インタビュー

「AQUOS R7」の進化ポイントとは、新センサーやディスプレイ、ユーザーからの声で改善

 9日、シャープは新型Androidスマートフォン「AQUOS R7」を発表した。同社のフラグシップである「AQUOS R」シリーズの最新型で、新開発の1インチセンサーカメラなどを特徴とするハイエンドモデルとなる。

カメラやディスプレイの進化

 シャープ パーソナル通信事業部 部長の小林繁氏は、AQUOS R7のポイントについて「5G、カメラ、ディスプレイ」の3つであると語る。

 小林氏によれば、5Gの通信速度は大きく向上している。サービス開始当初と現在を比較すれば。下り速度は2.5倍、上り速度は10倍にも達しているという。「固定と移動の速度差が縮まってきた」という小林氏は、その進化のスピードに着目する。

 光ファイバーが10Gbpsに達するのに10年も要したことから比較すると、5Gの速度向上は目覚ましい。小林氏は2025年には5Gの下り速度が10Gbpsに達するのではという予測を示す。

 AQUOS R7では、5G SA方式に対応。現在一般的なNSA(Non Stand Alone)と比較してSA(Stand Alone)では、より高速大容量かつ多接続といった5Gの特長を活かした利用が可能になる。

 現状では、スマートフォン向けとしてSA方式を提供する通信事業者はないものの、KDDIでは2022年夏以降にも個人向けサービスとして、5G SA方式を提供するとアナウンスしている。

 また、ミリ波とSub6帯のデュアルコネクティビティに対応しており、通信速度は最大で下り4.9Gbps、上り1.1Gbpsに達する。

新開発のセンサーを搭載

 前モデル「AQUOS R6」で話題となった1インチセンサーカメラを今回も引き続き搭載している。しかし、センサー自体はAQUOS R6に搭載のものではなく、AQUOS R7のために新たに開発されたもの。

 小林氏は「(デジカメ用そのままというよりも)よりスマホ向けのモダンな設計のセンサー」と説明する。

AF速度向上

 シャープ パーソナル通信事業部 商品企画部 課長の楠田晃嗣氏によると、新たに開発したセンサーにより課題となっていたオートフォーカス速度大幅に向上した。

 AQUOS R7では、全画素でOcta PD AFに対応。1ピクセルに8つの位相差センサーが埋め込まれたかたちとなっており、これによりAFスピードの高速化を実現している。AQUOS R6との比較では2倍以上の高速化を達成したという。

 2021年にAQUOS R6では、スマートフォンに1インチセンサーを搭載するというチャレンジに挑み話題を呼んだ。一方で、市場からの反応としてオートフォーカス速度が課題として持ち上がったというが、今回のAQUOS R7ではユーザーからの声に応えて改良された。

焦点距離も改善

 さらに焦点距離も改善。これまでは被写体から14cm~16cm程度離れる必要があったが、12cm程度まで寄れるようになったという。

カメラセンサー。左から「AQUOS R5G」、「AQUOS R6」、「AQUOS R7」

 マクロレンズを備える機種ほどではないにしろ「QRコードの読み取りなどは無理なく使えるようになっているのではないか。一般的な二次元コードであればほとんど問題ないと思う」と小林氏。

人物撮影にこだわり

 小林氏はAQUOS R7の1台で「日常から非日常までのすべてをカバーできる」と自信を見せる。中でもこだわったのは「人物の写真」という。

 「もっとも見返す写真、思い出の写真は人物の写真。スマホだと料理や風景などもあるが見返す頻度は高いのは人物写真」として写真の思い出の中心には常に大切な人の存在があるとポートレート撮影へのこだわりを語った。

 また、カメラそのものがAQUOS R6では本体の若干左側に配置されていたのに対して、AQUOS R7では本体の中心に据えられており違和感のない使用感を実現しているというのもひとつのポイントとなる。

「アイドリングストップ」はさらに進化

 ディスプレイは、6.6インチのOLEDディスプレイ。同社が液晶の開発で培ったノウハウを投入した「Pro IGZO OLED」ディスプレイが搭載される。

 周囲の環境により画質を最適化する「スマートカラーマッチング」や太陽光の下でも見やすい「アウトドアビュー」などを利用できる。120Hz駆動のスマートフォンも増えて来た中、シャープでは120Hz駆動の合間に黒画面を挿入する240Hz駆動で網膜残像を軽減。なめらかな映像を楽しめる。

 最低1Hz駆動まで低下させてバッテリーを長持ちさせる「アイドリングストップ」はさらに進化。同機能は、ユーザーの操作が止まった瞬間を瞬時に検知し、リフレッシュレートを1Hzまで低下させる一方、操作の再開も素早く認識しなめらかな操作感を実現している。一連の動作をよりブラッシュアップして、より省エネかつ操作時の滑らかさも実現しているという。

デザイン・UIにも改善

 このほか、本体デザインとしてもこれまで搭載されていたアシスタントキーを廃止。電源ボタン・音量キーを手の届きやすい場所に移動するとともに大型化。より片手で扱いやすくなっている。

 また、インターフェイスとしても大きく進化。小林氏によると「AQUOS R6は購入層が大きく変わった」という。カメラアプリでは、同社が長年採用してきたインターフェイスデザインだが、AQUOS R6では改善要望が多くあったことを明かす。

 これまでのユーザーが戸惑うようなことはしないとしつつも、たとえばAF時の動きやHDR撮影時の次撮影可能になるまでのスピードなど、マニュアルモード時の設定を保存できる「お気に入り設定」という機能も新たに追加されるという。

 AQUOS R7で加えられる機能は一部、AQUOS R6でも利用可能になる見込み。

 小林氏は「スマートフォンの進化は続いていく。新しいアイデアでイノベーションを起こして行きたい」とした上で「スマートフォンほど人に接触点のあるデバイスはない。そういう領域は人にとってプラスになるイノベーションになりやすい。そのきっかけを作るということからも今後もどんどん進化させていきたい」と語った。