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総務省、次のターゲットはワイモバイルとUQ

「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」第1回

 大手キャリアのサブブランドは優遇されていないか、2年縛りが自動更新されるのは問題ではないか、はたまた中古端末が流通しづらいのは何故か――そんな論点で日本の携帯電話市場を論じる有識者会合「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の第1回が総務省で開催された。

 事前の案内で「大手携帯電話事業者とMVNOとの間の同等性の確保」「MVNO間の同等性の確保」といった検討事項が挙げられていた中、初会合となる今回、論点として挙げられたのは「モバイルネットワークの接続条件・接続料について」「利用者の利用期間拘束について」「中古端末の国内流通について」「利用者による利用実態に合わせたサービス選択について」「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針について」の5つとなった。

サブブランド、グループが優遇されていないか

 接続料に関する議論が行われる背景には、大手キャリアのサブブランドであるUQコミュニケーションズや、ワイモバイル(Y!mobile)が優遇されていないか、という疑問がある。

 総務省が一般的なMVNOへヒアリングを行ったところ、「他のMVNOでは実現できないような料金が設定されている。優遇されているのでは」という声が挙がったという。

 これに有識者として会合に参加する北俊一氏(野村総研)は「MVNOの多くがドコモ回線を利用しており、私がauやソフトバンクの立場ならサブブランドに注力する。ドコモはMVNOに対する歴史が長く体制がしっかりしており接続料も一番安い。MVNO間の同等性をしっかり確保すると同時に構造的なゆがみをどう直していくのか」と指摘する。

 またIIJが以前、「au回線ではテザリングができない」という事例を報告していた点についても、有識者の一人である池田千鶴教授(神戸大学大学院、独占禁止法)は大手キャリアグループのMVNOだけ優遇されるのか、問題視する姿勢を見せる。池田教授はSIMロックがかかった中古端末を購入してもロックを解除できないことも課題に挙げている。

 UQコミュニケーションズのWiMAXや、ソフトバンク傘下のWireless City PlanningによるAXGPといったブロードバンドサービス(BWA)は、WiMAX/AXGP単体のMVNOは存在するものの、大手キャリア自身のように携帯電話サービスと一体的に提供する場合、MVNOにとって大手キャリアとBWAの両方と交渉する必要がある。今回は、円滑に手続きできるような整備が必要では、という指摘が挙げられた。

「期間拘束の自動更新、ユーザーの権利制限では」

新美教授

 座長を務める新美育文明治大学教授は、論点として「消費者への拘束、権利の制限がある」と指摘する。

 これは、2年縛りなどと呼ばれる期間拘束が自動更新されることを指したもの。一般的な消費者契約ではアウトだが、電気通信事業法で自動更新が認められている現状は、本当に意義あるものか問われていると新美教授。今回の検討会であわせて議論したい、と述べていた。

小林政務官「中古端末流通やMVNOの合併しやすい環境整備」

 会合には、坂井学総務副大臣が出席。また小林史明総務大臣政務官も音声のみながら、出張先から参加した。

坂井副大臣

 坂井副大臣は、「一ユーザーとしては、かなり料金プランが変化しており、もっとお得なプランがあるのか確認したいと感じた。それはつまり、消費者との間に意識、知識のギャップがあるということ。日本は自由経済ながら一定のルールが必要だ」と会合の意義をあらためて説明。

 小林政務官は「日本は中古端末市場がなかなか形成されていない。大手キャリアの端末値引きが行き過ぎていないか」と指摘。またMVNO市場で競争が激しくなり、合併をはかろうとしても阻害する要因があると聞いている、と語り、MVNO同士の合併・連携が実現しやすい環境を整備する必要性もあわせて訴えた。

3月に取りまとめ、MVNOや中古端末業者からヒアリング

 構成員からは、「一体的に販売するかぎり、ガイドラインの見直しに限界がある。auピタットプランやdocomo withが登場しており、分離プランの選択を促す施策も考えられる」(北氏)、「MVNOから撤退する事業者もいるということは安定的な供給に課題があるという認識」(日本総研の大谷和子氏)といったコメントも出ており、MVNOや大手キャリアとサブブランド、端末割引、大手キャリアの下取りサービス、中古端末の流通、期間拘束の自動更新といった点にメスを入れていく意向が示された。

 総務省ではあわせて6回の会合を開催する予定で、MVNOや大手キャリア、中古端末事業者、消費者団体などからの意見聴取を踏まえて、新たなガイドラインの整備などに結びつけていくと見られる。