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ソードアート・オンラインの世界をVRで再現、ドコモの5Gも活用

 NTTドコモとバンダイナムコエンターテインメントは共同で、ドコモが開発中の次世代の通信方式「5G」を活用し、人気アニメ「ソードアート・オンライン」の世界をハイスペックなVR機器で再現したVRアトラクション「ソードアート・オンライン レプリケーション」を開発した。12月8日~10日の期間、東京スカイツリータウンにあるドコモの特設会場「5G トライアルサイト」にて、事前応募で当選した300名が体験できる。なお、コンテンツを体験している様子は誰でも観覧できる。

「ソードアート・オンライン レプリケーション」体験の様子

 「ソードアート・オンライン レプリケーション」は、9月の東京ゲームショウで概要が発表されていたVRアトラクション。ライトノベル・アニメなどで展開されている「ソードアート・オンライン」の世界では、“フルダイブ”を謳うVR機器を使った、多人数同時参加型オンラインゲーム(VRMMO)が作品の中心になっており、今回のコンテンツでは「HTC VIVE」使用し、プレーヤーは「ソードアート・オンライン」の作品世界に入り込んだような体験ができる。

 ドコモでは、5Gの高速な通信性能を活用できる例として、大容量のデータを使うVRゲームに着目、VRゲームといえば「ソードアート・オンライン」ということになり、バンダイナムコと共同で、ゲームコンテンツにドコモの通信設備を組み合わせた。

 実際に会場内では、プレーヤー4人が同時に参加するマルチプレイの仕様で提供されており、遠隔地にあると想定するマルチプレイ用の同期サーバーが5Gの基地局に接続され、5Gの無線区間を経由して、プレーヤー側設備で同期データなどを受信し表示する仕組みになっていた。同期データは一人あたり16Mbps程度になっているとのことで、これを4回線分、まとめて5Gで伝送している。

「ソードアート・オンライン レプリケーション」を体験

 VRアトラクションの「ソードアート・オンライン レプリケーション」について、報道陣は先行して体験することもできた。スタッフにVR機器を取り付けてもらい、4人で同時に開始すると、ワープするような映像で“ダイブ”を開始、気分が盛り上がる。

 プレーヤーは、主人公のキリトやアスナになってプレイするわけではなく、「ソードアート・オンライン」にログインしたひとりのプレーヤーという形。夕日に染まった浮遊城・アインクラッドの広場で、今作のオリジナルヒロイン「ミスト」と出会い、ログアウトできなくなったVR世界を救うため、キリトやアスナと一緒に戦うことになる。

 両手に持ったコントローラーは、利き手が剣、もう一方の手で盾を構えることが可能。コントローラーのトリガーを押すことで剣に魔法を貯めることができ、攻撃はこの魔法剣による弱・強の遠隔攻撃が中心になる。巨大な敵が出現した後は、「ミスト」が倒れてしまわないよう守りながら、攻撃や防御を使い分けて戦っていく。

 作中にも登場したメニューを視界の中に表示でき、キリトやアスナと一緒の世界に自分も等身大で存在している感覚は、VRコンテンツならでは。「デスゲーム」が予告される導入部や、バトル終了後のエンディングもしっかりと用意されていた。プレーヤーが(リアルで)立っている場所は動かないので、体を使ったアトラクションにはなっていないが、ゲーム中では前衛と後衛が入れ分かることで立ち位置が変化していた。

 なお、同コンテンツは抽選で選ばれた300名が体験できるが、事前応募は1万4604件に上ったとのこと。

28GHz帯で1.2kmの距離を伝送、スカイツリーから浅草駅まで

東京スカイツリーの会場に、浅草駅前にいる女性を3Dにして合成して伝送、会話もできる

 NTTドコモはまた、東武鉄道、ファーウェイとの3社で共同実験を実施している。この共同実験は、28GHz帯(700MHz幅)を用いて、東京スカイツリーから浅草駅までの約1.2kmという、これまでの実験にはない長距離の伝送を行うもの。東京スカイツリー展望デッキ フロア340にファーウェイの基地局が設置され、約1.2km離れた浅草駅ビルの屋上に設置されたファーウェイの装置で、下り4.52Gbps、上り1.55Gbpsの通信速度を実現した。

 この実験では、Massive MIMOによりビームフォーミングを実施。遠くに飛ばすことが困難とされてきた高周波数帯を、都市部だけでなく地方や山間部などさまざまな環境で利用できる技術として実証できたとしている。

東京スカイツリー展望デッキ フロア340に設置されたファーウェイの基地局設備。眼下の浅草駅ビルを向いている