インタビュー

シャオミのスティーブン氏&安達氏が語る「Redmi Note 11 Pro 5G」

 シャオミ(Xiaomi)は19日、日本国内向けに5G対応スマートフォン「Redmi Note 11 Pro 5G」を発表した。オープンマーケット版が4万4800円で販売されるほか、楽天モバイルでも取り扱われる。

 シャオミ 東アジア担当ゼネラルマネージャーのスティーブン・ワン(Steven Wang)氏と、シャオミジャパン プロダクトプランニング部 本部長の安達晃彦氏は、メディアの取材に応え、同製品を紹介した。

 本稿では、両者によるプレゼンテーションや質疑応答、インタビューの様子をお届けする。

左:スティーブン氏、右:安達氏

プレゼンテーション

 スティーブン氏はまず、ハードウェア業界の現況について「非常に困難な一年」と切り出した。同氏はその理由として、原材料費の高騰や為替変動、部材の供給不足を挙げた。

 スティーブン氏は「どのメーカーにとっても難しい状況」としながら、シャオミにとって譲れないものとして「妥協のないユーザー体験」を紹介。コストダウンなどに取り組みつつ、ユーザー中心の製品開発を進めていくとした。

 その取り組みの一環としてシャオミが国内で始めたのが、「Xiaomiモノづくり研究所」。

 オフラインイベントという位置づけで、6月2日までユーザーを募集し、製品へのフィードバックなどを受け付ける。また、製品発売前のテストなども行っていくという。

 続いて安達氏が登壇し、「Redmi Note 11 Pro 5G」を紹介した。

 Redmi Note 11 Pro 5Gのキャッチコピーは、「ハイパフォーマンスを日常に。実力派の5Gスマホ」というもの。

 本体カラーとしては、グラファイトグレー、ポーラーホワイトの2色に加え、“水辺の波紋”をイメージしたというアトランティックブルーもラインアップする。

 サイズは約164.1×76.1×8.12mmで、重量は約202g。フラットフレームが採用されている。

 アウトカメラとして、約1億800万画素のメインカメラをはじめとしたトリプルカメラを搭載。

 メインカメラには1/1.52インチのセンサー「Samsung HM2」が採
用され、1つのピクセルを9つのピクセルで表現する「9-in-1ビニングテクノロジー」などを搭載する。

 マクロ撮影や超広角撮影をサポートするほか、「ナイトモード 2.0」により、暗所でも鮮やかに撮影できる。

 安達氏は、「フラッグシップ級のカメラテクノロジーが搭載されている」と自信を見せた。

 6.67インチのAMOLEDディスプレイは、120Hzのリフレッシュレートに対応し、なめらかな操作感を実現する。また、360Hzのタッチサンプリングレートによって、ゲームも快適にプレイできる。

 チップセットは、6nmプロセスの「Snapdragon 695 5G」を搭載。6GBのメモリー(RAM)と128GBのストレージ(ROM)を備え、ストレージは最大1TBまで拡張可能となっている。

 バッテリー容量は5000mAhで、67Wの急速充電に対応。わずか15分で約50%充電することができ、「だいたい1日は使える」と安達氏。

 また、急速充電による端末温度の上昇に対し、冷却技術の「LiquidCoolテクノロジー」を備える。

 製品に同梱される67Wの急速充電器を使えば、スマートフォンだけでなくパソコンなども充電できる。

 防水・防塵性能はIPX3/IP5X。NFCおよびFeliCaに対応し、3.5mmのヘッドホンジャックも搭載している。

 オープンマーケット版の価格は4万4800円。公式オンラインストアのほか、MVNOなどでも取り扱われる。また、MNOとして楽天モバイルからも発売される。

 また、アフターサービスの強化として、これまで土日祝日は休みだったホットラインが年中無休になった(年末年始を除く)。加えて、オンラインのカスタマーサービスもスタートする。

 安達氏はプレゼンテーションの最後に、グローバル展開されているシャオミ製品について、日本での展開予定を紹介した。今後、スマートプロジェクターやデスクトップモニター、掃除機が日本市場に投入される見込み。

質疑応答

――キャリア版におけるバンド制限に関する方針をお聞きしたい。

安達氏
 Redmi Note 11 Pro 5Gに関して言うと、今回初めて楽天モバイルに採用いただいた。バンドの対応は、オープンマーケット版と楽天モバイル向けで基本的に変更はない。

 これまでもそうだが、シャオミとしては、オープンマーケット版が基本的にはベースとなってきた。可能な限り、日本の通信事業者のバンドには対応するというのが基本的なスタンス。

 ただ、5GのN79には非対応となっている。

――それ以外の仕様について、オープンマーケット版と楽天モバイル版で差異はあるのか。

安達氏
 楽天モバイル版はカラーリングが1色少ないが、基本的にはそれ以外の差分はない。

 ただ、楽天モバイル向けのモデルについては、「Rakuten Link」をはじめとしたプリインストールアプリが搭載されている。また、挙動に関して、楽天モバイル側の要望への対応も一部ある。

――1億800万画素のカメラは、画素数が多い分、処理能力が求められると思う。チップセットは「Snapdragon 695 5G」とのことだが、十分な速度で撮れるのか。

安達氏
 カメラについては、通常は1200万画素で処理している。通常モードで撮影いただくぶんには、ストレスなく快適に撮影いただけることを確認済み。

 一方、1億800万画素の高解像度モードについては、1ファイルで15MB超の大容量になる。正直なところ、通常モードほどの機敏さはないが、チップセットを限界まで使うようなチャレンジはしている。

スティーブン氏
 1億800万画素のカメラについては、3年前にリリースしたが、カメラセンサーのパフォーマンスについては満足がいくと思っているので、今回も採用した。

 さらに、より良いパフォーマンスを出すためのチューニングも継続して実施している。

インタビュー

――Redmi Note 11 Pro 5Gをこのタイミングで日本市場に投入した理由について、あらためて教えてほしい。2カ月前に出た「Redmi Note 11」と、投入のタイミングが少しずれた理由も含めて知りたい。

スティーブン氏
 実はこの2モデルについては、最初から日本で出すことを決めていた。

 ただ、位置づけが異なり、Redmi Note 11は「エントリーモデルのなかで最も良いユーザー体験をもたらす」もの。

 一方、Redmi Note 11 Pro 5Gは、「ハイエンドなユーザー体験をもたらすが、ミドルな値段で手に入る」という位置づけ。

 このように、異なる位置づけのモデルを展開していくのは、非常に価値があると考えている。

 タイミングがずれたのは、今回の楽天モバイルとの協業があったから。Redmi Note 11 Pro 5Gを楽天モバイルから発売するというのは昨年の時点で決まっていたが、そこからネットワーク試験などに時間を要した。

――楽天モバイルは、完全仮想化ネットワークという強みがある。端末メーカーとして、そういったネットワークに対応するうえで、何か特別な準備が必要だったのか。

スティーブン氏
 ネットワークに関しては、我々の任務はしっかりとバンド対応をすること。楽天モバイルの通信を使う際に、高品質な通話やネットワーク接続をできるようにした。

 したがって、オペレーターのほうでどういったネットワーク構成を採用していようが、我々のやることに変わりはない。

――製品のラインアップについて、さまざまな価格帯の製品を取りそろえていることに何か狙いはあるのか。

安達氏
 ラインアップの数やタイミングについては、より整理していきたい意識はある。

 一方で、さまざまな製品を持っているシャオミだからこそ、ホットな価格帯のところに製品を投入できるという強みはある。

 市場環境と、シャオミのグローバルな製品ラインアップ、他社の競争状態を考慮して、「Redmi Note 11」シリーズからは2機種投入させていただいた。

 今後は、よりシンプルなかたちで届けたいという気持ちは保ちつつ、シャオミならではのラインアップを充実させていきたい。

――プレゼンテーションでも紹介されていたが、昨今の世界情勢はプライシングにどれだけ影響しているのか。

スティーブン氏
 これは我々だけでなく、業界全体が直面している問題。

 我々としては、コストの最適化に努めていきたい。具体例のひとつとしては「研究開発のリソースの流用」が挙げられる。今までフラッグシップに使っていたリソースを、ミドルレンジのスマホに使うような取り組みをしている。

――価格を安くする手法として「スケールメリット」があると思うが、為替の変動などもある。今回のRedmi Note 11 Pro 5Gの価格は、そうした状況などをふまえたものになっているのか。また、ローカライズで日本ならではの機能を付加することも難しくなっていると思うが、そのあたりは。

スティーブン氏
 こうした状況は当分の間続いていくものであると思っているので、新しい現実として受け入れるしかない。

 おっしゃるとおり、我々にはスケールメリットもあるので、海外メーカーとして、日本市場でインパクトを受ける度合いは少なめになる。

 また、日本向けのカスタマイズのコストは実際それほど変わっていない。日本では人件費で費用がかさむことが多く、たとえばIP68を実現するための部品はそれほど高くないが、研究開発にコストがかかる。

 我々としては、コストの最適化に努めていく。Redmi Note 11 Pro 5Gの価格はすでに、こうしたあらゆる要素をふまえた価格になっている。

――Redmi Note 11 Pro 5Gは5G SAに対応しているのか。

安達氏
 非対応。今後、我々の製品が対応する可能性もあるが、Redmi Note 11 Pro 5Gについては、少なくとも出荷時は非対応となる。

――(安達氏に)シャオミに加入して、スティーブン氏とはどのようなやり取りがあるのか。

安達氏
 正直に言って、今のところまだバチバチやっていない。これからお互いに言いたいことを言って、切磋琢磨していきたいと思う。

 (スティーブン氏と)異なるところもあるが、スマートフォンなどのデバイスに対する情熱があるところは同じ。あと、ユーザー中心に考えるところも共通していて、そこは大きなベースになっていると思う。