【CES 2018】

スマホを本格VRデバイスにするアダプター、完全自動の天体望遠鏡~CESで見かけたスマホ連動イメージングデバイス

 カメラやVR、ディスプレイなど、デジタルイメージング分野の製品は、CESでは多数出品されている。とくにカメラなどは、極端に盛り上がったりする分野でもないが、すでに定番化し、安定していろいろな製品の展示が見られる。ここではそうしたデジタルイメージング関連で、スマートフォンにちょっと関係のありそうな展示をレポートする。

立体撮影も可能な全球カメラ「QooCam」

QooCam。裏面のカメラは1台

 Kandaoの「QooCam」は3つのカメラを搭載し、立体撮影が可能な全球映像カメラだ。CESのInnovation Awardを受賞している。Kickstarterでクラウドファンディングを行い、5月頃に200〜400ドルの価格帯での発売を予定している。

変形機構も特徴。このように曲げるように回転させると……
一直線になり、手持ち撮影しやすくなる

 前面側には2つの半球カメラを搭載していて、前面方向に関しては立体的に撮影ができる。Kandaoではこれにより、「6DoF」(6自由度、つまり方向に加えて前後左右上下に移動すること)を持つVR全球映像を撮影できるとしている。将来的には立体撮影を生かした深度エフェクトなどの機能追加も予定している。

Insta360の新製品「Nano S」も展示中

新製品のInsta360 Nano S。iPhone専用のお手軽全球カメラだ

 Insta360はスマートフォン向けの全球撮影カメラを展示している。同社の製品は日本でも販売されている。発売済みのスマホ向け製品「Insta360 ONE」とプロ向け製品「Insta360 Pro」が今回のCES Innovation Awardを受賞している。

 ブースではCESに併せて発表された新モデル「Insta360 Nano S」も展示されていた。こちらは外観などはほぼ従来モデル「Insta360 Nano」と同様のiPhone専用の全球カメラで、解像度がやや向上し、iPhone Xにも対応した。日本では1月半ばから3万1299円で発売される。

上位モデルのInsta360 ONE。こちらもLightning接続だが、単体でもいろいろな撮影が可能
Insta360 Pro。名前の通りプロ向け製品で、価格は桁も違う。8K撮影対応だが、後処理が大変そうだ

魚眼やマクロへ簡単に切り替えられるスマホ用レンズキット

Revolcam。Revolver(回転式拳銃)をかけたネーミングというわけだ。LEDはまぶしすぎてむせるレベル

 「Revolcam The Multi-Lens」はスマートフォンにクリップするタイプのレンズキットだ。Kickstarterのクラウドファンディング発の製品で、CESのInnovation Awardを受賞している。

 レンズ部が手で回転させられるようになっていて、付け替えせずに広角や魚眼、マクロレンズに切り替えられる。わかりにくいかもしれないが、要するに装甲騎兵ボトムズのアーマードトルーパーのターレットレンズである。さらに背面カメラで自撮りするためのミラーと補助照明のLEDもついている。

アワードを受賞した多機能コントロール内蔵の自撮り棒

Royole Selfie Stick。自撮り棒でアワード受賞はなかなか珍しい

 Royole Corporationは同社のさまざまな製品を展示しているが、今年のCES Innovation Awardでは自撮り棒の「Royole Selfie Stick」が受賞している。

 自撮り棒というともうありふれた製品になっているが、こちらの自撮り棒はBluetoothによるコントロールに対応し、シャッターだけでなく、グリップ状態を上下左右にスワイプすることでズームやフィルター適用などの操作が可能となっている。

スマホがHTC Vive代わりになってしまうZEISS製VRアダプター

 カール・ツァイスはスマホを使ったVRゴーグルの関連製品、「ZEISS VR ONE Connect」を展示している。

 同社のスマートフォンを使ったVRゴーグル「ZEISS VR ONE Plus」はすでに日本を含めて発売しているが、そちらの製品はスマートフォンのアプリのVRを楽しむもので、スマートフォンのプロセッサーで処理できる全球動画や簡易なVRゲームに用途が限定される。しかし今回のVR ONE Connectを使うと、パソコンと有線接続し、パソコン上で動くハイスペックなVRゲームを楽しめる。

ZEISS VR ONE Connect。スマホを専用ジャケットに入れてスロットインするのでより正確に位置が固定される
装着するとこんな感じ

 Steam VR互換となるので、簡単に言うとHTC Viveの代わりに使えるようになる。しかし価格が約8万円で外部ビーコンを使うHTV Viveに比べると、機能面での制約は少なくない。

 まず動きは回転の3軸のみの対応で、たとえばしゃがんでバーチャルアイドルをローアングルから楽しむといったことは残念ながらできない。また、デモを体験したところ、映像伝送の遅延はそこまで大きくないものの、首の動きに対する遅延が気になった。

 価格は2つのコントローラーと接続ケーブルなどのセットが129ドル、それにVR One Plusを加えたセットが169ドルで、5月発売予定。スマートフォンとしてはiOS/Androidの両対応。別途、Steam VRが動くPCが必要になる。VR向けのPCとなると、だいたい5万〜20万のビデオカードが推奨されるので注意が必要だ。

おそらく最も簡素なVRビュアー「VeeR mini」

 「VeeR mini」はスマートフォンを使ったVRビュアーだ。折りたたみが可能な非常に簡素な構造で、米Amazonで7.99ドルと、縁日で売ってるおもちゃみたいな作りと価格となっている。

VeeR miniを装着したスマホ
折りたたむとこんなサイズになる

 スマホの真ん中が正確にとれなさそうなので、かなり簡易な製品といえるが、折りたためばペンケースの隙間にも入りそうなサイズ感なので、ほかの製品にはない使い方ができそうだ。専用アプリが用意されているが、なにぶん適当な作りの製品なので、ほかのVR動画アプリの視聴にも使えそうである。取材していたらサンプルを1個もらえたので、近いうちに「本日の一品」あたりでレビューをお届けしたい。

全自動天体望遠鏡「Vaonis」は星を観るのも自動

Vaonis。変形ロボのように動くのが無駄にかっこいい

 「Vaonis」は完全自動制御の屈折式天体望遠鏡だ。CESのInnovation Awardを受賞している。第3四半期に発売予定で、通常価格2999ドルのところ2499ドルで予約を受け付けている。

 スマートフォンやタブレットと連動し、好きな天体を指定すると自動でそちらに向いて撮影し、スマートフォンやタブレット上で映像として確認できる。接眼レンズはついておらず、肉眼で望遠鏡をのぞき込むことはできない。一見すると左右と上下の2軸回転しかしないように見えるが、センサフィールドの回転機構が内蔵されていて、3自由度に対応する。

 元天文部の筆者としては、月すら出ていない暗闇で、星雲とかの天体に苦労して望遠鏡を向け(これがけっこう難しい)、見えているんだか見えていないんだかわからない天体(星雲や星団はうっすらとしか見えない)を見るのが楽しいと思うのであって、自動で全部やった上に長時間露光の映像をタブレットで見るなんて邪道極まりない、とも思うが、逆に言うと熟練技と良好な機材と現地での手間と根気が必要な天体写真を自動で撮れると思うと、3000ドルはかなり安いデバイスともいえる。

顕微鏡や双眼鏡でスマホを使うアダプター「HookUpz」

HookUpzで双眼鏡に固定されたiPhone。見ての通り、けっこう遠くまで余裕で写る

 「HookUpz」シリーズは、スマートフォンを双眼鏡で使うためのアダプターなどを展示している。

 「IB-700」は双眼鏡などにスマートフォンを固定するためのアダプターだ。現在は顕微鏡や望遠鏡など幅広い光学機器をサポートするHookUpz 2.0「IS-200」も発売されている。IS-200の価格は米Amazonで約60ドル。同社では双眼鏡や望遠鏡、顕微鏡などの多彩な光学機器を取り扱っていて、顕微鏡や望遠鏡とHookUpzのバンドルキットも取り扱っている。