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スタジオや保育園まで完備、LINE新本社レポート

 グループあわせて約1600人が渋谷→新宿へ大移動、オフィス内には保育園や、撮影・録音のスタジオまで完備――いまや日本を代表するサービスのひとつとなった「LINE」の新社屋が3日、本格的に稼働を開始した。

 一部のスタッフは先んじて移転を進めていたが、2017年度からLINEは新たな拠点で、世界へのさらなるリーチをはかることになる。

約1600人のスタッフが新拠点へ

出澤氏

 「CLOSING THE DISTANCE」というミッションを掲げるLINE。そのコンセプトはオフィスにも詰め込まれたと語るのは、代表取締役社長の出澤剛氏だ。

 そのコンセプトを実現するため、社内では「LINE STYLE」と言う行動規範、価値感を共有しているとのことで、その中心は「WOW(驚き)」。つまりユーザーへ驚きを届けることが重要であり、そのでニーズ(NEED)、スピード(SPEED)、サービスの細部(DETAIL)などを重視。さらにお互いをフォローしあうチームワーク(TEAMWORK)も鍵とされている。

 こうした理念に基づく新オフィスには、約1600人のLINE社員が勤務する。過去4年でスタッフの人数は約3倍に膨れあがり、これまでの渋谷ヒカリエの拠点だけでは収容しきれず周囲に2つ、ビルを借りていたが、チームワーク面で問題と判断。新宿ミライナタワーへの移転を通じてオフィスを統合する。スタッフのうち20%は外国籍のスタッフで、世界21カ国から精鋭が集う。

 またスタッフの平均年齢は34歳。数年前に入社したスタッフが、今回、新設された社内保育園を利用するようになったとのことで、LINEの成長にあわせて社員のライフステージにも変化が訪れており、新オフィスというハードウェアとともに、福利厚生というソフトウェアでも、働きやすい環境を整えた。たとえばカフェスペース内の一角に設けられた「LINE CARE(ラインケア)」という場所は、たとえば結婚した後にどういった手続きをすればいいかなど、いわゆる総務部門の窓口にあたるところだが、名称も一般的なものではなくLINEらしくすることで、より利便性を高めようとしている。

執務エリア、廊下にも工夫

 スタッフが普段、仕事を進める執務エリアには、高さを調節して、立ったまま利用することもできるデスクを配備。

 執務エリアに隣接する場所には、完全防音で、個別ミーティングや英語学習などの利用が想定されている「スタディルーム」や、リラックスして作業できるようなエリア、あるいは予約なしで気軽に使えるミーティングスペースなどが設けられた。特にこのミーティングスペースは、壁で仕切られたわけではなく、通りすがりのスタッフ同士が気軽に話したりするなど、ふとした機会で何かのアイデアが生まれたり、取り組みが進んだりすることを期待して設置された。

執務エリアすぐ横のスペースは、リラックスして作業したい場合などに
完全防音というスタディルーム

受付と会議室

 受付スペースでは、立体的なLINEのロゴ、さらにはブラウンのぬいぐるみとしては国内最大のものなどが置かれているほか、公園のように緑が配置され来客を出迎える。

 会議室は22部屋あり、扉横にあるタッチパネルは、予約が入っていれば赤色、空室であれば緑色と、わかりやすく利用状況を表現。さらにはLINEのアプリで、照明のコントロールができる仕組みを実験的に採り入れたところもある。

LINEアプリで照明をコントロール
眼下に新宿の街並み

より広くなったカフェスペース

 東京・新宿駅の新南口にそびえ立つJRミライナタワーのうち9フロアに入居した今回、渋谷時代にもあったカフェスペースは、1.5倍ほどの広さになった。

 いわゆる社食としての機能を備え、Soup Stock Tokyoメニューを楽しめるほか、弁当販売スペース、コーヒーカウンターがある。LINE Payで支払えるとのことで、購入したいもののQRコードを読み取れば、支払いが完了。その画面をレジスタッフに見せると品物を手にできる。実際の店舗で導入するには、その支払い画面が本物なのかどうか、一抹の不安もありそうだが、まずは社内で実験的に採用。前週、一足早く移転していたスタッフを対象に弁当販売で導入したところ、行列がなくなったというほど効率的になったという。

 カウンターテーブル付きの畳スペースや、飲料の自動販売機、ダーツマシン、ビリヤード台、最新のゲーム機まで用意され、仕事一辺倒ではなくリラックスする時間も重視する。

 渋谷時代にもあったマッサージルームは少し広くなって、カフェスペースに隣接する場所に用意された。スタッフによれば渋谷時代は毎日、全ての時間で利用されたとのことで、新宿に移転したLINEスタッフを癒す役目は今後も続きそう。

マッサージルーム
廊下のところどころに、LINEのキャラクターが姿を見せる絵画も
社内にはナチュラルローソン。前例からすると厳しいかもしれないが、ローソンがタイアップするあのゲーム内への反映にも期待したい

社内に保育園、懇親会からスタートした入社式

 社内にはポピンズ社が運営する「みどりの保育園」が設置されている。1年前に準備がスタートしたという保育園は、最大12人まで入園でき、まずは6人の子供たちが利用することになった。その名前は社員からの公募で決まったとのことで、LINEを使って保育士と保護者がコミュニケーションすることもできる。

 3日の入園式に登場したLINE代表取締役社長の出澤剛氏は「家族と仕事のバランスを取って充実した生活を」と語りかける。

 3日午前には、24人の新入社員を迎える入社式も実施。最初の15分は、新入社員がひとまず配属される部門の幹部が出揃い、飲み物や軽食を楽しみながら懇談する形式……となったが、多くのメディアが詰めかけ、新入社員へのインタビューが続々と実施される場面も。入社式という言葉からイメージされるような整然としたスタイルではなかったが、懇親会形式から始めた狙いについて、出澤社長は「同じ目線で話したかった」とその狙いを語る。

出澤社長が歓談しようとするとすかさずメディアに囲まれる。パーティのようだが、メディアの数も相当数で、なにやら落ち着かない空間になっていた
LINE上級執行役員の田端信太郎氏と新入社員のスタッフ
CSMOの舛田淳氏の姿も
ブラウンと記念写真を撮る新入社員たち
ケーキも用意

動画、音声の撮影スタジオ

 社内には撮影・録音スタジオが設置された。社員の顔写真の撮影や、LINEのサービスで使う素材の撮影、あるいは録音、さらにはLINE LIVEのコンテンツ制作に利用される予定で、出演者の控え室まである。内製機能を充実させることで、生産性の向上を図る狙いだという。

動画撮影のスタジオ
こちらはコントロールルーム
スチル用の撮影スタジオ。まだ全ての機材が搬入されていないという
控え室
録音スタジオ
録音スタジオのコントロール
CMなどが完成したらこちらで観賞、確認する