本日の一品

WearOS搭載の「TicWatch Pro 3 Ultra GPS」は常時表示なのにバッテリー持ち抜群なスマートウォッチ

 コロナ禍で、すっかりたるんでしまった心と体をなんとかしたい。しかし、運動を習慣にしていないので、とりあえず少しの外出でも「運動したことに」したい。できれば正確に。

 Mobvoi製スマートウォッチ「TicWatch Pro 3 Ultra GPS」(ティックウォッチ プロ 3 ウルトラ ジーピーエス。以下、TicWatch)は、そんなニーズにマッチしたアイテムだ。

 Mobvoi(モブボイ)という名前に馴染みがないのだが、実は2012年から音声AIとハード、そしてソフトウェアを統合した製品を40以上の国や地域に提供しているのだとか。製品には「Tic〇〇」、という名称がつけられており、今回紹介するスマートウォッチにも「Tic」が頭につけられている。

 これまで、いくつかのスマートウォッチを使ってきたが、どれも独自OSを搭載しているものだった。だが、TicWatch Pro 3 Ultra GPSは違う。Mobvoi自体がGoogleからの出資を得ていることもあり、Wear OSを積んでいる。そのため、「OK, Google」も使えるし、Google マップとの連携もできるし、Googleカレンダーとの同期もできる。がっつり使いたい人にとっては、豊富なアプリをインストールできるのも魅力的だ。

TicWatchはWear OSを搭載したスマートウォッチなので、Google Playから対応するアプリを選び放題、インストールし放題だ(ストレージ容量に注意)

 とはいえ、筆者がTicWatchで魅力だと感じたのは、それ以外の特徴である。ひとつはアクティビティの開始を意識しなくても、自動的に記録をつけていてくれる「TicMotion(ティックモーション)」。もうひとつが時計としていつでも見たいときに時刻を表示してくれている「常時表示」機能だ。

 TicMotionは、ランニング、ウォーキング、サイクリングをユーザーが行うと、自動的に検出する。

「TicExercise」→「設定」→「運動識別」から入れる自動検出設定画面。「運動自動認識」をONにしておけば、アクティビティが一定時間続くと検知して記録してくれる

 実は、以前使っていたスマートウォッチにも同じような自動検出機能があり、そちらは感度を「高・中・低」から選べてそれはそれで良かったのだが、検出通知の振動がきてから時間をカウントしているようだった。そのため、正確な運動時間がわからなかった。

 TicWatchの場合は、感度を選べないし、運動開始から3分以上経過してからようやく検知して「検知通知」が届くのだが、こちらはしっかり時間をさかのぼってカウントしてくれているようだ。というのも、今回のレビューのために、歩き始めた時刻を確認してから歩き回ったところ、検知通知の振動のあった時刻からではなく、歩き始めた時刻からのものをカウントしていたからだ。仕様が明記されていないので、絶対にそうであるとは言い切れないが。

 アクティビティの正確さにちなんで付け加えたいことがある。包丁を使う、編み物をするという動作を「歩いた」と勘違いするスマートウォッチが多い中、TicWatchではそのような誤認識が生じづらいと感じた。特に、編み物では手首の動き方が歩いたり走ったりする動きに似ているらしく、今までいくつかのスマートウォッチやスマートバンドを試したが、やたら歩数を稼いでしまっていて、ちょっとした罪悪感を抱いてしまっていた。なんだか公園のベンチに座って、歩数計を一生懸命振っている人と変わりないなぁという気がしていたのだ。

 誤認識がないおかげで、かなり正確に歩数をカウントできるようになった。専用アプリ「Mobvoi app」で過去を振り返ったときに、きっと役に立つに違いない。

 もうひとつの常時表示についても説明したい。

 常時表示と聞くと、「消費電力が増えて、丸一日、時計がもたなくなるでしょう?」と考えるかもしれないが、TicWatchのディスプレイは2層構造になっている。時計を操作したい、詳細を表示したいときのAMOLEDディスプレイの上にバックライト付きの「FSTN LCDディスプレイ」を重ねることで、通常は消費電力の少ないFSTN LCDディスプレイで日時や歩数、バッテリー残量などを表示。画面タップでAMOLEDディスプレイをONにしてさまざまな操作を行える。

1.4インチ、454×454解像度のAMOLEDディスプレイ表示中。輝度を自動調節するため、日光の下でも見やすいが、この表示のままでは消費電力量が増えてしまう
FSTN LCDディスプレイのバックライトOFF。この状態で常時表示できるため、バッテリーもちが良く、3日は着けっぱなしにできる。メーカーでは、スマートモード(AMOLEDディスプレイでの表示モード)で最大72時間、省電力モード(FSTN LCDディスプレイでの表示モード)で最大45日間としているが、実際には省電力モード中でもAMOLEDディスプレイを使うことがあるので、目安として考えたほうが良さそうだ
充電はマグネット吸着型の充電ケーブルを使う。挿すタイプに比べると、断然楽だ

 LCDディスプレイで表示させているとき、通常はデジタル温度計のような、または計算機の液晶のような暗い画面なのだが、それでも時刻をチェックすることはできる。腕を少し傾ければ、すぐさまバックライトがONになり、視認性はぐっと高まる。しかも、バックライトカラーは18色から選択可能。普段は、落ち着いたグリーン系で、気持ちを高めたいときには赤やピンク系、といった具合に、気分に応じて変えられるのがいい。

ウォッチ上でバックライトを18食から選べる。変えると結構気分がアガる

 この2層構造のディスプレイのおかげで、「すぐさま時刻を確認したい」「バッテリーの持続時間を増やしたい」という相反する要望がかなう。忙しいビジネスパーソンだけでなく、自分でスケジュール管理を行う必要のある学生にもピッタリではなかろうか。価格もお手頃だし。

 とはいえ、いくつかの不満点もある。

 ひとつはスマホアプリのUIがあまり洗練されていないことだ。設定ひとつにしても、どこにあるのかがわかりづらい。ウォッチのフェイス変更はどこから行うのか、AMOLEDディスプレイのバックライトをONにしない時間帯を設定できないのか(できない)、TiCWatchでアクティビティをスタートさせられる運動の種類をTicExerciseに追加するにはどうすればいいのか(アプリからは行えない)などなど。「デバイス」というメニューがあるのだから、そこに集約していてくれればいいいのになぁと思わずにはいられない。

スマホアプリ画面。左からホーム、睡眠記録、運動記録。アクティビティが、3分の1ずつを構成する円で表示されるのが視覚的にわかりやすい。完全な円を目指したくなる
もちろん、TicWatchだけでもその日のアクティビティ詳細をチェック可能。見やすい

 とはいえ、使い始めてしまえば、充電回数が少なくて済むし、アクティビティを正確に記録してくれるし、いつでもサッと時刻確認ができるので、TicWatchには満足している。

 ここでは紹介しなかったが、「GPS」と名前に付いているだけあって、GPS、GLONASS、ガリレオ、みちびき、BeiDouの5つのGNSSに対応している。知らない土地でランニングを行う、ハイキングをするなどで役立つだろう。

 IP68の防塵・防水性能、MIL-STD-810G準拠のタフさ、コーニングゴリラガラス採用など、日常使いで壊れてしまうのではないかという不安感がないのもいい。年がら年中、着けっぱなしでいられる“全部入り”スマートウォッチなのだ。

製品名発売元実売価格
TicWatch Pro 3 Ultra GPSMobvoi3万5999円
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