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ファーウェイ、日本市場への次の一手

今年度“ファーウェイショップ”をオープン

 ファーウェイ・ジャパンは6月9日、SIMロックフリーのスマートフォン「P9」と「P9 lite」などの発表会を開催した。

 この記事では、ファーウェイ・ジャパン デバイス・プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏が語った内容を中心に、発表会の様子をお伝えしたい。なお、製品については別記事を参照(※関連記事)。

ファーウェイ・ジャパン デバイス・プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

技術開発もマーケティングも豪快な投資で、世界3位に躍り出たファーウェイ

 冒頭、呉氏はグローバルでのファーウェイの業績を紹介した。2015年のスマートフォン出荷数ではアップル、サムスン電子に次ぐ世界3位となった。その勢いは止まらず、2016年第1四半期のスマートフォン出荷数では前年同期比で62%増となったという。

 成長の要因として、呉氏は「業績の拡大はテクノロジーへの投資と密接に結びついている」として、10年間で370億ドルという、巨額の額の技術投資を続けてきたことを紹介した。

 研究拠点も米サンフランシスコにUXデザインの拠点を置き、仏パリには美学研究、英ロンドンではビッグデータ、モスクワにはアルゴリズム、東京(横浜市)には通信技術を研究する拠点を置くなど、世界各地で研究開発を行っていると紹介した。

 また、サッカーのリオネル・メッシ選手や俳優のヘンリー・カヴィルとスカーレット・ヨハンソンなど、大物芸能人やアスリートを相次いでマスコットキャラクターに起用。日本では野球の福岡ソフトバンクホークスとスポンサー契約を締結している。

 囲み取材で呉氏は、こうした有名人の起用の目的について、ファーウェイだけではリーチできない消費者層に訴求していくことが目的とし、「ファーウェイはイノベーションを重視している企業。販売手法にも革新的な手法が盛り込まれている」と話した。

日本ではサポート拠点拡充、“ファーウェイショップ”も

 一方、呉氏は以前から、日本市場でのファーウェイの方針は「生き残ること」だと語ってきた。プレゼンテーションではOSアップデートの提供や東京・銀座にオープンしたサポート拠点など、顧客満足度を重視している姿勢を示した。

 サポート拠点については、「今年度にはカスタマーサポートセンターを次々とオープンさせる」と明かし、まずは東名阪など都市部から実店舗でのサポート拠点を展開している方針を示した。

 また、呉氏は、今年度中にはファーウェイの「ブランドイメージショップ」をオープンすることも明らかにした。家電量販店での販売も強化し、ファーウェイのコンセプトコーナーも展開する予定だという。

 今回発表された「P9」と「P9 lite」についても、発売にあわせて東京の品川、表参道、恵比寿の商業施設や、ビックカメラ、ヤマダ電機、イオンの東京近郊の店舗でタッチトライイベントを開催する。SNSでのキャンペーンなども予定されているという。

ハイエンドモデルを投入した理由

 囲み取材では、報道陣から日本市場で動向や今後の展開を中心に質問が飛んだ。

――5.2インチの「P9」と「P9 lite」を日本市場に投入したのはなぜか。

呉氏
 グローバルでは5.5インチの「P9 Plus」も提供しているが、日本では片手で操作できる小さめの機種が好まれることから、「P9」と「P9 lite」を投入した。5.2インチとはいえ、狭額縁設計になっており、片手で操作できる。

――2015年のP8シリーズでは「P8lite」だけを投入したが、今回フラッグシップの「P9」を投入した意図は。

呉氏
 2015年は日本のSIMロックフリー市場はスタートしたばかりで、ハイエンドモデルがほとんど存在しない状況だった。大手キャリアでハイエンドモデルが安価に提供されていたという事情もある。

 対して2016年には、総務省の方針もあり、大手キャリアでの廉価販売が少なくなった。SIMロックフリー市場も競争が激しくなり、ハイエンドモデルを含め、端末に求める要素が多様化している。

――「P9」がグローバルで発表されたときの価格は599ユーロとなっていた。日本での税別5万9800円という価格と比較すると、1ユーロ100円程度とかなり優遇されたレートになるが、それだけ日本での展開に本腰を入れるということか。

呉氏
 日本市場は我々にとって戦略的な市場だ。日本のユーザーにとって実質的な恩恵が受けられる値段に設定した。2016年5月には、日本のスマートフォン全体の出荷台数で、ファーウェイはアップルに次ぐ2位になっている。

――日本市場でも1位を目指すのか

呉氏
 今までも話しているように、淘汰が激しい日本市場での目標は“生き残ること”で、どの会社を打ち負かすというよりは生き残ることに主眼がある。

――出荷台数や売上が拡大した効果は主に新機種投入によるもの?

呉氏
 新機種だけでなく、「P8lite」など、2015年に発売した機種も寄与している。昨年発売した「P8lite」は、今でも皆様に評価をいただいている。

――「P9」が搭載しているライカブランドのカメラは、今後ほかのハイエンドモデルでも搭載されるのか。

呉氏
 「P9」では、単にライカのブランドを借りているだけでなく、ライカと共同開発として、開発チームにはライカの技術スタッフを招き、カメラの品質についてはライカの基準で定義している。今後の機種に搭載するかは、市場環境によって決める。

 今日はライカやスワロフスキーとのタイアップを紹介したが、今後、ラグジュアリーブランドとのタイアップを展開していく。

発表会の様子

 発表会ではモデルの秋元梢やフリーアナウンサーの青木裕子、写真家の西村光一氏が招かれ、試用した「P9」や「P9 lite」、「HUAWEI Watch」についての感想を語った。

左から写真家の西村光一氏、呉氏、モデルの秋元梢、アナウンサーの青木裕子

 鮮やかな青のパーティードレスで現れた秋元梢は、「いかにもデジタル機器というデザインだとためらうけれど、これならカジュアルな場でもフォーマルな場でも、気軽に着けられます」と話した。

 「P9 lite」を試用した青木は、「触ってみて薄いのに驚きました。使ってみてよかったのがカメラです。子どもが遊んでいるときにスマートフォンだけでパッと撮影できるのはいいですね」と母親目線の感想を語った。

 写真家の西村氏は、もともとライカファンだったこともあり、「P9」には興味津々だったという。普段持ち歩いているライカのカメラの代わりに「P9」で撮影した写真を披露し、「その場の空気感を撮れるというライカの精神が、スマホのカメラでも受け継がれている」と話した。

西村氏が「P9」で撮影した写真