【IFA2019】

シャープが「AQUOS R3」を欧州に投入、廉価ハイエンドの「AQUOS V」も披露

 シャープは、ドイツ・ベルリンで6日(現地時間)に開幕するIFAに先立ち、5日にプレスカンファレンスを開催。スマートフォン関連では、フラッグシップモデルの「AQUOS R3」を欧州で展開することを発表した。合わせて、欧州市場を攻略する戦略的なモデルとして、超低価格なハイエンドモデルの「AQUOS V」も披露している。

AQUOS R3の投入を発表したシャープ。写真は、欧州法人のバイスプレジデント、サッシャ・ランゲ氏

 スマートフォンの欧州展開は、昨年のIFAで発表された。ただし、日本や台湾などと異なり、欧州ではミドルレンジモデルが中心。「AQUOS C10」や「AQUOS D10」といった、日本にはない端末が販売されていた。欧州のスマートフォン市場には再参入を果たしたばかりで、ブランド力がない中、フラッグシップモデルの投入は時期尚早と判断していたようだ。

 これに対し、5日のプレスカンファレンスで発表されたのは、日本版とほぼ同じ仕様のAQUOS R3。同モデルは、ドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアが取り扱っており、高いパフォーマンスを誇る。動画と静止画を別々のカメラで撮影できるほか、撮影後の動画をAIが自動的に短縮して編集する機能にも対応した。こうした特徴は、欧州版にも継承。プレスカンファレンスでは、これらの機能に加えPro IGZO搭載でリフレッシュレートが120Hzと高いことなどが紹介された。

欧州版のAQUOS R3。基本的な仕様は、ほぼ日本版と同じ

 日本市場での実績も、欧州向けにアピールした。欧州のシャープでセールス&マーケティングのバイスプレジデントを務めるサッシャ・ランゲ氏は、「シャープは、日本のAndroidでナンバー1のブランド」と解説。その実績を引っさげ、欧州市場にフラッグシップモデルを導入するというのが、シャープの戦略だ。価格は729ユーロを予定する。

日本市場での実績もアピールした

 欧州版のAQUOS R3は、日本版とほぼ同じ仕様だが、FeliCaは搭載しない。一方で、販路はオープンマーケットになり、デュアルSIMに対応する。

デュアルSIMは、日本版のAQUOR R3にない仕様だ

 もう1機種、欧州向けに発表されたのが「メインストリームのスマートフォン」(同氏)になるAQUOS Vだ。同モデルは、229ユーロと低価格ならが、チップセットにはSnapdragon 835を採用。価格帯はミドルレンジモデルと同等か、やや安い程度だが、チップセットはハイエンド向けという異色の端末になる。

Snapdragon 835を採用したAQUOS V
デュアルカメラを搭載し、人物撮影時に背景をボカすことが可能。カメラは2つとも13メガピクセル

 Snapdragon 835は2世代前のハイエンド向けチップセットで、AQUOSでは、初代「AQUOS R」が採用した。2世代前のものだが、パフォーマンスは現行のミドルレンジモデル以上と、コストパフォーマンスが高い1台に仕上がっている。シャープによると、AQUOS Vは親会社の鴻海と欧州市場を攻略するため、戦略的に開発したモデルとのこと。あえて古いSnapdragon 835を採用したのも、コストダウンのためだという。

 このほか、シャープのブースには、ソフトバンクの5Gプレサービスでも使用された、5G対応のAQUOSが展示されていた。残念ながら、展示機は機内モードになっていたが、日本で展示した試作機と同モデルとのこと。シャープは、日本で5Gの商用サービス開始に合わせて端末を投入する意向を示していたが、IFAのプレスカンファレンスでも、改めてその姿勢をアピールした。

ソフトバンクの5Gプレサービスで使用されたのと同じ、5G対応の試作機