本日の一品

電源工事不要で部屋の明かりをスマート化するパナソニックの電灯スイッチ「リンクプラス」

パナソニックのアドバンスシリーズ リンク・プラススマートスイッチ

 家をスマート化すると、スマートプラグやスマートリモコンなど、さまざまなものをスマートフォンで操作できるが、電灯はなかなか難しい。なぜかというと、あと付けのスマートスイッチの利用は操作が複雑になり、壁のスイッチをスマート化したものに交換することも非常に難しいからだ。

 まず、部屋の照明をスマート化したものの場合、通常ならスマートスイッチの設置場所がなく、Wi-Fi対応のシーリングライトくらいしか方法がない。その場合もリモコンを壁に貼り付けておき、操作はリモコンでしかしない、と決めていなければならず、壁のスイッチを操作して電源を切ってしまうと、入れ直すまで全く操作できない状態になってしまう。

 壁のスイッチ自体をスマートスイッチに交換するとなった場合、こちらも問題がある。自ら電気工事士免許があって工事するか、電気工事業者に依頼しなければならないという点は当然として、壁のスイッチは電灯へ向かう電源線の片方に直列にスイッチを入れただけで、配線も直列に入れるところしかない。一般的にスマートスイッチには入り切りをするスイッチ接点のほかに電源が必要で、直列に入れるスイッチだけの配線に置き換えても電源がとれず動作させることができないのだ。

 周囲にコンセントがある場合など電源を取ることができる場合もあるが、多くの場合はスマートスイッチを設置するためには電源の線を引く工事が必要になり、場合にはよっては壁を壊さないといけなくなる。

WTY2201W単体。壁への装着には枠となるプレートと組み合わせる
裏側はただのスイッチに比べると出っ張りも多い

 そんな悩みに対応するかのようにパナソニックのアドバンスシリーズ リンクプラスに登場した「2線式」タイプのスマートスイッチがある。スイッチが1つタイプの型番はWTY2201Wで、電源線を引き回さず、直列に入れただけで使えるのだ。

 仕組みとしては直列にしてわずかな電流を流し、電圧を分圧してスマート機器が動作する電圧を確保する。そのため、照明にかかる電圧がわずかに下がってしまうが、実用上は問題がない。

 つまり、この「2線式」タイプは大規模な工事なしに照明のスマート化ができ、国内の電気や無線の認証などの問題もクリアした唯一の製品ということになる。

外見はただのスイッチのハンドルと変わりがないように見えるが、電波のマークと対応が書いてある

 実際の壁への埋め込み工事は専門家の仕事なので、詳しくは説明しないが、既存のスイッチに比べて埋め込み部のサイズが大きいため、壁の内部の構造によってはそのまま置き換えができない可能性がある。

 また、操作できる電灯は対応のLED照明や20~200Wの白熱灯用となり、パナソニックでは動作確認の情報をWebで提供しているほか、他社機器との接続を否定していない。今回も他社製のLED電球で利用できていることから、実際には幅広く利用できるものとなっている。

 また、今回は単体でしか試していないが、スイッチ単体購入の場合はBluetoothでの利用となり、Bluetoothの到達範囲のスマートフォンでしか操作ができない。「親機」となる無線アダプタやHEMSシステムのAiSEG2と組み合わせることでインターネットからのリモート操作が可能になる。

使うアプリの名称はそのまんまの「スイッチアプリ」。間違わないためにもパナソニック製であることを確認してダウンロードしたい
アプリを起動したところ。スイッチの施工設定は工事業者が行うようになっているが、自分でやってもいい

 設置が終われば設定。そのものずばりの名称の「スイッチアプリ」をインストール、設定をしていけば利用可能となる。

 スイッチとスマートフォンがある状態でできることは、Bluetoothによるリモートコントロールのほかタイマー動作などができる。スマートフォンと接続した状態で自動的に時計やタイマー動作の設定の同期をしているようで、一度接続すれば、スマートフォンを持って外出するなどBluetooth接続が切れたあとも、設定時間に電灯がつくなどの操作が行われる。

スイッチの操作画面。消灯時はこの画面で、画面上で操作する
点灯時はこのようになっている

 タイマー動作は設定時刻にオンやオフができるほか、設定した時刻と時刻の間はランダムに電灯をつけたり消したりする「留守番タイマー」も設定できる。また、「オフタイマー」で時間を設定しておくとその時間で消灯する。就寝時などに設定しておけば、設定した時間をすぎると消灯するといった動作も可能だ。

シーン操作なども設定できるが、1台だけではあまり意味がない。複数台数を使うとより活用できる
タイマー動作もスマートスイッチの魅力。居留守が使える機能もある。スマートフォンと連動した場合に同期されるようで、スマートフォンを持って外出してしまっても動作する
タイマーを設定してみた

 ただし、ネット接続できる親機がないということは、インターネットからの情報で動作するような操作はできない。しかし、それでもタイマー動作は多彩で、何か応用ができそうか考えてしまう。部屋の照明だけでも、さまざまなことができそうだ。

 できれば、親機も揃えてネットからの動作もさせたいところだが、問題は費用。親機となるリンクプラス用無線アダプター(WTY2001)は実売で2万円台。1台のスイッチのために親機を揃えるのは少々もったいないが、新築やリフォームなど予算が十分なときにリンクプラスのスイッチを大量導入して家じゅうのスイッチをこれに変え、親機まで揃えてネット経由で操作や状態確認ができればたいへん便利なのではないかと思う。

 なお、このスイッチが使えるのは照明と換気扇などに限られており、例えば暖房機器に使えば人のいないところで動作を開始してしまい、火災などにつながることもあるため厳しい制限がある。ぜひ、安全に活用してほしい。

製品名発売元購入価格
アドバンスシリーズ リンクプラス WTY2201Wパナソニック9860円
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