本日の一品

令和の手甲ポーチを灼熱のバルセロナで使ってみた

 久し振りの海外旅行を前に、スマホやパスポート、カード類をどう持ち歩くかを考えていて見つけたのが、AliExpressで1100円ほどだった妙なポーチである。

 商品説明ではランニングやサイクリングなどに使う「スポーツアームバッグ」のような位置付けだが、筆者にはどう見ても昔の「手甲」にしか見えなかった。

 手甲は旅人や職人、武士などが手首から手の甲を保護するために使った装具で、海外にもガントレットなど手や腕を保護する装具は古くから存在する。ならば21世紀の旅人がスマホやカードを入れてもよいだろう。筆者は勝手に「令和の手甲ポーチ」と命名し、バルセロナ旅行へ連れ出すことにした。

3つの収納部を備えた「令和の手甲ポーチ」

 外側を見ると大小3つのファスナー付きコンパートメントがある。素材は比較的柔軟で、最大7インチクラスのスマートフォンを想定した製品だ。購入時にはブラック、グレー、ピンク、パープルなどがあり、筆者は最も無難そうなグレー系を選択した。

裏側はミトン風。左右どちらの手にも対応する

 裏側を見ると構造がよく分かる。ミトン型手袋のように親指と残り4本の指を分ける構造で、さらに左右どちらの手でも使えるよう親指を出す開口部が両側にある。最初は親指と小指を左右の穴から出すのかとも思ったが、そうではなく左右兼用のための構造である。

親指を通して左手に装着。手のひらは自由だ

 装着は親指を穴から出し、4本の指を大きなループへ通して、手首部分を幅広のベルクロで固定する。今回は左手に装着した。手のひら側はかなり開放されているので、想像したほど「手袋を着けている」感じはない。

装着したまま普通にモノを握ることもできる

 ポーチ本体は手の甲側に載るため、装着したままモノを持ったり掴んだりする基本動作にはほとんど支障がない。もちろん中身が重くなれば話は別だが、日常的な携行品程度なら意外に自由に動かせる。

しっかり固定しても手首のスナップは意外に効く

 幅広のベルクロでかなり強く固定できる一方、手首のスナップもそれなりに効く。今回の目的はランニングでも釣りでもサイクリングでもない。バルセロナの街中を歩き回る「海外旅行用手甲」として使うことである。

旅の必需品を手甲ひとつにまとめてみた

 今回の旅行ではサグラダ・ファミリアやダリ美術館などを訪れた。バルセロナは観光客を狙ったスリや置き引きへの注意が繰り返し呼びかけられる街でもある。スマホ用ストラップなども選択肢だが、筆者はそれで使い勝手を落とすより、必要なモノを身体から離れにくい場所へまとめることにした。

 パスポート、航空券、クレジットカード、最低限のバウチャーやクーポン。そしてスマホ、薄型モバイルバッテリー、ケーブルなどである。何でもスマホに入る時代になったとはいえ、まだ紙で持ちたいモノ、スマホだけには依存したくないモノもある。航空券は切り取り線部分で折れば収納できた。全部詰めても総重量は400g前後。軽快とは言い難いが、片手の手甲として我慢できる範囲だった。

イヤフォン穴は細い。USB Type-Cには少々窮屈

 観光中に音楽を聴いたり、ダウンロードした音声ガイドを利用したりするならイヤフォンも欲しい。このポーチにはケーブルを通す穴があるが、昔ながらの3.5mmイヤフォンプラグ程度を想定したサイズだ。USB Type-C変換アダプターなどはそのまま通らない。細いイヤフォンケーブルだけを穴から通し、変換アダプターとの接続を内部で行えば利用できる。ただしモバイルバッテリーのサイズや端子位置次第では内部がかなり混雑する。

厚いスマートウォッチとの同居には少々無理がある

 もうひとつ意外だった制約が腕時計だ。同じ手首に厚みのあるスマートウォッチを装着すると、ポーチのベルクロ部分と干渉して手首の自由度が落ちる。薄型のデジタルウォッチに替えるか、スマートウォッチを反対側の腕へ移す方が実用的だろう。

短いケーブルなら給電しながらスマホも使える

 一方、薄型モバイルバッテリーをポーチに入れ、プラグ部を除いて15~20cm程度の短いUSBケーブルを使えば、バッテリー残量の少なくなったスマホへ給電しながら操作することもできた。この辺りはまさに21世紀の手甲らしい使い方である。

制約もあるが、妙に見せびらかしたくなる手甲だ

 実際にバルセロナで使ってみると、収納量、腕時計との干渉、ケーブルの取り回しなど、いろいろ制約はある。しかし最大の敵は予想外のところにいた。「暑さ」である。連日30度を大きく超えるバルセロナで、手の甲から手首までポーチで覆うのは想像以上に暑い。通気性をうたう構造でも、灼熱の街歩きでは限界がある。

 それでもスマホ、パスポート、カード、モバイルバッテリーといった現代の旅道具を、バッグでもポケットでもなく「手の甲」にまとめる発想は楽しい。1100円のガジェットとしては十分に遊べた。何より見た目のインパクトがあり、装着すると妙に人に見せびらかしたくなる。

 結論として、令和の手甲ポーチにも明確なシーズンがある。真夏のバルセロナは完全に季節外れだった。日本なら晩秋から初春あたりがベストシーズンだろう。昔の旅人が防寒や防護のために身に着けた手甲が、スマホとモバイルバッテリーを抱えて21世紀に復活したと思えば、1100円のポーチもなかなか味わい深いのである。

商品購入場所価格
手甲ポーチAliExpress約1100円