本日の一品

テキストマシン「Freewrite」をキートップ交換で精悍に

白いキートップに不満を感じていたテキストマシン「Freewrite」。キー変更オプションを購入した

 情報の入手・参照にはスマホやタブレットが主流の時代ではあるが、クリエイティブな作業や複雑な資料・メールの作成となると、まだまだパソコンの出番は多いだろう。パソコン上でも、日常、スマホやタブレットで参加しているSNS系のアプリもほぼ同様に使えるソフトウェアが提供されている。

 これはパソコンで仕事をしながら、時々、SNSを垣間見て同時に進行することができるので便利ではある。しかし、パソコンで集中してクリエイティブな作業をしようとしている時にも、SNSなど参加できることは有益なことばかりでは無さそうだ。

 面白いもので、“便利”が普通という時代になってくると、文章作成などにおいて、余計なコトに気が散らないように、自らの機能を制限したハードウェアが日米ともに登場してくる。国内ではテキスト入力だけに機能を絞った“機能自制型文書入力専用機”である「ポメラ」が該当するだろう。同じようなことを考える人は世界中にいるようで、米国ではクラウドファンディングで登場した「Freewrite」が人気だ。

 ポメラとFreewrite、登場時期も出生国も異なるが、同時に共通点も多い。まずきわめてシンプルなハードウェア構造、モノクロ液晶、機能はQWERTYキーボードによるテキスト入力のみ、そして両者ともインターネットとの関わりがきわめて限定的だ。

 Freewriteは入力した文章を(日本ではオフのままだが)Wi-Fi経由でクラウドに自動アップロードできるのが大きな特長だ。オプションを駆使してクラウドとの連携を辛うじて保っているポメラとはこの点が大きく異なる。これは登場時期と、両国の歴史によるネットワークとの関係性の考え方が違うからかもしれない。加えてパソコンキーボードの元祖となったタイプライター文化の長かった国のキーボードクオリティと完成度が最大の違いだろう。

全ての白いキートップを黒に交換して“自己満足度”は90%以上だ

 ある時、同社のWebサイトで、キートップのカラー変更オプションを見つけて速攻で購入してみた。キートップのカラー変更で入力感や入力スピードが変わるというマジックは決して信用しないが、筆者はどうものっぺりとした白いキーボードというのが精悍さに欠けるイメージで好きになれなかった。

 オプションキットとして購入したキートップは全て「ブラック」。キートップを誰でも安全にトラブル無く引き抜く「Key Puller(キープラー)」というツールも標準で付属している。

 Freewriteは、「茶軸」と呼ばれるドイツの名門Cherry社のキースイッチを標準採用している。筆者は昔のIBMPCのようなカチカチというクリック音が特徴の「青軸」が好みなのだが、近頃はオフィスやカフェ、新幹線内などでの静寂性の要求や深夜のチャットなどでも周囲にカチカチ音を撒き散らさない青軸以外のキースイッチが人気だそうだ。

 自己責任で青軸に替える気迫も無かったので、まずはキートップカラーの変更を行うことにした。Freewriteには、一般的なパソコンキーボードには存在しない「new」という赤いキートップのキーが左右の端に一対ある。これはキートップ全体が白から黒に変わっても影響ないのだが、新しい黒のキートップセットにも全く同じ赤のものが1ペア付属してきた。

 キートップの取り外しはきわめて簡単だ。キープラーでキートップをつかみ、左右に30度くらい回転させ引き抜くだけだ。スペースキーやシフトキーなどの幅広のキートップは若干コツがいり、目的のキートップの左右のキーを引き抜いて空間を確保した上で、キープラーと指先の両方でバランスを取りつつ真上に引き抜く必要がある。

ほとんどのキーの引き抜きはキープラーさえあれば超簡単にできる
スペースバークラスの幅になると3本の足で結合しているので、左右のキートップを引き抜いた上、指先で引き上げた方がトラブルは少ない
キープラーで左右でも上下でもキートップを挟んで……
少しひねって引き抜くだけで簡単に取り外せる
シフトキー程度のサイズも缶単位引き抜けるが注意は必要

 黙々と白いキートップを引き抜いては、黒いキートップを押し込む作業を行うこと約15分、全てのキートップを白から念願の黒に置き換えた。ほぼ見慣れていたFreewriteが、きわめて新鮮なイメージに生まれ変わった。

 黒のキートップに替えた後、少し残念なのは、キースイッチを取り付けている基盤の金属板が真っ白であることだった。側面からは気づかないがキー入力をする正面から見ると、キートップの間に少しだけ見える基盤の白がやけに目立ってしまう。

斜めから見るときわめてフォトジェニック。赤と黒のコンビネーションが抜群だ

 白と黒の両方のキートップを持ってるユーザーだけの特権だと思い、ファンクション系の左右のキートップだけをオリジナルの白に戻してみたが、単に安っぽいだけのキーボードになってしまった。ゲーミングキーボードではないので、どうも派手にすればするほど、その価値は低下してしまいそうだ。

 文字入力だけの機能しか持たないFreewriteだが、キートップの交換でますます愛着が沸いてきた。

決して世界に1台ではないが、きわめてカスタマイズ感の強いFreewrite。ゲーマーがカスタムキーボードにハマる心境をほんの少しだけ理解できた
調子に乗って、ファンクションキー系を白に戻してパンダカラーを狙ったが、少し下品になっただけだった
製品名販売元購入価格
Freewrite本体Freewrite5万6062円
Option Key TopFreewrite4494円