本日の一品

極小なANCイヤフォン「GLIDiC TW-5200」を手に入れた

とにかく小さい! 従来製品の半分サイズ

 大昔、海外出張によく行ってた昭和なサラリーマン時代、運良くビジネスクラスに乗れた時に、初めて見て触って使ってめちゃくちゃ感動したのは座席に備え付けのBOSE社のノイズレスヘッドフォンだった。

 いつもなら、現地に着くまでズッと付き合わないとイケない「ゴ~ッ」っていうジェットエンジンの音と変にミックスした音楽を聴き続けないとイケないはずだったが、ヘッドフォンを装着した瞬間に静寂の別世界だった。これは太平洋を越える間に毎回最高に楽しみだった新作映画を観るときも同じだった。

 その後何度かそのヘッドフォンを経験するにつれてどうしても欲しくなって、自腹で手に入れた。しばらくするともう少し小さなソニー社のノイズレスヘッドフォンが発売されまたしても彼らの戦略にはまり続けていろいろ買ってしまった。

 それ以降もノイズレスヘッドフォンは流行だったかもしれないが、筆者の志向はワイヤレスよりワイアード(有線)となり、ハイレゾオーディオの進化とともにワイヤレスイヤフォンやヘッドフォンは個人的に旬なテクノロジーではなくなってしまっていた。

超コンパクトなアクティブ・ノイズキャンセリング完全ワイヤレスイヤフォン

 そんな志向でも、イヤフォンのワイヤレス化の波には勝てず、知人から頂き初めてGLIDiCのワイヤレスイヤフォン「TW-9000」を使い出した。実際に使ってみるとこれがなかなか素晴らしいのだ。なにより冬でもマフラーやコートの襟に絡まない。最初は音質よりそっちを気に入ってしまった。

 一番の問題は、走ると耳から落ちそうな気になることだった。実際には落ちることはないが、気になってしまう。

 ケーブルレスゆえ総体積は小さく、ケーブルを丸める必要もなく、つい専用ケースに収納するのが面倒になってそのままポケットに入れて忘れてしまって、一度は洗濯されそうになってしまったことがあった。

超時代遅れ的に見えるがColorFlyとAKGの有線K3003は10年前の看板組み合わせ

 そんなワイヤレスイヤフォンがさらに進化して、より小さく携帯性能を上げたモデルの「アクティブノイズキャンセリングイヤフォンGLIDiC TW-5200」が登場した。早速手に入れてみたがマジにめちゃくちゃ小さい。もちろん小さいと言っても人の外耳道に押し込むサイズなので限度はあるがとにかく小さい。

 筆者宅は、筆者を含め、妻も娘も私も家族全員がGLIDiCのワイヤレスイヤフォンユーザーだ。比較のために妻が愛用しているものと私の現有機、そして最新のウルトラ小さな「GLIDiC TW-5200」の3つの充電兼収納ケースを並べてみた。体積的にはほぼ確実に半分以下、3分の1近い感覚だ。

筆者と妻の現役GLIDiC(左2つ)とGLIDiC TW-5200。半分以下サイズ。充電ケースカバーを開けるとイヤフォン自体ほぼ同サイズ

 同梱品は左右のイヤフォン本体と充電兼収納ケース、サイズ調整用のイヤーピースが全部で5種類、充電ショートケーブル(20cm)、取説だ。Bluetooth5.2を採用、対応コーデックはSBC、AAC。充電用ケースのUSBポートはType-Cだ。充電時間はイヤフォンは45分、ケースは1時間40分だ。

TW-5200の同梱品は一般的だ。イヤーピースはXXS(極小)~L(大)まで5種。Mサイズが装着されてくる

 スマホやパソコンなど同時に2台のホストと接続が可能なので、スマホとのミュージックオーディオ用とラップトップなどとのZoom用に設定変更なしに使えるのが嬉しい。またBass Sound Modeの切り替えで重低音の再生も実現している。筆者の用に昭和なハードロックやメタルのファンには必須の機能かもしれない。

イヤフォン本体の小さなLEDでステータスを表示する
Bluetoothのペアリングは簡単。2台のホストに切替接続できる

 その昔、普通サイズのお弁当箱くらいの大きさのあったATCが、今や手のひらの中に隠れてしまうサイズだ。ATCの強みが生きるのは、定常的なノイズのある東京メトロや新幹線の車内、なにより一番効果的な環境は冒頭の回顧話と同じ飛行機の中だ。

 機内でZOOMやる強者はいないと思うので、シンプルに純粋に音楽再生だけを前提にATCを楽しめる数少ない環境だ。今回は運良く?鹿児島に1泊2日で行く用事が出来たので、早速機内でGLIDiC TW-5200の効果を体感してきた。

今回は羽田‐鹿児島のソロシドエアの2時間の間にTW-5200を実体験してきた

 インイヤー系の有線イヤフォンに凝っていた頃は、イヤーピースを神経質くらい選んで何とか外音の侵入を防ぐ努力はしていたつもりだが、それも限度がある。どうしても音量は最大ボリュームに近くなってしまう。そしてクラシック音楽もダイアナクラールもはなから諦めて、傾向はアイアンメイデン系になってしまうのが常だった。

 4年ぶりに搭乗したソラシドエアーの今回。土曜日朝、満席の羽田ー鹿児島便、約2時間。昔からジェット機内の騒音レベルは軽く90dBは超える。そして飛行機の先端より主翼脇や非常ドアの近く、そして後尾部分が騒音が大きいと言われている。今回は最後尾通路側で、ラッキーなことにもうこれ以上のテスト環境は望めない。

 雨の羽田を離陸して水平飛行になった頃、外は地上とは打って変わって見渡す限りの青空。早速、GLIDEIC TW-5200をポケットから取り出し、相棒のGalaxy Z Fold 4と自動ペアリング。

 ワイヤレスイヤフォンになっていつも一番の心配は、ペアリングが上手くできていなくて大音量でスマホから音楽が流れることだったが、今回も大丈夫だった。それでも心配なので音量を小さく絞って確認。小さな音でも周囲のジェットエンジン音は気にならない。

 総飛行時間の内の約1時間ほど、さまざまな音楽を聴いて過ごした。素人的には大音量で聴くことが前提のようなヘビーメタル系の音楽に向いていると思ったが、結果的にはそうでもないことがよく分かった。ATCの技術は以前とは比較にならないほど進化したようだ。

 今回、聴いた曲の中で超印象的だったのは、ダイアナクラールのTemptationやAlmost Blue。ピアニシモからフォルテシモまで無音部分から立ち上がってくるワイヤブラシがスネアドラムを軽く叩き擦るサウンド、それにかぶさる弦バスの振動やビビり音、シンバルの音、最後に被さってくるボーカル。全てが静寂のなかから始まってくる快適さは機上世界とは思えない。

イヤフォンやヘッドフォンでは絶対に課題曲として聴くことの多いダイアナクラールの「Temptation」。イントロでアクティブノイズキャンセリングイヤフォンの効果を感じてしまった

 そしてもう一つは、全く正反対の、のっけからサウンド全開の「A Matter of Life and Death、」の「Different World」だ。全員が最初から一気に突っ込んでくる典型的なメタルロックの曲だが、いつも私が注目するのはブルース・ディッキンソンのボーカルが途切れたときに聞こえてくるスティーブ・ハリスのベースとニコ・マクブレインのドラムのユニゾン風のバックだ。

一般的にノイズキャンセリングイヤフォンとは無縁に思えるヘビーメタル音楽だが……実際に聞き比べて見るとこれほど差を感じるケースも少ない

 大音量の曲の場合はアクティブノイズキャンセリングの恩恵は少ないと誤解していたが、大きな間違いだと気づいた。学生の頃からエレキベースをやっていた関係でエレキかアコースティックかは問わず常に気になるのはベースラインなので、多少偏った音楽の傾向があるのは引き算して欲しい。

 音楽のことばかりになってしまったが、GRIDiC TW-5200も従来の製品列と同様に紛失防止、発見に超役立つTile機能を搭載している。筆者は数多くの昨今流行の遺失物トラッカーをテストしてきたが最終的には最も使い勝手が良くて信頼できるTileに統一している。

TW-5200 EarbudsもTileを搭載している自動発見してくれるので有効にするだけ
鞄からイヤフォン、VISAカード、財布、ビニール傘までTileで管理
近くにあっても小さくて行方不明になってるTW-5200をスマホから音を鳴らして探索できる。耳を澄まして周囲の音を押さえると何とか聞こえるはずだ

 GLIDiC TW-5200を約2週間使ってみて感じた点は、基本性能としてのアクティブノイズキャンセリング機能の優秀さ。そして充電ケースがウルトラコンパクトなことだ。最後に極めて小さなことだが右側のイヤフォンと充電ケースの両方に超目立つようにある“赤い点”これは耳に装着するときや充電ケースに戻すときに便利だ。ユーザーインターフェイスの狙いは説明がなくても分かりやすいことだ。

赤のRが極めて分かりやすい。充電ケースに戻す時も重宝している。分かりやすさは最強のユーザーインターフェイスだ

 音楽や楽器、そして食べ物、それらに関わるモノには「コスパ」(価格性能比)なんて言葉はないと常々考えている筆者だが、GLIDiC TW-5200も決して“コスパが良い”の一言では片付けたくない。あえて言うなら「ベストバイ」という表現が最適だ。

商品価格販売元
GLIDiC TW-5200 アクティブノイズリダクション イヤフォン1万780円SoftBank SELECTION
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