インタビュー

楽天への新ローミングが始まってもau/UQ/povoの品質には影響しない――KDDIキーパーソンが語るその理由

 KDDIと楽天モバイルが5月11日に発表した、ローミングに関する新協定。その翌日に楽天モバイルは新料金プラン「Rakuten最強プラン」を発表し、KDDIローミングエリアでの高速通信が無制限になることをアピールしていた。

 これにより、auやUQ mobile、povoの通信に影響が出ることはないのか? KDDI執行役員 パーソナル事業本部 副事業本部長 兼 事業創造本部長の松田浩路氏に聞いた。

松田氏

 まず、従来のローミング協定は2026年3月末までの期間だったが、6月から適用される新たな協定は2026年9月までの期間となる。延長については「両社で協議をしていく」(松田氏)。

 ネットワークは変更がなく、4Gネットワークにおける800MHz帯のみをKDDIから楽天モバイルへ貸し出す。複数の周波数帯を同時に利用できるキャリアアグリゲーション(CA)はない。

 ローミングエリアは6月1日にWebサイトで公表される。もともと「楽天モバイルによる迅速な構築が困難なエリア」ということで「インドアの一部」があったが、今回は「東京23区・名古屋市・大阪市の一部繁華街エリア」が追加される。

 auやUQ mobile、povoの通信への影響に関して、松田氏は「心配には及ばない」とコメントした。

 理由として挙げられるのは、au/UQ mobile/povoで使えるネットワークと、ローミングで貸し出すネットワークに差があることだ。

 au/UQ mobile/povoの利用者は、KDDIが提供するすべての周波数帯を使える。また、キャリアアグリゲーションにより通信が高速化される。

 一方、楽天モバイルへのローミングは800MHzのみ。「KDDIの利用者は、良い体感速度で使っていただける」と松田氏は自信を見せた。

 エリアについても、KDDIの4G LTEエリアは関東エリアをほぼ全域カバーしている。

 一方、楽天モバイルのローミングエリアはスポット的な展開になっている。松田氏は「(今回の新協定で追加された)繁華街エリアでも、au/UQ mobile/povoの利用者の通信品質への影響はない」と語った。

 KDDIと楽天モバイルの間で、ローミングエリアの継続や終了に関する議論は続けられている。また、「総務省とも日々いろいろな意見交換をしている」(松田氏)。

 「ローミングが終了したエリアが復活することはあるのか」という質問に対して、「6月の時点ではおそらくない」と答えた松田氏。続けて「今後の協議において、そういった部分が出てくる可能性もないとは言えない」と語った。