スタパ齋藤のApple野郎

MacでのソフトウェアラジオはCubicSDRが簡単&スムーズかも♪

より手軽に使えるMac用SDRアプリ、見〜っけ!!!

使用しているSDRドングル「RTL-SDR.COM V3」。ソフトウェアラジオとして使えるSDRドングルのひとつで24〜1766MHzの放送や交信を受信できる。一般的な放送としてはFMラジオ放送が受信可能だ。また、このSDRドングルの「ダイレクトサンプリングモード(HF Direct Sampling Mode)」を使えば、500kHz〜24MHzを受信できるので、AM放送や短波放送も受信できる。Amazonで3372円で売られている。

 MacにSDRドングルをUSB接続し、ソフトウェアラジオ・アプリを使えば、MacでAM・FM・短波放送を受信できるようになる〜♪ つまりMacが高性能ラジオ(広帯域受信機)になるのダ!!! というのが本連載前回の話。

SDRドングルRTL-SDR.COM V3をMacにUSB接続し、ソフトウェアラジオ・アプリ「Gqrx」を使うと、様々な放送を聴ける。これはFM放送を受信している様子。
こちらはRTL-SDR.COM V3のダイレクトサンプリングモードを使い、AM放送を受信している様子。詳しい使い方については本連載前回分をご参照あれ。

 防災のためにとか言いつつアレコレ試したソフトウェアラジオだが、途中から趣味の世界に大没入の俺であったのは、読者様方のご察しのとおり。もう四の五の言わずに「Macでソフトウェアラジオおもれ〜!!!」「Macで広帯域受信機サイコー!!!」というスタンスで、今回はより良さゲなソフトウェアラジオ・アプリをご紹介したい。

 そのアプリは↓コレ。「CubicSDR」である。

RTL-SDR.COM V3と「CubicSDR」を使ってFM放送を受信している様子。

こりゃイイなぁ〜CubicSDR♪

 最初に出てきたソフトウェアラジオ・アプリのGqrxは、俺思うにちょっと操作性に遠回り感があるアプリだった。俺の使い方がヘタ説もあるのだが、どの辺で電波が出ているかを示すスペクトラム表示の帯域幅の変更が行いにくかったり、ダイレクトサンプリングモードへの移行に一手間かかったりと、な〜んかクセがある感じだナ〜、と。

わりとスッキリした見栄えのGqrx。慣れれば使いやすい感じもしてくるのだが……少々とっつきにくい側面がある。使うのにやや手間がかかる、みたいな気がした。

 んむむむ〜、もっと使いやすいソフトウェアラジオ・アプリはないものか? いや、けっこう探して見つけたのがGqrxなのであった。だがしかし、もっと探せば……と切り口を変えて検索していったらアッサリ発見。それがCubicSDRであった。

CubicSDRで短波放送を受信している様子。表示要素が多めで最初はとっつきにくいが、使っていくと「これはラクかも〜」と感じられるように。

 表示要素がイロイロあって、一見するとわかりにくい感があるCubicSDR。なのだが、使っていくと「なるほど」と納得できる各要素。マウスクリックやホイール回転での操作、それから周波数の直接入力や各種ショートカットが、ユーザーの手間を減らしてくれている感じ。

 誤解を恐れずに書けば、据え置き型の広帯域受信機のような手っ取り早い使用感がある。受信モードやスケルチレベルをクリック一発で決められ、大雑把なチューニングからファインチューニングやバンド幅変更までスムーズに行える。こりゃイイなぁ〜、とニンマリした。

 俺的には非常に使いやすいソフトウェアラジオ・アプリとなったCubicSDR。調べるとやはりずいぶん前から存在していたっぽい。だが、なななナゼこの優良アプリに遭遇できていなかったんだ俺は!!! とプチ後悔したほど使いやすいのであった。

最初っからイキナリ便利なCubicSDR

 ではCubicSDRの使用方法をザックリと。なお、ここで使っているSDRドングルは前出のRTL-SDR.COM V3である。

 まずはCubicSDR公式サイトにアクセス。いきなりソースコード管理サービス「GitHub(ギットハブ)へのリンクがあるので、そこにアクセスし、下の方にある「CubicSDR-0.2.4-Darwin.dmg」をクリックしてダウンロードして展開する。

ダウンロードした.dmgファイルをダブルクリックすると、CubicSDR.appファイル(アプリ本体)が現れるので、これをApplicationsフォルダなどにコピーして使う。

 以上でインストール終了。アッサリしているのであった。ともあれ、MacにRTL-SDR.COM V3などのSDRドングルを接続し、CubicSDR.appを起動する。SDRドングルには後述のようなアンテナを接続しないと電波を受信できないのでご注意を。

CubicSDRアプリを起動すると、SDRドングルを選択するダイアログが表示される。Realtek RTL2832デコーダーチップを示す「RTL2832U」という文字列が含まれているのがSDRドングルなので、ソレを選択する。
ダイレクトサンプリングモードに対応したRTL-SDR.COM V3などのSDRドングルなら、ここでダイレクトサンプリングモードでの動作を指定することもできる。
なお、ダイレクトサンプリングモードの指定は、アプリ起動後にメニューからでも行える。
アプリ起動直後はこんな雰囲気。受信したい周波数をキーボードから数値(MHz/半角数字で)入力できる。スペクトラム表示部分をクリックして周波数を指定することもできる。ここでは数値入力とした。
数値入力後、左に見える電波モードを正しく指定し、スペクトラム表示下部などをクリックすれば受信が開始される。

 ソフトウェアラジオを使う時、俺の場合は気分次第でFM放送を聴いてみたり、航空無線を聴いてみたり、あるいは短波放送やAM放送を聴いてみたり。RTL-SDR.COM V3が受信可能な周波数レンジは500kHz〜1766MHzで、動作モード切り替えにより、24〜1700MHzを受信(通常動作モード)できたり、500kHz〜24MHzを受信(ダイレクトサンプリングモード)できたりする。前者はFM放送などが受信でき、後者はAM放送や短波放送が受信できる。

 CubicSDRの場合、この切り替えがスムーズで快適。上のスクリーンショットのようにアプリ起動時にどのモードにするか選べて便利。アプリ使用中でもメニューから容易に切り替えられる(File>Session>Reset Sessionの操作が必要と思われる)。他にも便利なショートカットが用意されていたりして、ユーザー利便を十分考慮した作りになっていると感じられる。

CubicSDRでAM放送を受信している様子。画面下にあるグラフが電波強度と周波数を示したスペクトラム。スペクトラム下にあるウォーターフォール表示をクリックすると選局できるが、AM放送の場合はこのスペクトラム表示だと選局しにくい。
そこでスペクトラム上にポインターを移動させ、マウスホイールを動かすと、表示される周波数帯域を拡大したし縮小したりできる。必要に応じて調節できるので、どの周波数バンドでもスムーズに選局できて便利だ。
画面左上には選択中の周波数およびバンドワイズ(Bandwidth)が表示される。選んでいる周波数帯をより詳細に見られ、ウォーターフォール表示をクリックすることで中心周波数を指定できる。画面下のウォーターフォール表示で大まかな周波数を指定し、画面左上のウォーターフォール表示でファインチューニングする、といった使い方ができる。マウスだけで目的の中心周波数を的確に選べるというわけですな。なお、バンドワイズは選択中の中心周波数の上下周波数の幅だが、これを調節することで混信を避けたり、できるだけ高音質な音声で聴いたりすることができる。これもマウス操作で手早く調節可能。表示も自動的に適切な表示となる。
バンドワイズを6kHzから16kHzくらいまで広げてみた。AM放送的な音質がFM放送っぽい音質に高まった!?

 う〜ん愉快♪ Mac用のソフトウェアラジオ・アプリはそもそも数が少ないが、とりあえずMacでソフトウェアラジオを始めるという場合、迷う要素がより少なくアプリ任せにできる部分が多いということで、CubicSDRがオススメだ。
 最後に、アンテナについて。SDRドングルでソフトウェアラジオ利用と言っても、ラジオ放送などを受信する点では普通のラジオと同じ。電波をちゃんと受信できていないと良好な音声が得られない。ので、なるべく性能の高いアンテナを使いたいところ。

SDRドングルに付属していたりする汎用のロッドアンテナ。AMやFM放送、大陸の強力電波の短波放送あたりなら、こういうアンテナで受信できる。なお、ここで使ったSDRドングルのRTL-SDR.COM V3のアンテナ接続端子はSMAコネクター(メス/J)なので、アンテナ側から伸びる接続端子はSMA(オス/P)のものが必要。そうでない場合は変換コネクターを使う。
AM放送や短波放送の受信用に使っているApexRadio「303WA-2 長中短波用受信アンテナ」。30kHz~30MHzの電波を受信するのに向く。軽量で細い棒状。長さ1.73mなのでベランダ等への設置にも向く。
短波帯より高い(FM放送などの)周波数受信用に使っている第一電波工業「スーパーディスコーンアンテナD-130」。受信用としては25MHz~1300MHzの帯域で使える。全長1.7mだが最大直径が84cmあるので、設置には少々場所を取る。

 俺環境におけるMacでのソフトウェアラジオ利用には、上記の「303WA-2 長中短波用受信アンテナ」と「スーパーディスコーンアンテナD-130」を併用している。15年近く以前に屋根の上に設置したが、現在もしっかり現役。こういうのって適切に設置すればずーっと役立つものですな。本格的に受信したいならオススメ♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。