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孫氏「モバイル事業は世界一稼げる体制」、スプリントは「最悪の過去」から反転

 ソフトバンクグループは、2016年度第3四半期(10月~12月)の連結業績を発表した。

 連結売上高は2兆3096億3200万円、営業利益は2957億1600万円となった。

 国内通信事業は売上高が8461億400万円、営業利益は1855億5100万円。傘下の米キャリアSprintを対象としたスプリント事業は売上高が9294億7200万円で、営業利益は406億2100万円となっている。

 8日に実施された報道関係者向けの説明会では、ソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏が登壇し、業績の概要とビジョンについて語った。本記事では、国内通信事業やスプリント事業を中心にレポートする。

ソフトバンクグループ代表取締役社長 孫正義氏

国内通信事業「世界で一番稼げる体制に」

 稼ぎ頭の国内通信事業について孫氏は、「順調」と総括。携帯電話やモバイルWi-Fiルーターなどが対象の「主要回線」の契約数は3223万回線(前年比54万回線増)となっている。

 ソフトバンク携帯電話ユーザーがYahoo!ショッピングで“ポイント10倍還元”となる取組みや、前年比の2.6倍となる314万契約に達した「ソフトバンク光」を紹介し、好調をアピール。

 国内通信事業が順調に推移した結果、フリー・キャッシュ・フローが増加。2016年度通期予想は5000億円から5500億円へと引き上げられた。孫氏は「ボーダフォン買収以来、何度も潰れそうだったモバイル事業が世界で一番稼げる体制になった」と自信を示した。

 質疑応答では、記者から「ARPUが下がっていて、シェアも3位で横ばい」として今後の戦略が問われた。孫氏は、「数社が競争している体制では、サービスが改善されながら価格が下がっていく。従ってARPUも自然に下がる。単に競争していると下がるので、何かを加えなければいけない」として付加価値戦略を強調。具体策として、オプションサービスの拡充など「サービスメニューの拡大」と大容量プランなど「通信量の増加」を挙げた。

スプリント「最悪の過去」から脱出

 国内通信事業よりも時間を割いて紹介されたのが、買収したスプリント事業だ。

 2013年、米キャリアで当時3位だったスプリントを買収。当初、目論んでいた4位のT-mobileと合併する計画に挫折し、単体での再建を進めてきた。

 買収後のスプリントは、ネットワーク、純減、収益率、フリーキャッシュフローともに最悪だったという。孫氏は当時を「自信がなくなった、世の中がイヤになった、毛も薄くなった」と振り返る。

 「誰も買ってくれないなら、じぶんで這い上がろう」と、孫氏はスプリントのチーフ・ネットワーク・オフィサー(CNO)として陣頭指揮を取る。

 その結果として、設備投資を大幅に抑えつつ、ネットワークの信頼性を急激に改善し、再建を果たしたとする。現在はマルセロCEOに指揮を委ねつつ、週1回の電話会議にCNOとして参加しているという。

 買収価格の1.95兆円を上回る時価総額3兆円超となったことから、「スプリントがソフトバンクの足を引っ張っているという認識は、そろそろ改めていただきたい」と語った。

 質疑応答では、米国のトランプ大統領が表明している規制緩和に関連して、「T-mobile買収の再挑戦はあるか」という質問がなされた。詳細は別記事にて紹介している。