本日の一品

今頃知った「スタッドセンサー」の素晴らしさ

 筆者は生まれ育って学校を卒業するまで居た戸建てを除いて、今まで住んだ家はその全てが俗に言う“集合型住宅”だ。所帯をもって最初に住んだのが公団(UR)住宅、その後、マンションを転々と替わるも現在も都内の兎小屋系マンションだ。

 何十年も庶民向けのマンションに住んで一番困ったのは室内の壁面である壁紙でお化粧した石膏ボードの存在だ。カレンダーやポスター、写真などを張り付けることは押しピン跡やセロハンテープの粘着跡を気に留めなければ良いだけだが、多少重量のある額やパネルなどを貼り付けようとすると石膏ボードのもろい材質が気にかかることが多い。

 特に筆者の住む庶民用マンションなどでは厚さ9.5㎜とかなり薄いタイプの石膏ボードが採用されていることが多く、押しピンくらいは固定できても、ごく普通の釘や木ネジなどでは裏側に貫通してしまい、スカスカで重量物を固定したりしていると、時間の経過とともにもろい石膏は釘やネジの周囲から崩れてきて、いずれ固定することはままならない状態になってしまう。

 昨今では石膏ボードにも効果のある石膏ボードを表裏で挟み込むアンカー等もあるが、タオルハンガーや小さな棚くらいなら大丈夫だが、大きな額やモニター、テレビ、オーディオスピーカー等になるとやはり不安はぬぐえない。

 そんな時は石膏ボードの裏側に一定間隔で設置されている何本かの柱を見つけ出して長くて強度のあるネジや釘を使用するのが一般的だ。今回、筆者は自室のベッドの前に32インチ程度の自分専用の液晶テレビを取り付けようと企てた。

重量はせいぜい5~6kgだが、金属製の専用取り付け器具などを含めて考えるとアンカーでは不安で、やはり石膏ボードの背面にある柱に直接ネジで取り付ける必要に迫られた。

木槌で石膏ボードをコンコンと叩きながら裏側にあるはずの柱を感覚的に探すことに比べれば、スタッドセンサーは遥かに信頼性の高い確実な道具だ

 今まで、長い釘やネジを打ち込まないといけない状況下では、小さな金槌をタオルで包んで、ここぞという壁面を軽くたたき、その音で石膏ボードの裏側に柱があるかどうかを判断していた。考えれば極めて自分の耳の感覚を過信した原始的な方法だった。

 もちろん以前より石膏ボードの背面の柱の位置を検知する専用の道具があることは知っていたが、大きく誤解していたのはその価格だった。実際にネットで調べてみると今や2000円前後から存在している事実を知って愕然とした。

以前から聞いたり見たりはしていたがいつのまにか極めてリーズナブルな価格になってきたスタッドセンサー(梁・間柱探知機)
筆者の購入したのは3000円少々のZIRCONのスタッドセンサー HD60

 ミーハーな筆者は、“全米No1ヒット商品”というタグラインに惹かれて「ZILCON スタッドセンサーHD60」(間柱探知機:以降HD60)というモデルをネットショップで購入したがこれがけっこう当たりだった。

 ハンディ型のアイロンのような恰好をしたHD60には、表面上部に現在のステータスをユーザに教えてくれる液晶画面、その下には、検査する石膏ボードの厚さによって選択する深度選択の為のモード(スライド)スイッチがある。左側の“浅”は厚さ19㎜までの石膏ボードに対して有効だ。右側の“深”は19㎜~38㎜までの厚さの石膏ボードに対して有効だ。

 前述したようにマンションなどの石膏ボードの多くは9.5mm厚を採用しているので左側の“浅”のポジションで大丈夫だ。現在選択中の深度は、動作時には液晶画面下部の左右にも表示される。

本体と1枚の取説だけというシンプルなパッケージ
取説を読まなくてもパッケージ裏の解説だけで十分使える
HD60は9Vの角形バッテリー1個で駆動する

 もちろんHD60には、取説が付属するが、パッケージ背面の簡単な説明もしくは、HD本体の壁面と接する底面に記載されている操作説明だけでも十分理解できるくらい操作は簡単だ。そして本体は9V角形バッテリー込みで実測172gと軽量だ。

 さて実際のHD60の使い方だが、HD60を片手で持って、目的の石膏ボードの表面をアイロンを当てる要領で左右に滑らせて行くだけだ。HD60を石膏ボードの上に置き、左側面の電源ボタンを押しながら、右に向けて滑らせて行く。そうするとある位置でアラート音が鳴り、液晶画面上部が赤く光り、同時にHD60のすぐ上の位置にターゲット・スポットライトにより矢印型のポインターが投影される。

パッケージをすて捨ててしまっても、本体底面の使用取扱説明だけで十分に分かる

 まずはこの位置に付箋で目印を付ける。もちろん鉛筆で目印を付けてもよい。続いて、同じく側面の電源オンオフボタンを押しながら、今度は右から左にHD60を滑らせて移動する。すると、先ほどと同じく液晶画面上部が赤く光り、同時にHD60のすぐ上の位置に「↓」ポインターが投影される。再度同じようにその位置にも付箋を張り付ける。

表面の液晶画面と、前面に投影されるスポットライト、左側面の電源オンオフボタンだけで操作する
まず電源ボタンを押しながらHD60を左から右に壁を滑らせる。ライトが点灯し、スポットライトが↓マーカーを表示した場所に何かしるしをつける

 先ほどの付箋と今回貼り付けた付箋の間が“柱”の位置となるのだ。実際に床からの高さを変えて数回やった結果、筆者の部屋の柱の位置は、付箋と付箋に挟まれたところに3本あることが判明した。

 HD60は木の柱以外に金属の柱も認識出来るらしい。また、石膏ボード裏の50㎜の深さまでにある通電中の電線などがあれば注意のアラートと表示をしてくれる。たった3000円少々の予算で、石膏ボードの裏に隠れた柱の位置を明快に教えてくれるスタッドセンサーHD60は日曜大工パパの常識の一品だろう。もっともっと早く買っておくべきだった。

筆者は白い壁に鉛筆でマークを付けるのは抵抗があったので、細い付箋を貼った
今度は先ほどとは逆に右から左に向かって同じようのHD60を滑らせて、スポットライトが↓マーカーを映し出した場所をマークする
筆者はこういうタイプの付箋を普段から使っているので、今回もマーク用として印付けに流用している
作業を何回か繰り返して付箋を張り付けた結果を見ると、石膏ボードの下地にある柱の位置が自然と見えてくる
商品名購入場所購入価格
スタッドセンサー HD60ホームセンター通販 DCMオンライン3550円