「サイバーちゃぶ台」で絵を描く! ワコム液タブ「Cintiq」


「Cintiq 24HD」。場所の関係上、部屋のドアがぎりぎり開く状態での設置となった。届いてしばらくは、床に置いて本当にちゃぶ台状態で使っていた。描画できる画面の外も広く、腕が乗るため「机の紙に描く」感覚の再現性がすごい

 デジタルでデザインや絵画を制作している人は、今や相当多いのではないだろうか。人生初の絵画がCG、などという子供も珍しくはなさそうだ。増えすぎる画材や工具、デザインのための材料……これらの置き場所は、デジタルツールの導入ですっきり! しかも、消耗画材も無限に使える……筆者もそう思って、長年の趣味であるお絵かきをデジタル環境に移行したのだが、そこには大きな欠点があった。

 デジタルであるが故に、筆者は無限に拡大できてしまう画像の扱いに困ってしまったのだ。どこまで細かく描きこんでも、プリント結果を肉眼で確認できない状態での作業となり、プリントアウトした結果にがっかりしたことは数知れず。デジタル媒体でのみの発表が目的の作品制作であれば、モニターで確認がとれるレベルで大丈夫なので問題はなかったが、やはり、幼少時に画用紙いっぱいに絵を描いていたあの感覚には戻れない……。また、目は画面を見て、手は板タブレット、という状態では肩こりに悩まされた。

 そんな訳で、だんだんと楽しかったはずの制作が億劫になってしまい、ほとんど無趣味の人間と化してしまった筆者。そんな時、YouTubeのワコムチャンネルで公開されている、「Cintiq」シリーズのデモ映像を見てしまったのだった。知人から噂は聞いていたのだが、自分にはトゥーマッチで縁のない世界と、なんとなく目を背けてきた液晶タブレット(液晶ディスプレイとタブレットの一体型製品)が、そこにはあった。

 そして、それは限りなく自分が欲しかった「ちゃぶ台いっぱいに白い画用紙を広げて描きまくる」というものに見えてしまったのだ。値段も、大きさも、そして重さもボリュームがあるので、購入はかなり勇気がいることだったが、届いてみて驚愕。まさにこれは「サイバーちゃぶ台」ではないか!!

 無限に広がる画用紙の世界。といっても、ガラスごしにペンを走らせるので、少しペン先が浮いている感覚に慣れるのには、しばらく時間がかかりそうだし、紙の質感もないので、コツをつかむまでは試行錯誤の毎日が続きそうだ。家具は、店頭で見たときと部屋に入れたときとサイズ感覚が全く違うというが(そう、ほとんど「家具」の感覚だ)、その例に漏れず、狭い部屋にはなんともバカでかく、スペースの多くを取られてしまうこととなった。描画に不自由するほど手汗が出るわけではないが、CRTモニター時代を思いだすほどには、ディスプレイ自体の発熱もある。人によっては手袋必須となるかもしれない。

 だが、それらを含めて考えても、デザインや絵画などが趣味の大きなウエイトを占める人にとっては、後悔しない一品であると思う。少なくとも今、筆者は見失っていた趣味を取り戻せて、とても幸せであることは間違いない。買ってよかった。


軽めの力で、垂直にまで画面を立てられる。斜めの状態でも固定でき、描画可能なのはさすが。机の上に敷いた紙に描く姿勢からイーゼルに立てかけたキャンパスを使う姿勢まで対応したとのことでかい。500mlペットボトルが小さく見える。A4原稿用紙なら原寸大で描画できる。解像度の関係で、紙と同じに描くには少し拡大が必要だが、どこまで拡大すればいいのか直感的に分かるのは快適!

 

製品名製造元購入価格
Cintiq 24HDワコム20万5000円

 

 

(珠里)

2012/8/31 06:00