本日の一品

透明で向こう側が見える3COINSの「電子メモパッド」を手に入れた

黒のフレーム(額縁)以外は筆記面も含めてトランスペアレント(透明)な3COINSの電子メモパッド……さてどこが便利なのか探ってみた

 昨今は、いつの間にか定着した名称である“電子メモパッド”と呼ばれる描いては消してまた描けるA5サイズ程度の電子メモが巷にあふれている。

 十数年前からなかなか有意義な商品ではあったが、従来は数千円近くした。その後、量産技術の確立や市場の拡大で今では100円ショップで売られたり、雑誌の付録としてオマケになったりするほど安価になった。おかげで、以前はオタクしか買うことのないテクノロジージェットだったが、今では普通の人が単機能・単目的の実用品として気軽に買える商品となった。

 各社のスペックを見ると筆記部分のパーツは“LCD”(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)と記載されているが、一般的に普通の人が思い浮かぶパソコンなどに使用されている液晶ディスプレイとはかなり異なる印象のモノだ。

 ご存じの方も多いだろうが、実は多くの電子メモパッドで採用されているLCDは、コレステリック液晶(ChLCD:Cholesteric Liquid Crystal Display)と呼ばれるものだ。メモリー性があり、電源を落としても表示が消えず低消費電力という特性がある。

 ここ十数年ほどではChLCDを採用し、一躍有名なった元祖電子メモパッドである“Boogieboard”を世に出したKent Displayが有名だ。昨今では多くの中国系企業が同じ素材を使用しさまざまなサイズのChLCD電子メモパッドを発売している。

トランスペアレントな筆記面は筆跡と背景のコントラスト比がキモだ。ぼんやりした筆跡のパッケージに一抹の不安感が漂う

 昨今では、ChLCDパネルの見る方向によって反射光の色が変わる特性を利用して、なんちゃってカラーモデルも登場し注目を集めている。多くの企業が本業とは無関係に参入し賑やかにもなってきている。今回ご紹介するChLCDパネルを採用した電子メモパッドは3COINSで販売している透視(トランスペアレント)型電子メモパッドだ。トランスペアレントでいったい何が便利になるんだろう?

 3COINSの販売しているトランスペアレントモデルのサイズは、昨今の他社の売れ筋モデルとほぼ同じ8.5インチ級サイズだ。ChLCD面がグレーの半透過型、前面のフレームだけはブラックだが裏面から見ると本体もトランスペアレントだ。

8.5インチサイズは廉価版電子メモパッドの定番サイズだ
黒いフレーム以外は全身トランスペアレント

 裏面下には、誤消去防止のスライドスイッチが配置されているが、もちろん全てが半透過型であるため極めて見づらい。本体上部分には、切り込みがあり専用スタイラスをホールドできる。昨今の他社製電子メモパッド同様、筆圧で筆跡の太さを簡単に表現可能だ。

中央に配置された誤消去防止スライドスイッチも見えにくい。他社の電子メモパッド同様ボタン電池(CR2025)で駆動される
昨今の標準的電子メモパッド同様に筆圧で筆記線の太さに変化を加えられる

 トランスペアレントモデルと言えば本家であるBoogiboardも、サイズ違いの2種類を発売済みだ。筆者はA4サイズの大きなタイプを海外から買って今も愛用しているが3COINSのモデルと比較すると、Boogieboardは同じトランスペアレントとは言えかなりダークな色合いになっており筆跡と背景のコントラスト差により視認性はそこそこ高い。

3COINSに何年か先駆けて発売されているBoogieboardのトランスルーセント(半透明)モデル。筆記面が濃いフィルター色なので筆記文字のコントラストも実用範囲だ
3COINSの電子メモパッドはより果敢にトランスペアレントを強調した透明度を前面に押し出している様だ

 加えて標準オプションとして裏面にブラックな下敷き(片面はドットマス目、もう片面は無罫のブラック面)をはさむことで、より筆記文字と背景とのコントラスト比を稼ぎ視認性能は向上する実用的な使い勝手を提供している。

先輩格のBoogieboardは標準オプションで背面にスライドインするガイド的な下敷きが用意されており筆記文字やイラストの視認度は高くより実用的だ

 一方、3COINSの商品は筆記時に電子メモパッドを置く場所や背景により視認性はかなり大きくブレることが容易に想像できる。真っ黒なThinkPadの上で使う時はコントラストが明確で視認性も高いが、白いテーブル上で使用するとかなりコントラストは低下する。罫線代わりにA5版リーガルパッドを下敷きにしてみても紙面は明るいので逆効果だ。普通に使う場合は何か黒い背景物が必要だ。

筆記後ThinkPadなどの黒い面に載せると視認度はアップする
白いテーブルでは視認度は低くシュールな雰囲気が好みの人には向いている
Boogieboardを真似て筆記ガイド用に下敷きを敷いてみたが黒い下敷きが欲しい

 筆者のような素人は、本来、筆記面がトランスペアレントであるメリットは、電子メモパッドの下に何かお手本の写真や絵、文字などを敷いてそれをスタイラスでなぞって模写する場合だと決めつけてしまうきらいがある。これはBoogieboardも同じだ。

 幸い、筆者宅に長くいる同居人のウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアが描かれたトートバッグがあったので、上に3COINSの電子メモパッドをのっけて家族にアウトラインを模写してもらった。

Boogieboardも発売時のアドバンテージとして宣伝していた模写ニーズはあるのかも……

 確かに、これなら絵心がそれほどない人でも、そこそこリアルなバランスで描くことも可能だ。しかし、模写後の電子メモパッドの筆記をしっかり見るには、やっぱりThinkPadの天板の上においてしまった。筆記後の電子メモパッドを天井ライトにかざしてみたらなかなかシュールな雰囲気だったが、それだけで納得できる人は少ないかもしれない。

黒背景な環境なら模写の状態も見やすい
この変にシュールなアトモスフィアがお好みのオシャレな人には向いてるかも

 本体のパッケージ裏の取説を見ても、同社のWebサイトを見てもトランスペアレントであるメリットと用途が“下敷き模写”以外に紹介されていないのは残念だ。しかし、それほど高価ではないので、この際ノリでうっかり買ってしまってみんなで使い道を訴求してみるのも楽しそうだ。

製品名発売元実売価格
電子メモパッド3COINS880円