スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

Mac用キーボードをアレコレ迷い中

Mac用キーボードをアレコレ迷い中

 紆余曲折ありつつも、仕事でMacを使うようになったワタクシですが、ここしばらくはMac用のキーボードを物色中です。記事を書くのが本業なので、当然ですが「もっと快適に原稿を書けるキーボードを」とアレコレ試しております。現在まで、5機種のキーボードを取っ替え引っ替え使ってきましたが、まだな~んか落ち着かない感じ。

左から、アップル純正のキーボード3機種、東プレの「Realforce 86U」、PFUの「HHKB Lite2 for Mac」。キー配列はUS配列を選んで使っています。

 ちなみにワタクシ的キーボード嗜好は、「US配列(英語配列)」であることと「テンキーレス」であること。以前はこれらに加えて「無線式」「クリック感強めのメカニカルスイッチ採用のもの」とかイロイロあったんですけど、とりあえずテンキーレスのUS配列なら短期間で慣れられるので他はまあいいかな、と。

 ともあれ以降、そういう嗜好を持つヤツが、選択肢のあまり多くないMac用キーボードをアレコレ試しているという話を少々。結局、それぞれについて「う~ん、ココがなあ……」という気に入れない点があり、現在もMac用キーボードを探し続けていますが、現在まで使ってきた順で各キーボードについて書いてみます。

「Apple Wireless keyboard」の残念感×3つ

 仕事で使うメインのコンピュータをMacにして、最初に使い始めたのが「Apple Wireless keyboard」です。アップル純正のワイヤレスキーボードですな。なお、現在は販売終了となっており、代替の新型として「Magic Keyboard」があります。

最初に使い始めた「Apple Wireless keyboard (US配列)」。アップル純正のBluetoothキーボードです。

 極薄でスタイリッシュなワイヤレスキーボードで、一般的なテンキーレスキーボードよりさらに横幅が狭くてコンパクトです。打鍵感はノートパソコンのそれに近いんですが、適度なクリック感と浅過ぎないストロークがあり、心地良くタイプできます。筐体の剛性も十分高いので、強く打鍵するユーザーでも不満が出にくいんじゃないでしょうか。

 このキーボード、US配列のテンキーレスでありつつ、ワイヤレスだしコンパクトだしで、ワタクシが好む要素がたっぷりめ。じつは使い始め当初「ココはヤだな~」と思う部分もあったんですが、純正だし作りもイイし「頑張って慣れよう!!」とやや強引に使い続けていました。

 しかしMac上でゴリゴリと原稿を書きまくるようになると、少々気分が変わりました。「やっぱりこのキーボードだとちょっとツライかも」と思うようになったんです。

 どこがツラかったのか? 3点ありました。

 まずカーソルキーの小ささ。テキストエディタ使用中はカーソルキー使いまくりのワタクシですが、「Apple Wireless keyboard」のカーソルキーは4つとも「半分サイズ」で、押しにくいんです。カーソルキーに指を置こうとするたび、一瞬戸惑って、原稿を書くモードが一時停止してしまう感じ。

 それから、Windowsで言うところの[Delete]キーがないこと。アップル純正のキーボードの場合、[Delete]と刻印のあるキーはWindowsで言うところの[Backspace]キーに当たります。Windowsでは[Backspace]はカーソル直前の文字を消す機能で、[Delete]はカーソル直後の文字を消す機能です。なお、アップル純正キーボードの場合、[Fn]+[Delete]キーを押せば、Windowsの[Delete]と同じ機能の「カーソル直後の文字を削除」になります。

 まあ、[Delete]キーがない件は、慣れられる程度の違和感です。でもあればあったで便利。カーソル直後の単語を消すときでも、カーソル移動せず[Delete]キーを連打すればOKでラクです。

 もうひとつ、キーボードの低さ。これも慣れられる範疇なんですが、これまで使ってきたキーボードより「ずーっと低い」ので、とくに親指でキーインしにくいと感じられました。

カーソルキーが小さく、Windowsで多用した[Delete]もやや使いにくく、キーボードそのものの低さも少し気になりました。強引に慣れようとしましたが「やっぱ無理」みたいな気分に。

 これらの残念点から、「Apple Wireless keyboard」の使用継続を中止。他のキーボードに移りました。ですが、強引に使って慣れるべきだったのかも、とか思います。というのは、MacBookと「Apple Wireless keyboard」の配列はほぼ同じなので、慣れてしまえば「純正品さえ使っていれば快適」です。互換性や入手性に関わる問題も非常に少なくなると思われますので、何かと好都合です。

便利♪ ……だけどマウスが当たる~

 次に使ったのが「Apple Keyboard」です。USB接続のテンキー付きキーボードですな。これを使い始めた理由は、カーソルキーが小さくないことと、Windowsの[Backspace]や[Delete]にあたるキーがあることです。テンキーレスではなく、コンパクトさには若干欠けるんですが、「Apple Wireless keyboard」に感じた残念感を2つも解消できるゾ♪ みたいな。

アップル純正のUSBキーボード「Apple Keyboard」です。打鍵感や作りなどは「Apple Wireless keyboard」と非常によく似ています……ていうか同じかも。
カーソルキーは普通サイズ。[Delete]キーが2つあり、左が[Backspace]機能で右が[Delete]機能となります。

 前述の「Apple Wireless keyboard」から、この「Apple Keyboard」に乗り換えた直後に感じたのは「わ~カーソルキー小さくなくてスムーズに使えて便利~♪ DeleteもBackspaceも使えて違和感ナシ~♪」というコトです。キーボード自体の高さは「Apple Wireless keyboard」と同じで、少し意識しないと親指でのキー操作をミスる感じではありますが、慣れられる範囲だと感じました。

 しかし、今度は「マウスがキーボードに当たる」という問題が出てきました。ずーっとテンキーレスを使いつつ、ずーっと右手でマウスを扱ってきたワタクシにとっては、「これまでは存在していなかったテンキー部分が非常に邪魔」だったんです。

「Apple Keyboard」と「Apple Wireless keyboard」を比べると、マウスの位置がこんなに違うんです。30年近く慣れてしまった「マウスとの距離感」は、一朝一夕では全然変えることができませんでした。ちなみに、マウスはロジクールの「MX Master」を使っています。Mac上でのジェスチャー機能が超快適です。

 この問題、「マウスを使うときは右手をこれまでより右に移動させる」と意識していればスンナリと回避できます。ですがテンキーレスキーボードの幅感覚はヒッジョーに長期間の「慣れ」となっていますので、意識しないと一瞬でマウスを掴み損ねるわマウスを左に動かし過ぎてキーボードに「ガツン」と当たるわで、想定を超えた「ツラさ」となってしまいました。

 余談ですが、一時は「Apple Keyboard」のテンキー部分を物理的に切断できないものかと考えていました。でも、単に切るだけで「カーソルキーが小さくなくてDeleteもBackspaceあるテンキーレスキーボード」になる……わけないですよねやっぱり、てな気分となり、別のキーボードに移った次第です。

やっぱ「Realforce 86U」サイコー!! だけど……

 次に使ったのは東プレの「Realforce 86U」。現在は販売終了しています。現行機種は「87キー英語配列テンキーレスキーボード」各種ですな。Macに乗り換えるまで、かなり長い間使ってきた「非常に気に入っているテンキーレスキーボード」です。

東プレの「Realforce 86U」。静電容量無接点方式のキースイッチを採用し、スムーズでソフトながらも入力の瞬間が指に伝わる打鍵感があり、打鍵音も非常に静かです。耐久性にも優れていると感じられます。

 コレ、基本的にはWindows用のUSBキーボード。ですが、フツーにMacに接続すればとりあえず使えます。と言うか、市販の多くのキーボードは、USB接続でもBluetooth接続でも、とりあえずMacにつなげば使えます。ただし、キートップの刻印どおりの文字が入力できるか、あるいは必要なキーがあるかどうかは別です。

 例えばこの「Realforce 86U」の場合、Macにつなぐと、[Windows]キーが[Command]キーとして、[Alt]キーが[Option]キーとして機能します。また、ファンクションキーの一部はMac独自の機能を操作できたりしますが、機能しなかったりもします。他にもイロイロと「刻印と入力結果が異なる」という部分はあります。

 乱暴な言い方をすれば、Mac用/Windows用キーボードは、刻印と入力結果が合致するか少しズレるかみたいな違いです。ので、「このキーを押せばこの入力、こっちのキーは使えない」的に覚えてしまえば使える感じ。また、キーアサインを変更するMac用ユーティリティを使えば、キートップの刻印と入力結果を合致させるなど、自由に変えることもできます。

 ともあれ、長年使い慣れたキーボードだけに、ヒッジョォ~に快適に入力できます。上記問題はあるとしても、「こんなに快適に入力できるならMac&Realforceで行こうかナ♪」という気分になります。

 ただ、そーゆーコトをしているとキリがないんだろうなあ、とも思います。以前、「デスクトップ紹介記事」にも書いたんですが、ワタクシは「なるべくカスタマイズせず初期設定でコンピュータを使うこと」を心がけています。カスタマイズしちゃうと、それ以降、他のマシンを使う場合も「いつものマシンと同じ使い心地」を求め、やはり同様のカスタマイズが必要になったりします。

 結果、マシンや環境が変わると、いつもカスタマイズ。カスタマイズに相当な労力と時間を費やすことになります。ハードウェアについても「カスタマイズしないと快適に使えない」「標準的な機器を使ったら途端に違和感が生まれる」というコトになると、効率的とは言えないかもしれません。「じゃあデフォルトとか純正とか標準の状態へコチラから慣れていったほうが効率的」と考えて、なるべく「初期設定主義」としている感じです。

 キーボードとしてはサイッコーに使いやすいと感じた「Realforce 86U」ですが、Windows用キーボードをMacで使うとソレナリのカスタマイズや慣れが必要で後々タイヘンそう。てなわけで、別のキーボードへ移ることにしました。

Mac用「Happy Hacking Keyboard」でハッピー、になれるか!?

 次に使ったのは、PFUの「Happy Hacking Keyboard」。Mac用に「HHKB Lite2 for Mac」という製品が出ていまして、コレを使いました。小さめながらもカーソルキーがあり、コンパクトさもイイ感じだからです。

PFUの「HHKB Lite2 for Mac」。Mac用 Happy Hacking Keyboard で、USB接続。ファンクションキーの行がなくコンパクトです。
やや小さめながらも、カーソルキーがあります。[A]キーの左に[Control]キーがあるのも、個人的にはヒッジョーに好みです。

 PFUの「Happy Hacking Keyboard」シリーズは、コンパクトさや打鍵感の良さで長年定番的な人気を保っているキーボードです。ただし一般的な配列のキーボードからすると、基本的に「Happy Hacking Keyboard 独自の配列と操作性」と感じられるでしょう。それに慣れれば入手性も良く製品自体の作りもいいので、ハッピーになれたりします。ちなみに打鍵感については、「HHKB Lite2」系より「HHKB Professional」系のほうが格段に良好だと思います。

 で、この「HHKB Lite2 for Mac」をしばらく使ってみたんですが、やや期待したカーソルキーは「ん~ちょっと小さい」という印象で、[Command]キーの小ささも少々使いにくいと感じました。コンパクトに使えて、打鍵音も静かで、イイ感じではあるんですが、「ん~もっとイイのがありそうな気がするなあ」という印象。「HHKB Lite2 for Mac」を長く使おう、と思える決め手に欠けた感じです。

 次に、発売されたばかりのアップル純正ワイヤレスキーボード「Magic Keyboard」に乗り換えてみました。前述の「Apple Wireless keyboard」の後継機種で、ワタクシ的には「左右カーソルキーが標準サイズになった」という点に興味津々。打鍵感等々については本連載バックナンバーに書きましたので、そちらをチェックしてみてください。

 それで、「Magic Keyboard」を使ってみた結果ですが、カーソルキーは微妙に使いやすくはなったものの、「コレじゃナイ感」が強く、期待外れに終わりました。キーボードとしては非常によくできていて、打鍵感なども小気味よくて快適なんですが、長時間原稿を書きまくるためのキーボードとしては「ワタクシにはツライ」という感じです。

 そしてその次に使ったのが、ていうか戻ったのが、「Apple Keyboard」です。ワタクシの嗜好にマッチし、入手性が良く、カスタマイズなどの手間をかけずに使えるという観点、いちばんスコアが高いのが「Apple Keyboard」だったという感じ。テンキー部分を切り落としたい欲求が再燃しておりますので、よりスッキリと気分良く手間無しで使えるMac用キーボードを引き続き探しています。イイのが見つかったら、またご報告いたします~。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。