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愛車とLINEで会話も、トヨタが通信機を標準搭載へ

新型クラウンとカローラ スポーツが対応、コネクティッドカー本格展開

 トヨタ自動車は、車両に通信機を搭載し、収集した車両データをさまざまなサービスで活用する“コネクティッドカー”の本格展開を開始する。6月26日に発売した新型クラウンと、新型車のカローラ スポーツでは、全グレードでコネクティッドカーに必要な機器を搭載するほか、トヨタは今後、国内で発売するほぼすべての乗用車に通信機を搭載していく方針。

 トヨタが推進するコネクティッドカーでは、車載通信機「DCM」(Data Communication Module)が車両の制御ネットワーク(CAN)に接続、車両の状態をデータとして収集し、モビリティサービス・プラットフォーム「MSPF」に集約されて、アドバイスやレポートといったサービスが車両に提供される。

新型車のカローラ スポーツ
新型クラウン

 “初代コネクティッドカー”を標榜する新型車のカローラ スポーツは約214万円~、新型クラウンは約461万円~(いずれも税込)。通信サービスのT-Connectサービスは3年間は無料で、4年目以降は年額1万2000円(税抜)。

故障時、予防整備の通知で車両データを活用

 トヨタでは、高度化・複雑化している自動車の保守や修理に、車両データを活用する。従来からある緊急通報サービスなどを加えることで、年間を通して車両とユーザーを見守る体制を構築する。

 車両データを活用した安心サービスとして、具体的には、「eケア走行アドバイス」「eケアヘルスチェックレポート」が提供される。

 「eケア走行アドバイス」は、故障などの異常が発生した場合、車両データから状態が診断され、オペレーターが車載マイクとスピーカーを使ってアドバイスや近くの販売店への誘導を行う。

 「eケアヘルスチェックレポート」では、収集された車両データから、状態を常時診断し、トラブルが発生する前に整備をすすめるなどする。例えば、バッテリーの始動時の電圧が徐々に下がっている場合、担当の販売店の端末に、予防整備のアラームが通知され、販売店のスタッフからユーザーに連絡される。販売店からのメッセージは車両のナビに配信されて読み上げられるため、通知漏れを防ぐ仕組みになっている。

事故発生時の通報

 エアバッグの展開と連動する緊急通報サービス「ヘルプネット」は、衝突時の車両データから乗員のダメージを瞬時に解析して消防本部に送信するほか、消防本部の判断でドクターヘリなどを出動させる救命サービスは全国規模に拡大される。

走行データ連動型保険が適用可能

 コネクティッドカーに車載通信機「DCM」が標準搭載されることで、走行データ連動型保険の適用も可能になる。車両データと、サービスプラットフォームの「MSPF」に蓄積されている走行ビッグデータから算出される「安全運転スコア」をスマートフォンからチェックでき、この安全運転スコアと連動する自動車保険プラン「トヨタつながるクルマの保険プラン」が、あいおいニッセイ同和損害保険から発売される。保険料はスコアと走行距離から毎月決定され、割引率は運転分保険料の最大80%、トータル保険料の9%の割引になるとうたう。

オンラインサービスが便利に

 このほか、車載通信機「DCM」が標準搭載されることで、AIのバーチャルエージェントがナビの目的地を設定する、機器の取扱説明を行うといった、「AI音声エージェント」を利用可能。愛車を友だちとして追加し愛車と会話ができる「LINEマイカーアカウント」や、プログラムや地図データが常に最新版に更新されビッグデータ交通情報も活用される「ハイブリッドナビ」などの機能・サービスも利用できる。

新型クラウンはインフラ・車両同士の通信にも対応可能

 新型クラウンはオプションに「ITS Connect」が設定される。このオプションを搭載した車両は、ITS専用周波数(760MHz帯)を使用して、道路に設置されたインフラ設備や車両同士の直接通信により、見通し外の情報や信号などの情報をドライバーに知らせる機能が搭載される。