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ソフトバンクが米国の通信業界再編にもう一度挑戦へ、孫氏語る

 ソフトバンクグループが10日に実施した決算説明会にて、同社代表の孫正義氏は、米国の通信業界再編へ挑戦しなおす意欲を示した。

 ソフトバンクは2013年、米国のキャリアで当時シェア3位のスプリントを買収した。孫氏は当初は4位のT-mobileと合併することで、米通信業界の再編を狙うが、米国の規制当局が合併に反対し頓挫していた。

 その後、スプリント単独で経営を改善する方針に転換。孫氏はその成果を「営業利益の一番の牽引役はスプリントだ」とアピールした。スプリントの2016年度決算では、売上高は円ベースで赤字だったものの、ドルベースでは増収となった。営業利益は前年度の6倍の18億ドルとなったという。

 ネットワークの強化について触れられた後、孫氏は「コメントしておきたいことがある」として、米国の通信業界についての考えを語った。

 孫氏「トランプ大統領の新しい政府は、少なくとも前のオバマ政権よりは通信業界の再編について開かれた考えで、聞くつもりがある。前の政権は再編について取り合わず、けんもほろろの対応でビジネスがやりにくい国だった。現政権下での業界再編はあり得ると受け止めている。

 先月までは米国で周波数免許のオークションがあり、他キャリアの経営者との会話ができない状況だった。オークションが終わり、これから業界再編について、さまざまな可能性を自ら積極的に模索する」

 どのような形の再編になるかは、「相手がある話で、これから進めていくため今はまだ見えない。少なくとも開かれた考えでタブーなしで検証する」としつつも、「当然一番の本命は当初から構想を持っていたT-mobileだ。T-mobileとは真摯に心を開いて交渉に入っていく」と話した。

 T-mobileの買収をほのめかしたものと思われるが、発表の場では買収や売却という言葉は使われず、あくまで業界再編へ向けた意欲を示すコメントに留まった。