スタパ齋藤のApple野郎

iPadでテザー撮影、かなりアリかもしれない!

「Capture One for iPad」アプリが予想以上に良かった

 主にキヤノンのカメラで商品撮影をしている俺。書いた記事に載せる写真を撮ってるわけですな。キヤノン製のデジタル一眼レフやミラーレスを、Mac Studioにつないでテザー撮影をしている。

 テザー撮影は、撮った写真を即PCに自動転送したり、PCからカメラを操作して撮影できる。撮った写真をすぐPC画面上で拡大表示してピントや色味などを確認できるので、効率よく撮影を進めていける。

 そして去年の10月にメインマシンMac StudioのOSを最新のmacOS Venturaにアップグレードしたら、テザー撮影ができなくなってしまった。テザー撮影用アプリのキヤノン「EOS Utility」がmacOS Venturaに非対応だったのだ。

 だがその直後、汎用のテザー撮影・画像処理アプリ「Capture One Pro」を使い始めた。このアプリにより、macOS Ventura環境でも、上記カメラでテザー撮影ができるようになった。はぁ、一安心♪

 ちなみに、Capture One Proが対応しているカメラは公式サイトのCamera supportにあるとおり。テザー撮影に対応するかどうかはリスト中の「Tethered Support」や「Tethered/Live View」などの項目に書かれている。

Capture One Proでテザー撮影をしている様子。Mac StudioとEOS R5をUSB接続し、このアプリを起動して撮影すると、撮影直後に画像がMacに自動転送されてピントなどを確認できる。もちろんRAW画像にも対応している。無料試用期間があるが、その後はサブスクリプションもしくは買い取りしないと使い続けられない。

 Capture One Proを使い始めた直後、そのiPad版があるのを知って試した。「Capture One for iPad」というアプリで、カメラとiPadをUSB接続すれば撮影直後に画像がiPhone上に自動転送されてピントなどを確認できる。

Capture One for iPadを使っている様子。iPadを母艦としてのテザー撮影が可能になり、現像や画像編集も効率よく行える。無料試用期間があるが、その後は月額600円のサブスクリプションに申し込まないと使い続けられない。

 初めてCapture One for iPadを使ったときは、ほんの少し試したという感じ。プロ向けアプリなので使いこなすのに少々慣れが必要なこともあり、深くは使っていなかった。撮った写真がiPadを経由してiCloud写真に自動転送されたらいいなーと期待しての試用だった。しかしそういう仕様ではなかったので、無料試用期間後は使っていなかった。

 だが「ん? やっぱりiPadとカメラでテザー撮影ができるってイイかも。それにCapture One for iPad上の写真をMacに簡単に転送する方法があれば、かなり実用的なのでは?」と考えを改めつつCapture One for iPadを使ってみたらアラ便利! ややジックリ使ってみたら、Capture One for iPad、かなりイイのであった。

 なお、Capture One for iPad対応カメラは、PCアプリのCapture One Proの対応カメラならどれでもOKっぽいが、テザー撮影が可能かどうかはCamera supportリスト上の「Tethered Support」や「Tethered/Live View」の項目を要チェック。また、無料試用期間中に実際にテザー撮影ができるかチェックするのが無難だ。

iPadでテザー撮影、クラウド経由で画像をPCへ送ることもできる

 Capture One for iPadは第6世代12.9インチiPad Proで使っている。理由はリファレンスモード表示に対応しているから。リファレンスモードは一般的な色空間規格とビデオフォーマットのリファレンスカラーを再現可能。つまりiPad Proを「正しい色が出る基準モニター」として使えるので、テザー撮影によく向くであろーと考えたのであった。

Capture One for iPadでテザー撮影をしている様子。さすがにCapture One Proほど高機能でもないしライブビュー撮影には非対応だったりする。だが、画像転送などは十分高速で、画像の部分拡大なども超手軽。なかなかよくできているのだ。……そのうちライブビュー撮影にも対応するんじゃないかと予想している。

 カメラと12.9インチiPad ProをUSB-Cケーブルで接続し、Capture One Proでテザー撮影。撮った写真は瞬時にiPadへ転送されて写真が表示される。写真の一部をダブルタップすればそこが拡大表示されるなど、指によるオペレーションもスムーズ。使うほどに使いやすいと感じられたりする。

 なので「なんかもうiPadを画板みたいに胸の前に吊ってモバイルテザー撮影みたいなコトをすればいいのかも」と思ったりする。どうiPadを身につけるかを考えればけっこう現実的だと思う。例えば野鳥撮影とか競技撮影とかなら撮影直後にiPadの大画面でピンボケや被写体ブレをより確実に発見できる。カメラの液晶画面で確認して「おっピントはキてるな」と思って帰宅してPC画面で再確認したら「ありゃーどれもピントが甘かった」みたいな悲しみを減らせる、かも、と。

 あと、Capture One for iPad上の写真は、PCアプリのCapture One Proへ、クラウド経由で転送することができる。同じCapture Oneアカウントでログインしていれば独自のクラウドを使えるようだ。クラウド転送の方法自体は簡単かつシンプルだが、クラウドへの転送スピードが速くないので、本格的に使うのはもうちょっと様子を見てからかな、と。

左がCapture One for iPadの表示で、クラウドに写真を追加しようとしている様子。右はPCアプリのCapture One Proの表示で、クラウド上の写真をインポートしようとしている様子。ただし現在はiPad→クラウド→PCへの一方通行のインポートしかできない。

Capture One for iPad上の写真はiCloud写真に保存している

 Capture One for iPad使用時は、テザー撮影した写真をiCloud写真に保存している。テザー撮影後にCapture One for iPadが自動的に写真をiCloud写真にも保存してくれたりしたらイイなーと思うわけだが、そういう仕様ではなく、設定もできない。

 Capture One for iPadは、テザー撮影からレタッチやリサイズから場合によっては納品までこのアプリだけでできますよ的な思想で作られていると思う。ので、たぶん今後もCapture One for iPadが自動的に写真をiCloud写真に保存する機能は搭載されないと思われる。

 って、なんでiCloud写真への写真転送にこだわっているかと言うと、例えばiPhoneで撮った写真は自動的にiCloud写真で他のAppleデバイスと(けっこう高速で)共有されるから。iPadでテザー撮影して、はぁ撮影終了となって、Macに向かったら、さっき撮った写真がMacの写真アプリ上に「出現していて」すぐにMac上で編集加工できたりしたら便利だなーと思うのだ。

 なので、Capture One for iPadでテザー撮影した写真は、手動でiCloud写真に保存している。以下その手順を。

Capture One for iPad上の写真をサムネイル表示させ、iCloud写真に保存したいものを選択する。選択後「共有する」をタップ。
エクスポートの設定画面になるので、適切な設定にして「エクスポート」ボタンをタップ。
選んだ写真をどこに対して共有するかを選択する表示になる。ここで「●枚の画像を保存」をタップすれば写真アプリに保存される。iCloud写真を使う設定にしていれば、写真アプリ保存=iCloud写真で各Appleデバイスで写真が自動的に共有、となる。

操作性も良好なCapture One for iPad

 Capture One for iPadはモバイルでのテザー撮影・画像処理がけっこうシッカリ考えられているアプリだと思う。両手を使っての操作感がなかなかイイのだ。これなら撮影直後にチャチャッと画質を調整し、そのまま送信して仕事終了みたいなこともできそうだ。

画面左右にあるのが画像編集関連のボタン。右側に編集機能などを示すアイコンがあり、左側にはそれに応じた操作のボタンが表示される。これは左右逆転させることもできる。
右側2段目はプリセットなどをタップするだけで画像調整を適用できる。この機能は右手だけで使える(左手だけという設定にもできる)。
右側3段目はトリミングや回転やキーストーン(ゆがみ補正/遠近補正)を調整できる。それらの度合いは左に見えるボタンや半円のダイヤルで行う。
右側4段目は露出やホワイトバランス、かすみの除去など。これらの度合いも左の半円ダイヤルなどで行う。
右側5段目はシャープネスやノイズ除去やフィルム粒子追加など。右手で機能を選び、左手で度合いを調節するわけだが、慣れると非常にテンポ良く写真を調整していけるのだ。

 てな感じで、写真をレタッチする用途でも便利に使えるCapture One for iPad。俺的印象では、PCアプリのCapture One Proよりずっと直感的に使えるという感触だ。テザー撮影してみたいニャとか思う方は、iPad使用中&対応カメラも使用中ということが条件とはなるが、Capture One for iPadで初テザー撮影してみると愉快かもしれない。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。