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Hulu、スマホでも音楽ライブやスポーツ中継を楽しめるように

 HJホールディングスは、動画配信サービス「Hulu」の配信システムを5月17日に刷新する。これにより、これまでパソコンだけで楽しめる形になっていた音楽ライブ、スポーツ中継などのリアルタイム配信を、スマートフォンやタブレットでも楽しめるようになる。

 リアルタイム配信で提供されるのは、FOXチャンネル、ナショナル ジオグラフィック チャンネル、Baby TV、ジャイアンツ LIVE ストリーム、スポーツ中継、BBCニュース、音楽ライブなどのイベント。視聴デバイスがパソコンだけだったところ、スマートフォン、タブレットでも利用できるようになる。

 リニューアル後、5月15日19時~5月17日8時は、一時的に入退会ができなくなる。新規のシステムになるため、リニューアル以降はあらためてログインする必要がある。

家族でも利用しやすく

 あわせて家族で利用しやすいよう「マルチプロフィール」が導入される。1つのアカウントで、最大6つのプロフィールを登録できる(同時視聴は1)。また、大人と同じ視聴方法でも、子供が利用する場合は年齢制限コンテンツが再生されないようになった。

 Huluのサービス全ての経路でSSL通信が採用され、暗号化が施される。

 一方、リニューアルに伴うコンテンツ保護関連の影響により、シャープ、ソニー、パナソニックのテレビやBlu-rayレコーダーの一部、任天堂のWiiとニンテンドー3DS/LLといった機器のサポートが終了する。

米国のシステムから刷新

 会員数が151万2000人(2016年12月時点)に達し、4万本以上の作品を配信するHulu。3年前に日本テレビ傘下となり、2014年ごろから一気に動画サービスが拡がり、ニーズが多様化した。当初はパソコンで視聴するユーザーが多かったが、最近のスマートフォンの普及を受け、現在はモバイル視聴のユーザーが最も多い。

 日本テレビ傘下であり、日本の企業として展開しているHuluだが、実はこれまで配信システムは米国のものを使う形だった。動画サービスが増え競争が進み、機能やニーズが多様化する中、コンテンツホルダーから権利保護の要求も高まっており、このタイミングでより自由にコンテンツを提供できるようにすべく、配信システムを米国のものから一新した、というのが今回の発表だ。

 リニューアルにあたり、動画サービスのユーザーへのインタビューを実施してニーズを徹底的に探ったと語るのは事業戦略室の太田正仁氏。「かなり丁寧な微細なチューニングみたいなことが多い」(太田氏)とのことで、たとえば番組を探すときにはジャンルやレコメンドから探すだけではなく、ユーザーが「見たい」と思っているであろうニーズにマッチするような「ドリルダウン絞り込み機能」を採用した。もし海外映画というジャンルにアクセスすると、まずは人気順で作品が一覧で並ぶ。そこで検索機能にアクセスすると、公開年代や製作国、アクションやSFなどのジャンルを調べられる。コンテンツのメタデータにも充実させて、検索時にヒットしやすくなった。

 また雑誌のように、さまざまな出会いを楽しめるよう「特集」を提供していく。社内にはコンテンツに対する造詣が深いスタッフが多いことに気付き、その力を活かしていくことにしたのだという。

iOS版の画面も刷新

 日本でのサービス開始から6年前を迎え、いわゆるVODサービスとなるHuluだが、特定のジャンルにこだわらず、百貨店のようにラインアップを充実させ、より幅広いユーザーに満足してもらえることを目指す。そこで今回、拡充が発表された分野のひとつがリアルタイムで配信されるコンテンツ。たとえばプロ野球の巨人戦やBBCニュースといったもので、今後さらにニュースチャンネルを2つ、音楽チャンネルを増やす方針で、「リニアにも力を入れる」とHJホールディングスの於保浩之社長は語る。

於保社長

 リアルタイム配信の強化の一環となるモバイルデバイスでは、AndroidとiOSではこれまでインターフェイスが異なっており、特にiOS版のほうが機能が絞られていた。しかし今回はフル機能が使える形にリニューアルされた。画質変更や通信容量の目安も表示されるようになり、たとえばパケット通信量が気になる場合は、低画質を選ぶという使い方ができるようになった。

 今後の目標とする会員数は具体的には示されなかったが、「これだけ頑張ったのだから、大幅な増加を目指している」と於保社長は笑顔でコメント。単なるオリジナルではなく日本テレビグループの力を活かす番組にも注力するとのことで、現在アンジャッシュの渡部建が出演するグルメコンテンツの「渡部の歩き方 グルメ王の休日」は、地方局との協力で製作。まず地方で放送して、その後Huluで、という取り組みで、たとえば金沢を舞台にしたときには視聴率が14%になった。こうした形で日本テレビグループならでは仕掛けを活かしつつ、今後、新たな取り組みを進めていくという。