石野純也の「スマホとお金」
新しくなったドコモの「ahamoポイ活」「eximoポイ活」、その特徴や「auマネ活プラン+」との違いを徹底解説
2024年12月12日 00:00
大手3キャリアが導入した決済サービス連動の料金プランですが、NTTドコモがその条件を12月1日から変更しました。対象となるのは、「ahamoポイ活」と「eximoポイ活」の2つです。元々、前者は「d払い」、後者は「dカード」と、還元を受けるためのサービスが異なっていましたが、12月からは、こと決済手段に関しては、その差が完全になくなった格好です。
コード決済とクレカに両対応した決済連動料金プランには、KDDIの「auマネ活プラン+」がありますが、改定後のahamoポイ活、eximoポイ活は、それを上回る柔軟性。d払いもしくはクレカだけでそこまで使えないと二の足を踏んでいた人も、料金プラン変更を検討する余地が出てきたと言えるでしょう。ここでは、auマネ活プラン+との違いと、新しくなったドコモのポイ活プランの特徴を解説します。
dカードが対象になったahamoポイ活、キャンペーン終了後も貯めやすい
ドコモは、4月にまずahamo大盛りとd払いを連動させた、ahamoポイ活をスタートさせています。こちらは、ahamo大盛りに追加して2200円のポイ活オプションをつけると、毎月最大で4000ポイントがもらえるという仕組みです。見方を変えると、2200円を払って4000円相当のポイントがもらえる権利を手に入れられる料金プランとも言えるでしょう。ポイント還元率は通常だと3%でしたが、dカードGOLDを持っていると5%、dカードPLATINUMであれば10%に率が上がります。
ただし、4月のサービス開始から現在に至るまで、終了期間未定のキャンペーンが実施されており、その還元率はdカードPLATINUM契約時と同じ10%に据え置かれています。オプションの“元”が取れる損益分岐点は2万2000円の決済。4万円ぶんの決済をすれば、通常のahamo大盛りよりも1800円がおトクになります。還元率が10%であれば上限到達も比較的簡単だったahamoポイ活ですが、12月からは、その対象となる決済にdカードが加わりました。
上限は変わらず4000ポイントで、この数値はd払いとdカードで共有されています。決済方法によらず、とにかく4万円まで使えば上限に到達できるというわけです。極端な話、毎月の家賃や光熱費など、比較的高額な固定費をdカードで支払っていれば、それだけですぐに4000ポイントが入手可能。毎月それなりの金額をクレカで支払っている人であれば、d払いを使う必要がなくなりました。
とは言え、4万円という金額はキャンペーンでの話。これが終了すると、通常のdカードは3%、dカードGOLDでも5%まで還元率が下がってしまいます。dカードGOLDであれば8万円の決済が必要。dカードに至っては、上限達成に13万3334円が求められるため、上限いっぱいまで還元を受けるハードルは高くなると言えるでしょう。d払いとdカードの組み合わせが生きてくるのは、このような時です。
例えば、毎日のランチ代1000円をd払いで支払えば、30日間で3万円になり、dカードGOLDを契約していれば5%還元で1500ポイント入手できます。これに加えて、5万円ぶんdカードGOLDで支払えば上限に到達します。固定費の支払いで足りないぶんをd払いで払えばよくなるため、12月からの仕組みであれば、キャンペーン終了後でもポイントを効率よく貯めることができそうです。それでも、通常のdカードはややハードルが高め。ahamoポイ活を契約するのであれば、少なくともdカードGOLDは持っておいた方がいいでしょう。
dカードなしでも還元されるようになったeximoポイ活
d払いに加えてdカードも対象になったahamoポイ活とは逆に、eximoポイ活は元々、還元対象になる決済がdカードに限定されていました。厳密に言えば、dカードを支払い方法にセットしたd払いや、dカードで携帯電話代を支払っている時の電話料金合算払いでもポイント還元を受けることはできましたが、残高払いなどだと上乗せぶんのポイントがもらえませんでした。いずれの方法でも、最終的にdカードを使う必要があったということです。
eximoポイ活は、各種割引適用前の料金が1万615円。基本料金が1万円の大台を突破しているものの、そのぶん還元額が大きく、毎月5000ポイントが上限になっています。こちらも、ahamoポイ活と同様、終了期間未定のキャンペーンで10%還元を実施しており、現状ではdカードで5万円ぶんの決済をすれば5000ポイントに達することができます。キャンペーン期間であれば、通常のdカードでも10%還元のため、比較的スムーズにポイントを入手できると言えそうです。
eximoポイ活の対象には、d払いが加わりました。先に述べたように、dカードをセットしたd払いであれば還元を受けられたため、追加されたのはd払い残高や、dカード以外で支払っている場合の電話料金合算払いです。他社クレカでドコモの携帯電話料金を支払っている場合、電話料金合算払いの請求もそちらに行くため、事実上、他社クレカも還元の対象になった格好で、条件はahamoポイ活と横並びになりました。
しかも、現状は上記のキャンペーン期間中のため、残高払いや他社クレカをセットした場合の電話料金合算払いでも、10%還元を受けられます。d払いを開放したことで、eximoポイ活の条件がかなり緩くなったと見ることができそうです。ただし、キャンペーン終了後は支払い方法によってポイント還元率が変わってくるため、そのことは念頭に置いておいた方がいいでしょう。
まず、ノーマルのdカードは、ahamoポイ活と同様3%還元に低下します。dカードGOLDも5%に。上限である5000ポイントの獲得に必要な金額はdカードで16万6667円、dカードGOLDで10万円になります。dカードPLATINUMは10%還元が維持されるため、こちらに関しては5万円の支払いで上限到達が可能になります。16万円超となると、支払いの多くをdカードに寄せる必要が出てくるため、少なくともdカードGOLD以上を持つのは必須になると言えそうです。
また、d払いの電話料金合算払いは、dカード以外の場合だと3%まで還元率が低下します。dカード以外の他社クレカでも引き続き3%還元を受けることはできますが、こちらは期間限定。10%還元キャンペーンと同様終了時期が未定で、そのキャンペーンすらまだ終わっていないため、しばらくは他社クレカでも還元を受けることはできそうですが、終わる可能性があらかじめ告知されている点には注意が必要になります。
次に、銀行や信用金庫などからチャージしたd払い残高の還元率も、dカードなどの契約状況によって、還元率が変動するようになります。dカードは3%、dカードGOLDは5%、dカードPLATINUMは10%となり、dカードがない場合には還元の対象から外れる点がahamoポイ活との違いになります。10%還元終了後は、最低限dカードの契約が必要。可能であれば、dカードGOLD以上を持っておいた方が還元を受けやすくなります。その意味では、ahamoポイ活よりもdカード依存度は高いと言えそうです。
とは言え、直接dカードで決済をする必要がなくなるのは、うれしいポイント。固定費や高額な買い物にdカードを使いつつ、日々の少額決済には銀行などからチャージしたd払い残高を使えるようになるため、11月までのdカードに一本化していたeximoポイ活よりも、ポイントを無理なく貯められるようになります。毎月の支出が多ければ、年会費無料のdカードでも3%還元は受けられるため、より還元されやすくなったと言っていいでしょう。
決済手段の柔軟性はドコモのポイ活プランに軍配、ペイトクの改善にも期待
少額決済に使うことが多いコード決済と、固定費や高額な決済に使うことが多いクレカ決済の両方で還元を受けられる料金プランは、ahamoポイ活やeximoポイ活だけではありません。同じく12月に導入されたKDDIのauマネ活プラン+も、同様に、2つの決済方法で還元を受けられることを売りにしています。どちらか一方に絞るより、決済手段を問わない方がユーザーにとっても現実的と言えます。
ただし、auマネ活プランの場合、au PAYでの決済とau PAYカードの決済に、それぞれ1500ポイント“ずつ”という制限が設けられています。この点が、コード決済とクレカの合算で4000ポイントなり5000ポイントなりの上限を設けてあるahamoポイ活やeximoポイ活との違いと言えるでしょう。例えばau PAYで一気に数万円使ったとしても、上限を超えたぶんは還元を受けられません。こうした決済の柔軟性では、ドコモに一歩リードを許しています。
また、還元率も、ahamoポイ活やeximoポイ活よりやや低めです。還元率はau PAYゴールドカードを契約している場合、au PAYが4.5%の上乗せ、au PAYゴールドカードが4%の上乗せになります。通常のau PAYカードや他社クレカしかない場合、au PAYの還元率は1.5%まで低下します。クレカ決済も、ノーマルのau PAYカードは1%の上乗せ。ドコモのように10%還元キャンペーンがなく、ゴールドカードがない場合の還元率は特に低めになる点には注意が必要です。ややゴールドカードへの誘導が強いようにも見えるところが、契約のハードルになるかもしれません。
決済連動料金プランの先駆けとも言えるソフトバンクのペイトクは、クレカの種類に関係なく、「ペイトク無制限」であればPayPayの決済に対して5%の還元を受けられます。上限は4000ポイントで、ahamoポイ活と同じです。契約や審査が必要になるクレカがなくても、一律でこの還元率になるため、3社の中では比較的気軽に契約できる料金プランと言えるかもしれません。
一方で、ペイトクにはPayPayカードを利用した際の特典が一切なく、4000ポイントの還元を受けるにはPayPayで8万円ぶんの決済が必要になります。PayPayはコード決済の中でも特に利用できる店舗数が多いため、ある程度日々の支払いを寄せることはできそうですが、それだけで8万円を支払うのはなかなかハードルが高め。ソフトバンクの宮川潤一社長は、ペイトクの強化を示唆していただけに、今後の改定にも期待したいところです。