本日の一品
騒音に負けるスマートグラスを救う「サウンドガイド」
2026年8月4日 00:00
昨年秋ごろから、そこそこの価格で国内でも手に入るスマートグラスが一気に増えてきた。筆者が買ったものだけでも、中華製ノーブランド、Halliday、OWNDAYS CONNECT、Even G2、Rokid AI Smart Glasses、そして直近のRay-Ban Metaと、いつの間にか6台になった。
レンズ内ディスプレイを備えたEven G2やRokid AI Smart Glassesなら、AIの回答を文字で読むことができる。一方、ディスプレイを持たず、回答を音声だけで伝えるモデルは、周囲の騒音に負けて何も聞こえなくなることが多い。今回は以前から何種類か買っていた音声補助デバイス、通称「サウンドガイド」を新入りのRay-Ban Metaに取り付け、その効果を試してみた。
スマートグラスの構成部品のうち、高価格化の大きな要因となるのがレンズ内ディスプレイである。そのため低価格帯を狙う製品にはディスプレイを搭載せず、AIからの回答を内蔵スピーカーによる音声再生だけに頼るモデルが多い。決して低価格とは言えないRay-Ban Metaも、その仲間である。
一方、ハイエンドのスマートグラスには、回答をレンズ内に文字表示すると同時にスピーカーから読み上げる製品もある。筆者が現在メインで使っているRokid AI Smart Glassesがこのタイプだ。周囲が騒がしくて音声を聞き取れなくても、視界内の文字で内容を確認できる。
スマートグラスは普段の生活でも極めて便利だが、JR山手線や東京メトロの車内、銀座や秋葉原の雑踏を歩いていると、最大音量にしてもAIの音声が周囲の喧騒に埋もれることが多い。
質問への回答なら、後からスマートフォン内の履歴を読む手段もある。しかし困るのは、必要な時刻に音声入力で設定したアラームやリマインダーだ。ベルや電子音ならまだ気付きやすいが、音声だけのお知らせはそのまま聞き逃してしまう。
そこで必然的に登場したのが、最新AIに純アナログ技術を組み合わせたサウンドガイドである。今回AliExpressで手に入れたのは、数ある製品の中でも耳元までの延長部分が少し長いタイプだ。
スマートグラスのスピーカー位置は、バッテリーや基板、アンテナといった内部の“餡子”、そしてテンプルと人間の耳の位置関係から、おおむね似た場所に落ち着く。そのため販売ページでは対応機種として多数の製品名が並んでいるが、実際には専用品というより、かなりフレキシブルな汎用品と考えた方がよい。
仕組みは実に単純だ。テンプル後部の斜め下側にあるスピーカーを覆い、そこからシリコン製の細い音導管を外耳道の近くまで延ばす。昔からある伝声管にも似た構造で、電源もBluetoothも半導体も使わない。
筆者が購入した時の価格は左右一組で523円だった。ところが、音声応答だけを採用するスマートグラスが増えて需要が伸びたためなのか、現在は同種の製品が当時の約2~5倍の価格で販売されている。電池も電子回路もない小さなシリコン製パーツだけに、最近の値上がり幅には驚かされる。
キッチンスケールで量ると、左右合わせてわずか3gだった。40~50g前後のスマートグラスに対して約6~7.5%の重量増となるが、装着時に重さの違いを意識することはほとんどない。
取り付けは左右を間違えず、テンプルに差し込むだけである。「R」の刻印があるパーツを右側に取り付け、スピーカー開口部とサウンドガイドの入口が重なる位置に調整する。
サウンドガイドはテンプルから枝分かれするように耳の内側へ伸び、先端が外耳道の近くに来る。イヤホンのように耳穴を密閉せず、周囲の音も聞こえる構造だ。
効果は予想以上だった。AIの応答や回答が聞き取りやすくなるだけでなく、Amazon Musicなどの音楽再生も明瞭になる。電気的に音量を増幅しているわけではなく、本来は周囲へ拡散していた音を耳元へ効率よく運んでいるのだ。
現在はレンズ内ディスプレイを持たないRay-Ban Metaに取り付けて使っている。Ray-Ban Metaはオーディオ機能にも力を入れた製品だが、それでも山手線や東京メトロ、銀座や秋葉原の騒音に必ず勝てるわけではない。少なくとも筆者の使用環境では、サウンドガイドの効果は極めて大きかった。
唯一の問題は、本来のテンプルからもう一本の枝が生えたような外観になることだ。普通のメガネに近い見た目を取るか、騒音下でも聞こえる実用性を取るかは、ユーザーの判断になる。
もっとも、柔らかなシリコンゴム製なので、筆者は取り付けたままRay-Ban Metaの充電ケースへ押し込んでいる。今のところ収納や充電に支障は起きていない。
最新のスマートグラスが抱える問題を、電池すら使わない純アナログの音導管が解決する。筆者の購入時には523円だった製品が、現在では約2~5倍に高騰している事実は、音声応答型スマートグラスの増加と無関係ではないのかもしれない。
外見こそ少々ワイルドだが、ハイテク製品の弱点を昔ながらのアナログ技術が補う構図は実に面白い。サウンドガイドは、音声応答型スマートグラスを騒がしい街中で実用品に変える、小さく軽い名脇役である。
| 製品名 | 発売元 | 実売価格 |
|---|---|---|
| シリコン滑り止めオーディオガイドチューブ | - | 515円 |










