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ドコモ吉澤社長、「セカンドブランドを手がける気はない」~2017年の株主総会

ドコモの吉澤社長

 「docomo withを出すということはドコモがサブブランドをやるということか」「FOMAで提供していた2in1はどうしていくのか」――20日に開催された、NTTドコモの株主総会で挙がった質問だ。

 例年、株主というよりも消費者の視点を重視する質問が数多く繰り出される同社の総会だが、今回は、消費者と株主という2つの視点に基づいたドコモの戦略を問う質問が寄せられた。

docomo with、既存ユーザーへの適用は?

 2017年夏モデルのうち「arrows Be F-05J」「Galaxy Feel SC-04J」は、新たな料金プラン「docomo with」の対象機種だ。docomo withは端末割引がない一方で、通信料金が通常よりも1500円安くなる。対象機種を使い続ければ、1500円の割引が永続的に適用されるというもので、これまでにない新たな取り組みだ。

大松澤氏

 株主からの質問では、最初に「docomo with」について「端末購入を条件としているが、既存のユーザーやSIMフリー端末はどのように対応するつもりか」という問いが挙がる。これに取締役の大松澤清博氏は、そもそもドコモでは多くの施策を提供する中で、docomo withは、長く1つの端末を使い続ける人に向けたプランという位置付けと説明。

 吉澤和弘社長は「いったんdocomo withになった方の手元にSIMロックフリー端末があれば、料金はそのまま、2年後、3年後、4年後も1500円引きになる。対象機種が2つなのはスタートしたばかりだから、既存機種をどう適用していくか、今後検討していく」とした。

サブブランド、「やる気はない」

 docomo withでは、家族で利用する場合、子回線の利用料が月額280円で済むケースがある、とアピールしている。この料金の広告を見た株主が「ソフトバンクにはワイモバイル、auにはUQ mobileがあるが、格安スマホはMVNOに任せるのかと思っていた。ところが280円の料金ということは、ドコモがサブブランドをやるということか」と質問する。

 これに対し、MVNOは競合する関係である一方、その多くはドコモの回線を利用しており連携するパートナーであり、IoTやM2Mで新しい開拓も進んだというメリットもある、と大松澤取締役。

 さらに吉澤社長からは「セカンドブランド(サブブランド)との違いは、アフターフォロー。親身になった相談などはなかなかできていない。ドコモはお客さまサポートをしっかりやらせていただく。料金だけ安くするセカンドブランドを出す気はまったくない」と断言した。

2in1、どうする?

 FOMA時代、2つの電話番号を1台で使える「2in1」というサービスがあった。同サービスの今後を株主が質問すると、大松澤取締役は「現在のスマートフォンでは提供が難しい。仕様上、提供する予定はない」と回答した。

 最近のSIMロックフリースマートフォンでは、1台で2枚のSIMカードを装着できるものもあり、DSDS(デュアルSIM、デュアルスタンバイ)といった機能がアピールされることもある。しかし今回はそうした機能に触れることはなかった。

「ドコモのラグビーチームを育てて!」

 ドコモは今春、2020年度以降の展開を見据えた中期戦略「beyond宣言」を発表。ユーザーへの還元で囲い込みを進め、5G時代にはさまざまな企業との協力で広く展開する方針を示している。トレンドの先端技術でも、自動車とAIを組み合わせたコネクテッドカーで次世代交通に向け、7月には新部署(コネクテッドカービジネス推進室)を設立するほか、AIをベースに“究極のパーソナルエージェント”とうたうサービスの提供を予告する。

 こうした取り組みの一方で、NTTドコモが大阪に拠点を置くラグビーチーム「レッドハリケーンズ」を抱えている、ということはあまり知られていないのではないか……と株主が問いかける。

 レッドハリケーンズを話題にする株主は、サッカーのJリーグを中継する映像サービス「DAZN」とドコモの関係を念頭に、「レッドハリケーンズの本拠地がある大阪・南港は関空とも近い。空き地も多く、利益が見込める程度で自前のスタジアムを持って、スーパーラグビーに参加できるくらいになれば、国内外から集客できるのではないか」と提案。大きく育てることでコンテンツたり得るスポーツチームへ成長できるのではと語る。

ドコモの中山氏

 これに対して、日本ではスポーツが人気であり、DAZNのサービスも開始から「50~60万人に利用されている」とNTTドコモの中山俊樹副社長。2019年にはラグビーワールドカップが日本で開催されることから、ドコモ社内に専門チームを創設して対応していきたい、と意気込み、「レッドハリケーンズをもっと知っていただけるようにしたい。幅広いお客さまに体験してもらえるサービスを提供していく」と語った。