石野純也の「スマホとお金」
グーグルのPixel向け保証サービス「Preferred Care」を徹底解説
2024年8月1日 00:00
Pixel 9シリーズの発表を8月14日に控えるなか、グーグルは、Pixelシリーズの新たな保証サービスを導入しました。「Preferred Care」が、それです。iPhoneには、アップル自身で提供する保障サービス「Apple Care+」があるのは有名ですが、Preferred CareはいわばそのPixel版。ドコモのケータイ補償などを手がけてきたアシュリオン・ジャパンと手を組み、サービスを提供します。
一方で、日本では、Pixelの正規サービスプロバイダとしてiCrackedが対面修理サービスを提供しています。こちらは保証サービスではありませんが、ソフトバンクの「あんしん保障パックネクスト」に対応しており、無料で修理を受けることも可能。東京と沖縄限定ですが、ドコモの「smartあんしん補償」でも出張修理を受けられます。今回は、これらのサービスとの違いから、Preferred Careの中身をひも解いていきます。
2年間Pixelをガッチリ保証、料金はPixel aシリーズなら1万1000円
Preferred Careは、米国などで提供されていたPixel用の保証サービス。日本で提供するにあたり、パートナーにはアシュリオン・ジャパンが名を連ねています。現状、提供されているのは「2年プラン」のみ。3年以上利用する場合、保障が効かなくなってしまうのは残念なポイントですが、有料なだけに通常の保証よりも手厚いサービスを受けることができます。
保証範囲は、落下や水濡れ、ひび割れなども対象になり、手数料を支払うだけで、1年あたり最大2回まで交換が可能に。ユーザーの手元に届けられる新たな端末は再生品(リファービッシュ品)になります。故障時にわずかな手数料で再生品にサクッと交換ができるという点は、キャリアの保証サービスに近いと言えるでしょう。アシュリオン・ジャパンはドコモのケータイ補償サービスなどを手がけてきたため、グーグルでも、それに近いことが実現できているようです。
金額に関しては、当然ながら端末ごとに異なっています。現状では、「Pixel 7a」以降の端末が対象。いわゆる廉価版のPixel aシリーズは、2年プランが1万1000円です。標準モデルとも言える「Pixel 8」は1万7000円。逆に、より高機能な「Pixel 8 Pro」は2万8000円、フォルダブルスマホの「Pixel Fold」は3万3000円となっており、おおむね端末の本体価格と連動していることが分かります。
この傾向は、交換時に支払うサービス手数料も同じ。Pixel 7aやその後継機の「Pixel 8a」は7700円なのに対し、もっとも高額なPixel Foldは1万4190円と2倍近い開きがあります。Pixel 8は9900円、Pixel 8 Proは1万1550円です。ただし、本体価格ほどの差にはなっていないため、Pixel FoldやPixel 8 Proなどを使うユーザーには、特にオススメできる内容と言えそうです。
特にPixel Foldに関しては価格が25万3000円もするため、転ばぬ先の杖として補償に入っておいた方がよさそうです。逆に、Pixel aシリーズは本体価格が安いため、相対的に保証の費用が割高に感じます。iCrackedでの画面修理は2万円程度。Preferred Careそのものの料金とサービス手数料を合算した金額に近いため、あえて入らないという手もあります。水濡れなどの保証をどう捉えるかで、選択は変わってくることになるでしょう。
分割払いは可能だが月額払いには非対応、キャリアのサービスも検討
Preferred Careは通常、端末と合わせて購入する形ですが、購入後、30日以内なら後付けで申し込むことも可能になっています。ただし、基本的には2年プランをまとめて購入する形。途中解約した場合、日割りでの払い戻しは受けられますが(購入から30日経過後の場合)、1カ月ごとのような月額払いはできません。
一方で、分割払いができないわけではありません。Pixel本体の代金と合わせて割賦にすることで、月額払いに近い形にはできます。注意したいのは、厳密な意味での月額払いではなく、単純に2年プランの代金を分割払いにしているだけというところ。現状、Pixelは最大12回払いまでしか分割できませんが、これはPreferred Careも同じ。2年プランですが、最大でも1年で支払いを済ませなければならないというわけです。
期間が固定されている点や、最大12回までしか分割できない点は、一般的な保障サービスと比べるとお得感が薄れるところ。12年を超えて端末を使い続ける人にとっては保証が手薄になるデメリットがあります。同じ保証サービスでも、Apple Care+は一括と月額払いを選択でき、後者は解約するまで自動で更新されます。グーグルはPixelのアップデートを長期間保証しているだけに、今後は保障の延長も求められるようになるはずです。
とは言え、これはあくまでグーグルのPreferred Careに限った話。キャリアが提供している保証サービスであれば、2年を超えて適用されるものもあり、基本的には月額払いに対応しています。もっとも手厚いのが、早くからPixelシリーズを取り扱ってきたソフトバンク。同社の「あんしん保障パックネクスト」は、月額990円でPreferred Careと同様、交換に対応しているほか、グーグルの正規サービスプロバイダのiCrackedで無料の修理を受けることができます。
先に述べたように、画面割れでも修理費用は約2万円から。Pixel Foldのような特殊なディスプレイを採用していると、その金額は14万4100円(インナーディスプレイの場合)にまで跳ね上がります。あんしん保証パックネクストでは、これを年2回まで無料にできるため、安心感のあるサービスと言えるでしょう。店舗に持ち込むことが可能なため、データの移し替えなども必要なく、修理完了後にはすぐに使い始められるのもメリットです。
ドコモは出張修理に対応、料金だけでなくサービス内容も検討材料に
あんしん保証パックネクストはキャリアのサービスとして提供されているため、ソフトバンクでPixelを購入したユーザー以外は利用できないのが難点ですが、回線契約がなくても申し込みは可能。極端な話、他社のユーザーが端末単体でソフトバンクからPixelを買ってもいいというわけです。機種や時期、タイミングによっては、本体価格がグーグルより安いことがあり、「新トクするサポート」も適用されるため、検討してみる価値はありそうです。
対面修理は、ドコモも提供しています。ただし、店舗に構えた修理コーナーで修理できるGalaxyシリーズとは異なり、Pixelに関しては出張修理という扱いになります。東京、沖縄とエリアが2カ所に限定されており、沖縄は翌日返却になる点には注意が必要。また、Pixel Foldのインナーディスプレイは、修理の対象には含まれていません。
こうした制約はあるものの、出張修理もsmartあんしん補償でカバーされているため、修理代金の上限は4400円もしくは5500円で済みます。出張修理できなくても、他の機種と同じように交換機を申し込むことは可能。この場合、データの移行作業などは必要になってしまいますが、上限額は4400円もしくは5500円で済むので安心感はあります。
なお、Pixelシリーズの場合、Pixel 8やPixel 8 Pro、Pixel 8aは月額880円。1年前のPixel 7aはグッと料金が安く、月額550円で補償サービスを受けられます。直近2年間の端末の場合、交換や修理の上限は、Pixel 7aが4400円、それ以外が5500円という形になります。ソフトバンクのあんしん保証パックネクストほど、修理拠点は広くないものの、対象エリアに住んでいたり、交換でもOKというのであれば、契約しておいて損はないサービスと言えるでしょう。
KDDIはau Style IKEBUKUROでのみ、対面修理を提供しています。これには、「故障紛失サポート ワイド with Cloud」(Pixel 8a)や、「故障紛失サポート with Cloud」(Pixel 8シリーズまで)が利用可能。Pixel 8やPixel aシリーズの場合、2年間だとグーグルのPreferred Careの方が保証の代金は割安になる一方で、こちらも2年を超えた契約が可能です。また、東京23区や大阪市では、最短3時間で交換機を届ける特急便も運用しているため、利用価値は高いと言えるでしょう。
Pixelシリーズの場合、キャリアの保証サービスも充実しており、グーグルが提供していないサービスも取りそろえています。機種や期間によっては料金が高くなることもある一方で、特に対面修理が可能なソフトバンクやドコモは、故障時に、すぐに直して使い続けることができるメリットがあります。Pixel 9シリーズが登場した時にも、こうした点を天秤にかけつつサービスを選ぶといいでしょう。