石野純也の「スマホとお金」
「Galaxy S24/S24 Ultra」国内発売へ、高額なハイエンドモデルをどう買うか? スマホのさまざまな買い方を解説
2024年4月4日 00:00
サムスン電子が4月3日に、「Galaxy S24」「Galaxy S24 Ultra」を発表しました。これまではキャリア版一択だったGalaxyですが、サムスン電子は22年にオープンマーケットに参入。メーカーモデル(SIMフリースマホ)の販売に乗り出しました。23年からは、フラッグシップモデルのGalaxy SシリーズやフォルダブルスマホのGalaxy Zシリーズもメーカーモデルとして取り扱っています。
Galaxy S24シリーズは、2機種ともメーカー版を販売。発売日もキャリア版と同じにそろえるなど、より普通の売り方に近づいています。
メーカーモデルが販売されているのは、Galaxyだけではありません。ここ数年で、ほとんどのメーカーが取り扱いを開始し、キャリア版と併存させるようになってきています。ユーザーは、キャリアから購入するか、メーカーから購入するかを選択できるようになったと言えるでしょう。
一方で、その売り方に関しては違いもあります。キャリアのようなアップグレードプログラムはほぼなく、分割払いの回数や仕組みにも違いがあります。ここでは、そんなオープンマーケットモデルの買い方を解説していきます。
ペイディの特別プランで分割払いが充実したアップル、下取りの組み合わせも可能
自社でメーカーモデルの販売に踏み切った代表的なメーカーと言えば、やはりアップルです。その歴史は13年の「iPhone 5s/5c」にさかのぼります。同モデルから、ドコモでの取り扱いが始まり、やや遅れてアップル自身もオンラインストアでの販売を開始。
当時、キャリア版にはSIMロックがかかっていましたが、アップル版はSIMフリーモデルとして販売されており、大手キャリアのほか、MVNOのSIMカードも利用することができました。
そんなアップルは、オンライン、オフラインの双方で一括払いに加えて、分割払いによる支払いに対応しています。分割払いの方法として現在プッシュされているのが、BNPL(Buy Now Pay Later)サービスのペイディに統一されています。
ペイディは、アップル向けに「ペイディ後払いプランApple専用」という仕組みを用意しており、いずれのiPhoneでも金利はかかりません。
ただし、分割回数はキャリアの提供する仕組みよりやや少なめ。現行の最新モデルであるiPhone 15シリーズの場合には36回(3年)払いが選択できる一方で、1世代前のiPhone 14シリーズや2世代前のiPhone 13シリーズ、廉価モデルのiPhone SEに関しては最大の支払回数が24回(2年)に設定されています。
比較的価格の高い最新モデルのみ、3年での分割払いができるというわけです。
たとえば、「iPhone 15 Pro」の128GB版の場合、36回払いだと1カ月あたりの金額は4438円になります。
一方で、「iPhone 14」は24回払いまでしか用意されていないため、1カ月あたりの金額は4700円とiPhone 15 Proとほぼ変わりません。本体価格が安いぶん、1年間支払い期間は短くなりますが、毎月の負担は同程度になるというわけです。
また、ペイディの36回払いには、特別な「買い替えオプション」が用意されています。これは、キャリアのような残額免除の仕組み。使用中のiPhoneを24カ月目に下取りに出したとき、そのお金を残債の支払いに充てることが可能になります。
上記で例として挙げたiPhone 15 Proの場合、4438円の支払いが24回で済んでしまうと言えるでしょう。キャリア的な実質価格で表すとすると、その額は10万6512円です。
免除額は1/3ですが、下取り額がこれを超えた場合には新しいiPhoneの購入代金に充当されます。この点は、下取りで免除される金額が購入時点で確定しているキャリアのアップグレードプログラムとの、大きな違いです。とは言え、買い替えやすい仕組みがきちんと用意されている点は、高く評価できます。
サムスンやグーグルは12回払い、ソニーは残価設定型にも対応
サムスン電子も、アップルと同様、分割払いにはペイディを利用している1社。冒頭で挙げたメーカー版のGalaxy S24やGalaxy S24 Ultraも、これを利用して購入することができます。
2機種ともハイエンドモデルに該当する端末のため、価格はもっとも安いGalaxy S24の256GB版でも12万4700円。最高モデルの1TB版Galaxy S24 Ultraは、23万3000円になります。一括で購入するのはちょっと厳しいという場合に重宝するのが、ペイディの分割払いです。
ただし、こちらはアップルのペイディとは異なり、選択できるのは3回、6回、12回のみ。最長でも1年で支払いを完了させる必要があります。24回や36回といった長期間での分割ができないため、1カ月あたりの支払い額が高めになるのが難点です。
たとえば、Galaxy S24の256GB版の場合、1回あたりの金額は約1万391円。Galaxy S24 Ultraの1TB版に至っては、1万9416円になります。
ちなみに、サムスン電子でも使い終わった端末の下取りを行っていますが、その代金については銀行口座振り込みになります。アップルのように、ペイディの毎月の支払いに充当するといったことはできないため、購入した端末代金に使いたい時には銀行に預けたままにしておくようにした方がいいでしょう。
残債免除のような仕組みは構築されていないので、自らお金の管理が必要になります。ペイディを導入してからまだ間もないため、今後の仕組みのアップデートにも期待したいところです。
とは言え、メーカーで12回を超える分割払いを提供しているケースは、それほど多くはありません。グーグルのPixelも分割払いには対応しているものの、12回払いが最大。
グーグルも、BNPLのSplititと提携しており、分割払いで購入した際にも金利などはかかりません。こちらは、ペイディとは異なり、支払いにはクレジットカードを使用します。ただし、やはり残債免除のような仕組みはないため、高い端末の購入には二の足を踏んでしまうかもしれません。
一方でソニーは、ソニーストアで高額なモデルに対し、36回の分割払いを提供しています。最高値の「Xperia 1 V」は、月4900円(初回のみ7800円)の36回払いが可能。1世代前にあたる「Xperia 1 IV」も、36回払いだと月々3000円(初回のみ3900円)になります。
また、同社は残価設定型のローンも提供しており、2年後に返却することで月々の支払いを抑えることができます。Xperia 1 Vの場合、月々5600円(初回のみ6500円)と少々支払額は上がりますが、24回払いで支払いが終わります。
ただ、ここに挙げていないメーカーに関しては、そもそも分割払い自体ができないことも多く、価格が高くなりがちなハイエンドモデルはやや買いづらい印象を受けます。
端末自体が高機能化しているうえに物価や円安の影響もあり、価格が上がるのは致し方ない側面はありますが、であればこそ、より買いやすい仕組みを整えてほしいと感じています。
家電量販店やキャリアからの端末購入も検討の価値あり
メーカー自身が用意していない場合でも、家電量販店のショッピングローンを利用するといった手はあります。
たとえば、ビックカメラは36回まで金利手数料を同社が負担するオリコのショッピングローンを提供しています。オンラインでは、シミュレーションも可能。
たとえば価格が10万9800円のシャオミ製端末「Xiaomi 12T Pro」を36回で購入した場合、毎月3000円(初回のみ4800円)で購入が可能です。支払いの回数を短くして、2年程度で完済することもできます。
また、今ではキャリアが販売する端末にもSIMロックがかかっていないため、価格や支払い条件次第では、各社が運営するオンラインストアを選択するという手もあります。
回線契約がない人でも「いつでもカエドキプログラム」(ドコモ)のようなアップグレードプログラムを利用でき、負担感を抑えて購入が可能。設定された残価次第では、メーカーのオンラインストアで買い、自身で端末を売却するよりもお得になることがあります。
iPhoneやPixelであれば、キャリアから購入しても中身は基本的に変わりません。iPhoneは、キャリア、メーカーともに扱っている端末は同じ。型番にも差異がなく、キャリアごとの仕様の違いは、SIMカードを挿入した際に降ってくるキャリアプロファイルで吸収しています。
各社のサービスも基本的にはApp StoreやWebサイト経由で提供されているため、どこで買ってもほぼ同じ。極端な話、ドコモで買ってソフトバンク回線で使うといったことも可能です。
Pixelも同様に、キャリアごとの差はなく、メーカーが販売したモデルにキャリアのSIMカードを挿して利用することができます。
先に挙げたように、グーグルの分割払いはやや回数が少なく、1カ月あたりの出費が高額になってしまい、残債を免除するような仕組みもありません。これが負担だという場合には、Pixelを取り扱う3キャリアのどこかから購入すればいいということです。
一方で、GalaxyやXperia、AQUOSといったキャリア型番が付与されるAndroidスマホの場合、一部ソフトウェア的にキャリアごとのカスタマイズがされていることがあります。メニュー回りやプリインストールアプリに違いがあるほか、デュアルSIMや5Gの周波数など、通信周りの仕様に差分が設けられているケースも見受けられます。
とは言え、その差も徐々に少なくなってきており、他社のプラチナバンドが利用できないといった決定的な違いではなくなってきています。現に筆者も、ソフトバンクでは取り扱っていない「Galaxy Z Fold5」のドコモ版をソフトバンク回線で運用中。設定にドコモのメニューがあったり、消せないドコモアプリがあったりはしますが、特に大きな問題は起こっていません。
メーカーにお得な買い方がなければ、キャリアからの購入を検討してみるのも手と言えそうです。