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ドコモ、2018年度はdポイント基盤が好調なスタート

第1四半期決算、“会員”基盤を軸に着実に拡大

 NTTドコモは、2018年度第1四半期(4~6月期)の決算を発表した。営業収益は前年同期比3.8%増の1兆1767億円、営業利益は9.9%増の3099億円、四半期利益は9.2%増の2183億円で、対前年同期で増収増益になった。8月2日、NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏が記者向けの説明会で解説した。

NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏

 セグメント別の実績でみると、らでぃっしゅぼーやの売却による売上の減少で、スマートライフ領域におけるスマートライフ事業の売上が前年同期比で1億円の減少になっているものの、そのほかは増収増益。営業利益の増減要因では、モバイル通信サービスの増収に加えて、光通信サービスの増収が大きかったとしている。

 オペレーション内容については、まずdポイントクラブの会員数が紹介された。会員数は前年同期比7%増の6652万人で、ポイントを貯めて使える「dポイントカード」の登録数は、前年同期比から1.7倍にあたる2513万件にまで拡大した。

 携帯電話の契約数は、前年同期比2%増の7675万契約で、純増。増加要因については、法人向けの通信モジュールの出荷が増加している点が挙げられている。MVNOの契約数については横ばいとした。

 ARPUは、音声通話とパケット通信料を合わせた「モバイルARPU」に、「ドコモ光ARPU」を加えて算出しており、前期比で80円増の4800円だった。吉澤社長は「順調に拡大している」とコメントしている。

 金融・決済サービスでは、dカードなどやiD、料金収納代行、d払いなどを含む取扱高が、前年同期比22%増の8800億円になった。dカードの契約数は7%増の1918万契約、dカードGOLDは1.6倍の425万契約で、400万契約を突破した。

dポイント、四半期で413億円分が利用される

 今回初めて、dポイントの利用動向についても明らかにされている。dポイントの利用は、前年同期比1.7倍の413億ポイント(413億円相当)になった。

 この内、dポイント提携先での利用は、前年同期比2.4倍の182億ポイントだった。付与されたdポイントの約44%が、ローソンやマクドナルドといった提携先で利用されていることになる。

 またdポイント提携先の数は、前年同期比2倍の273件、店舗数にして約3万8600店舗に拡大している。

 吉澤社長は、「ポイントプログラムは、2020年には日本最大級にしたいと言ってきた。四半期で413億円分のポイントの利用があり、年間ではかなりの数字になる。当然、付与されるポイントはもっと多い」とコメント。「送客にも結びついている。(ドコモとパートナーの)相互にメリットがあり、当初に狙ったものだ。良い動きになっている」と手応えを語っている。また、「若干、計画よりも多い」とし、好調に利用が拡大している様子を語った。

「d払い」、決済手数料の無料施策には慎重な姿勢

 質疑応答の時間には、QRコードなどを利用するコード決済について、競合他社が決済手数料を無料にするといった加盟店の取り込み策を強化している点で、対抗策を問われた。吉澤社長は「そういう動きは分かっているが、まだ決めていない。いろいろな検討をしている。決済手数料をゼロにするとなると、ほかに収益の手段を考えなければいけない」とし、慎重な姿勢をみせている。

4年縛り、「入れるつもりはない」

 ドコモは提供していないものの、高額な端末を48回払い(4年)で販売し、2年経過時に残債を免除する端末販売プログラムが“4年縛り”と呼ばれ、その実態は“半永久縛り”などとされて、独占禁止法の観点から公正取引委員会も問題視し、KDDIとソフトバンクが見直しを迫られている件について、所感を問われた。

 吉澤社長は、「4年の割賦は、もともと入れる(提供する)つもりはなかった。(2社が提供した内容は)抜けられない内容で、それをやってしまうと、あまりにも拘束し過ぎる。我々は選択しなかった。入れるつもりはない」とコメント。

 同氏はまた、“4年縛り”を見送ったことに関連して、「docomo with」の提供に言及。「端末は正価で、通信料金はずーっと割引。長く使ってもらえるプランを出した。拘束するのではなく」とし、ユーザーを引き止めるためのアプローチが異なっていることを示した。

 このほか、「ベーシックシェアパック」なども、家族ではなく1人で契約するユーザーの解約抑止に効果があったとし、「今後もかなり数字が増えてくる。今年の前半はポイントになる。(プランの内容は)収益面では減だが、解約抑止策として強化していく」と方針を語っている。

 総務省の検討会の報告書でも触れられた中古端末の流通促進については、ドコモが下取りした端末は「経済合理性を考えて、下取りした端末は高く買ってもらえる業者に売っている」とコメント。下取りした端末を店頭で販売することは「考えていない」としつつ、国内の市場に出回るようにする施策は「考えていきたい」とした。

 なお、決算会見で触れられた、2年契約の更新月の見直しについては、別記事を参照していただきたい。