as a Service)事業などの構築に向けて、新会社「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)を設立することを発表した。
新会社ではライドシェアやフードデリバリーを自動運動で提供
新会社では、ソフトバンクのIoTプラットフォームとトヨタ自動車のコネクティッドカーの情報基盤である「モビリティサービスプラットフォーム」を連携させ、データやAIを活用し、2020年半ばにライドシェアや飲食などのサービスを自動運転の車両で行う「Autono-MaaS」事業を展開する。
実際の展開としては、家の前まで商品が届く移動型コンビニや、過疎地での病院のシャトルバスなどが挙げられた。車両には、トヨタ自動車が「CES 2018」で発表した電気自動車「e-Palette(イーパレット)」が使用される。
自動運転のサービスを展開する2020年半ばまでは、オンデマンドモビリティサービスを一般の自動車で提供する。利用者の需要に合わせた配車が行えるサービスを提供し、地方自治体と連携を図り、交通課題を抱える地域を優先に100地区へ展開される予定。自動車を呼び出す際などの機能は、まずは、スマートフォンのアプリで提供されるが、専用の“ボタンのような”機器も提供され、スマートフォンを持っていなくてもモビリティサービスを利用できるようにする。
新会社の株主構成は、ソフトバンクが50.25%で、トヨタ自動車が49.75%。代表取締役社長は、ソフトバンク 代表取締役 副社長執行役員 兼 CTOの宮川潤一氏が務める。出資比率の差については、代表取締役社長がソフトバンクの宮川氏のためだという。
MONET Technologiesの社名の由来は、トヨタ自動車が過去にカーテレマティクスサービスとして提供した「MONET」からきているという。
協業にあたってはトヨタ自動車側から声掛け
宮川氏は、日本の現状について「65歳以上の高齢者は4人に1人で、買い物困難者は820万人いる。免許返納者も増えており、その人たちの足となるバスも運行しなければならない」と説明。新会社ではこのような交通弱者の課題を解決していきたいと述べた。
トヨタ自動車 副社長の友山茂樹氏は、協業に至った理由について「MaaS事業をやるうえでは、ライドシェアサービスとの連携が不可欠。主要なライドシェアサービスである『Uber』などはソフトバンクが筆頭株主であり、ビジョンの共有が必要と考え、トヨタから声をかけた」と述べ、半年前から若手のワーキングチームを立ち上げ、事業内容などが共有できたため、会社の設立に至ったとしている。
今後は、ソフトバンクとトヨタだけでなく、仲間を増やしグローバル展開も視野に入れていくと説明した。
ソフトバンクグループ代表の孫正義氏は、事業が始まるきっかけとなった、トヨタとの若手同士の話し合いがあったことを聞いたときは驚いたと話し、事業ができることをうれしく思っていると述べた。
また、協業については、「モビリティ世界1位のトヨタ自動車とAIに力を入れているソフトバンクグループが連携することで新しい時代のモビリティが生まれる」と述べ、ソフトバンクグループの群戦略では、モビリティに関するAI事業が中核と成していると説明した。
トヨタ自動車 代表取締役社長の豊田章男氏は、20年前にも孫氏と関りがあったと話し、当時、中古車のインターネット商談システム「GAZOO」を実現し、新車向けにも拡大しようとしていたところ、孫氏から当時の経営陣に対し、ネットディーラーというシステムの提案があったという。しかし、その提案は、GAZOOを実現しようとしていたため断ったという。
協業については、車を作る会社からモビリティカンパニーを目指しているトヨタにとって、モビリティサービスを提供するUberなどとのアライアンスを強化することが重要であると説明した。また、アライアンス強化を含む戦略を“トヨタの仲間づくり戦略”として掲げ、これらを実現するにはソフトバンクとの提携が重要と述べた。