【IFA2015】

Huawei、感圧ディスプレイ搭載のフラッグシップ「Mate S」など発表

「Huawei Watch」の詳細も

 Huaweiは、9月3日(現地時間)からIFA 2015が開催されるドイツ・ベルリンにおいて、新製品発表会を開催し、感圧ディスプレイを搭載したフラッグシップスマートフォン「Mate S」、普及モデルの「G8」を発表した。同時に、開発を明らかにしていた腕時計端末「Huawei Watch」の詳細も発表した。

感圧ディスプレイ搭載の新フラッグシップモデル「Huawei Mate S」
新製品発表会が行なわれたベルリン市内のMax-Schmeling-Halleには、早くから関係者が詰めかけていた
新製品には「Touch. Made Powerful」というメッセージが掲げられていた

感圧ディスプレイを搭載した「Huawei Mate S」

 発表会では冒頭、同社Consumer Business GroupのCMO(Chief Marketing Officer)のGlory Chueng氏が壇上に立ち、ファーウェイを持つユーザーが世界中に拡大し、着実に支持を拡げていることをユーザーの声を交えながら紹介した。

 続いて、同社Consumer Business GroupのCEOのRichard Yu氏がステージに登場し、今回の新製品について、発表した。

ユーザーからの声を交えながら、Huaweiのマーケティング戦略を語るConsumer Business GroupのCMO(Chief Marketing Officer)のGlory Chueng氏
製品のプレゼンテーションに登壇したHuaweiのConsumer Business GroupのCEOのRichard Yu氏

 まず、最初に発表されたのがフラッグシップモデルの「Huawei Mate S」だ。昨年の同じ時期に発表された「Huawei Ascend Mate 7」の後継モデルに位置付けられ、今回のMate Sは「Touch Mode Powerful」と題し、タッチ操作に多彩な新機能を搭載した意欲作であるとした。

 ボディはフルメタル筐体を採用し、美しい曲線の背面、デュアルダイヤモンドカットの側面、2.65mmという最薄部、エッジ部分を曲面で仕上げたGorilla Glass 4で構成される。ディスプレイは5.5インチでフルHDのSuperAMOLEDを採用し、401ppiを実現する。背面についてはアンテナを内蔵しながら、背面パネルのアンテナ部分の処理をiPhone 6/6 Plusのような白い目立つものではなく、ボディと同系色で仕上げ、線の部分の太さもiPhone 6 Plusの20mmに対し、Mate Sでは15mmにすることで、うまく目立たないようにしている。

 5.5インチという大型ディスプレイを搭載しながら、狭額縁で仕上げることにより、幅75.3mm、高さ149.9mmを実現し、同サイズのディスプレイを搭載するiPhone 6 Plusに比べ、幅で2.5mm、高さで8.2mm、コンパクトにまとめている。曲線状の背面や薄い側面部分とも相まって、手に持った印象も非常に持ちやすく、5.5インチディスプレイ搭載モデルを感じさせないサイズ感となっている。

発表されたフラッグシップモデル「Huawei Mate S」。タッチコントロールの新しい時代を実現するモデルと語る
美しく調和の取れたボディデザインを実現
緩やかな曲線で仕上げられた背面。手にフィットして、持ちやすい仕上がり
エッジ部分の最薄部は2.65mm。仕上がりを美しい
メタル筐体を採用
ガラスはエッジ部分をラウンドさせたGorilla Glass 4を採用
ディスプレイは5.5インチのフルHD対応SuperAMOLEDを採用
背面はアンテナ部分が目立たないように仕上げている
iPhone 6 Plusのアンテナ部分は20mmと太いのに対し、Mate Sは15mmと細い。仕上げも同系色で目立たない
5.5インチのディスプレイを搭載しながら、同サイズのディスプレイを搭載するiPhone 6 Plusよりもコンパクト

 次に、Yu氏はMate Sの特徴であるタッチ操作について、詳しく説明した。これまで携帯電話の世界ではキーパッドやスタイラスペンに始まり、タッチ操作やマルチタッチが採用され、HuaweiでもAscend Mate 7で指紋センサーを採用し、今年発表のP8では「Knuckle Sense」と呼ばれる指の関節の先による操作を実現するなど、さまざまな進化を遂げてきた。今回のMate Sでは指紋センサーを「Fingerprint Sense 2.0」、指関節による操作を「Knuckle Sense 2.0」に進化させたものを搭載する。

 Mate Sに搭載されるFingerprint Sense 2.0では、最新の指紋センサーを採用した指紋認証としての利用に加え、指紋センサー部分をタッチすることで、新しい操作を実現する。たとえば、ホーム画面では通知パネルを表示したり、ギャラリーアプリではスライドショーを可能にしたり、着信時にも指紋センサーへのタッチ操作のみで応答できるようにしている。

 P8で搭載されたKnuckle Senseは、指の関節部分を使って、簡単に画面キャプチャを撮ることができる世界初の操作を実現したが、Mate Sに搭載されるKnuckle Sense 2.0では、四角形の画面キャプチャだけでなく、ハート型など、ユーザーがさまざまな形で画面をキャプチャしたり、写真を切り抜けるようにしている。たとえば、高いビルや塔などの写真を撮影したとき、建物部分のみを切り抜いた縦長にスクロールするような画像を生成することもできる。この他にも、指の関節部分でディスプレイに文字を描くことで、Mate Sに搭載されたアプリを起動することもできる。「M」で音楽プレーヤー、「C」でカメラといった具合だが、ユーザー自身が特定のアプリを起動できるようにカスタマイズすることも可能だ。

端末を手に、美しいデザインと高機能をアピールするRichard Yu氏
ユーザーが利用するインタラクティブなインターフェイスは進化を遂げてきた
Huaweiでは昨年のAscend Mate 7で指紋センサー、今年のP8でKnuckle Senseという新しい技術を採用してきた
Mate Sでは新たに最新の指紋センサーを使ったFingerprint Sense 2.0を搭載
指紋センサーに触れることで、通知パネルを表示したり、着信にワンタッチで応答できる
指の関節で触れて操作するKnuckle Senseは2.0になり、ハート型などでも切り抜きができるようになった
画面キャプチャのときと同じ操作で、画面上に「C」を描くと、カメラを起動できる

 そして、Fingerprint SenseやKnuckle Senseに続く新しい機能として、感圧ディスプレイが紹介された。これまでのディスプレイは基本的に二次元でのタッチ操作のみを検出していたが、Mate Sでは「Force Touch Technology」を採用することにより、今までにない新しいユーザビリティを実現している。たとえば、画像を表示しているとき、画面にわずかに力を加えることで、その部分を拡大したり、サムネイルの一覧画面では力を加えた部分の画像を少し大きく表示するといった操作が可能だ。

 さらに、アプリを起動し、画面の中央部分にモノを置くことで、その対象物の重量を100~400gの範囲で計測できる機能も搭載される。一般的なスケール(重量計)などと違い、計測できるモノは画面の上に置けるサイズに限られるが、実際にペットボトルを逆さに置き、計測したところ、きちんと重量を量ることができた。Huaweiでは「Force Touch Idea Lab」と呼ばれる部門を開設し、関係各社やユーザーからのアイデアを募集するという。

ディスプレイには新たにFoece Touch Technology(感圧タッチセンサー)を採用
軽く押し込むことで、写真の特定部分を拡大するといった操作が可能
大きさや形状に制限はあるが、量りとしても利用可能。この日、一番の歓声が上がった

 次に、カメラ機能についての説明が行なわれた。メインカメラはRGBの三原色に加え、ホワイトにも対応した13メガピクセルのイメージセンサーを採用し、光学手ブレ補正にも対応する。レンズ部にはサファイアガラスによる保護ガラスを備える。

 カメラの撮影機能としては一般的な誰でも撮影できるモードに加え、ISO感度やシャッタースピード、露出などを調整できる「Professional Mode」を備える。カメラ撮影についての知識を持つユーザーにとっては、魅力的な機能のひとつだ。

 また、女性を中心に人気の高いセルフィー(自分撮り)のニーズに応えるため、フロントカメラには8メガピクセルのセンサーを採用し、インカメラ用のソフトLEDライトを備える。これに加えて、Huawei端末ではおなじみのBeauty Modeも搭載する。撮影した写真を活用する機能としては、新たに16のプリンターメーカーの約800機種に対応した印刷機能も備える。

RGBW対応の13Mピクセルカメラを搭載。レンズ部分はキズ防止のためのサファイアガラスが装着される
カメラにはISO感度や露出、シャッター速度を調整できる「Professional Mode」を搭載。ユーザーインターフェイスもわかりやすい
自分撮りのニーズに応え、インカメラは8Mピクセルのセンサーを採用。Soft LightingのLEDを装備。Huawei端末でおなじみのBeauty modeも搭載

 ほかにもMate Sでは、搭載された3つのマイクを活用し、ボイスレコーダーでの録音時、それぞれの方向からの音を識別し、ノイズを軽減できるようにしている。2人が向かい合う「One to One Mode」で録音したときは、横方向のノイズを軽減することが可能だ。会議や取材などでは役に立ちそうな機能だ。同じくビジネスシーンで役立つ機能として、スクリーンに映し出された資料などをカメラで撮影し、傾きを補正して、正しい方向に切り抜く機能が搭載される。

 ボディはナノコーティング処理による防水に対応しており、雨や湿気によるトラブルを防ぐことができる。

 充電については、10分の充電で約2時間分の通話が可能になる急速充電に対応する。5V/2Aの充電に対応しており、iPhone 6 Plusに比べ、約2倍の速さでフル充電が可能だ。

 SIMカードについては、ひとつのスロットに2枚のSIMカードを装着できるデュアルSIMに対応する。microSDメモリーカードを利用したいときは、片方のSIMカードスロットでの排他利用になる。デュアルSIMカードスロットはどちらも4G LTEに対応しており、主要な13の周波数帯域に対応し、ヨーロッパや北米、アジア太平洋地域で利用することが可能だ。ただし、両方のスロットで同時に4G LTEが利用できるか、同時に待受ができるかどうかは明らかにされなかった。プレゼンテーション資料のアンテナピクトは片方が4G、もう片方がGSMを表わす表記が使われていた。

3つのマイクを備え、方向を識別したり、特定の方向のみの音を再生できるボイスレコーダー機能を搭載
One to One modeでは側面からの雑音を軽減することができる
ナノコーティングによる防水機能を実現
ひとつのスロットに2つのSIMカードを装着できるトレイを使ったデュアルSIM対応

 アクセサリーとしては、フリップタイプのSmart Case、革を使ったLeather Caseが提供される。

 ボディカラーはCoral Pink、Mystique Champagne、Titanium Gray、Prestige Goldがラインアップされる。モデルは「Standard version」「Premium version」「Force Touch version」がラインアップされ、今回は「Standard version」「Premium version」のみの価格がアナウンスされた。「Force Touch version」はストレージが128GBのモデルが用意され、価格は10月以降にアナウンスされる。プレゼンテーションでは触れられなかったが、日本国内での発売も予定されている。

ボディカラーはCoral Pink、Mystique Champagne、Titanium Gray、Prestige Goldをラインアップ。モデルごとにカラーバリエーションが異なる
フラッグシップモデルということもあり、価格は600ユーロを超える。Force Touch対応モデルは128GBのストレージを搭載予定。価格は10月以降にアナウンスされる
9月から世界各国で発売予定。日本国内は10月から販売される予定
Huawai Mate S

Standard versionPremium versionForce Touch version
メモリー(RAM/ROM)3GB/32GB3GB/64GB3GB/128GB
ボディカラーTitanium Gray
Mystique Champagne
Prestige Gold
Coral Pink
後日案内
販売予想価格649ユーロ699ユーロ後日案内

ボリュームゾーンを狙う「Huawei G8」

 フラッグシップに位置付けられるMate Sに対し、より幅広いユーザーをターゲットにしたコストパフォーマンスの高さを狙う「Huawei G8」も発表された。

 G8は5.5インチのフルHDディスプレイに、エッジ部分をラウンドさせた2.5Dガラス、フルメタル筐体で構成され、光学手ブレ補正に対応した13Mピクセルカメラを搭載する。「Foodie mode」や「Makeup mode」などの撮影モードも用意される。

 3000mAhのバッテリー、Fingerprint Sense 2.0対応の指紋センサーを搭載し、デュアルSIMカードに対応する。両SIMカードスロット共に4G LTEネットワークに対応する。ボディカラーはDark Silver、Gold、Whiteの3色がラインアップされる。モデルはPremium versionのみで、3GBのRAM、32GBのストレージを搭載し、店頭価格は399ユーロを予定している。販売は9月から世界各国で開始されるが、今のところ、日本はリストに含まれていない。

ほぼ同等の機能を搭載しながら、ボリュームゾーンを狙ったモデルが「Huawei G8」
スタンダードなデザインを採用したボディ
普及価格帯ということで、希望小売価格は399ユーロ
9月から世界各国で販売開始。日本は対象国に含まれていない

4モデルをラインアップする「Huawei Watch」

 スマートフォン2機種に続き、「MWC 2015」でも先行して開発が表明されていた「Huawei Watch」が紹介された。

 まず、冒頭では、Googleからもアナウンスされているように、Huawei WatchのプラットフォームであるAndroid Wearがバージョンアップし、Android 4.3以降のスマートフォンのほかに、iOS 8.2以降にも対応することが紹介された。

 Huawei Watchはケースとバンドなどの違いにより、「Classic-Leather」「Classic-mesh」「Active」「Elite」の4モデルがラインアップされ、欧州市場向けの価格は399ユーロから699ユーロとなっている。販売は9月2日から米国で予約の受付を開始し、イギリスと日本、UAEは10月からを予定している。それ以降、順次20カ国以上での販売が開始される。

今年3月のMWC 2015で開発が表明されたHuawei Watchの詳細を発表
Android Wearがバージョンアップし、Androidプラットフォームだけでなく、iOS 8.2以降にも対応
ベルトやケースの違いにより、4モデルをラインアップ
世界各国で順次、発売予定。日本も販売される予定とされている
タッチ&トライコーナーではHuawei Watchを装着したモデルも登場

「Mate S」

Mate Sの前面。5.5インチを感じさせないサイズ感。両サイドが狭額縁で仕上げられている
右側面には音量キー、電源キーを備える。区別できるように、電源キーは形状を変えてある
左側面はデュアルSIMカードスロットを装備
背面はアンテナ部分が同系色で仕上げられているため、他機種のように、テープが貼られたような印象はない
上部はイヤホンマイク端子を備える。横の小さい穴はボイスレコーダーでも利用できるマイク
底面にはmicroUSB外部接続端子を備える。非常に美しい仕上がり
感圧センサーによる重量計アプリ。100~400gまで量ることができるが、画面との接する部分が制限されているため、ペットボトルを逆さにして計測
500mlのペットボトルを半分近くまで水を減らしたところ、約340gと計測。新しいアイデアのアプリが期待される

「G8」

コンパクトなボディに仕上げられたHuawei G8
左側面にはSIMカードスロットを備える
右側面には音量キーと電源キー。基本的にはMate Sと同じレイアウトを採用
トップ部分には3.5φのステレオイヤホン端子を備える
底面にはmicroUSB外部接続端子を備える
背面は上部側にアンテナが内蔵され、カメラ部分がNFCのアンテナとして利用される

「Huawei Watch」

Huawei Watchはケースやベルトなどと共に展示されていた
ケースは一般的な時計のデザインを継承。バックパネル側に充電端子を備える
Huawei Watchと4種類のバンド。時計のディスプレイは非常に明るく、視認性に優れる
実際に腕に付けてみた。他のスマートウォッチに比べると、やや大きい印象
ショーケースに並べられたHuawei Watch

法林岳之