スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

左手デバイス「TourBox Elite」でアプリの無駄な操作を省いてゆくッ!!!

マウス・キーボード操作の手間を減らして時短につなげるBluetoothコントローラー

Tourbox Tech「TourBox Elite」。アプリの特定の機能を呼び出したり調整したりできる物理的なコントローラーだ。

 画像編集アプリとして「AdobePhotoshop」を常用中。使うたびに、いつも、ちょっぴり思うのが、キーボードショートカットやアクション(アクションパネル)の操作にかかる手間のこと。

 Photoshopは高性能な画像編集アプリで、超多機能でもある。機能やツールがヒッジョーに多いため、それらの切り替えをいちいちメニューで行っているとスゲく手間がかかる。パラメーターの設定なんかも同様。

 なので、よく使う機能のキーボードショートカットを覚えてそれを使ったり、一連の操作をアクションと呼ばれるマクロ的なものにまとめてボタンクリックだけで実行できるようにしている。キーボードショートカットやアクションを使えば、操作の手間を減らせて、明らかにラクになって時短にもつながる。

左はmacOS版Photoshopのメニュー。機能がヒッジョーに多いので、メニューの項目数が多く階層も深い。中央はアクションやツールを呼び出すボタンなど。より手短に機能を使えるが、それでも多機能なので項目数がけっこー多い。これらをキーボードショートカットで呼び出せるが、それも多いので覚えるまでに時間がかかる。まあほかのアプリも多かれ少なかれこういうところがありますな。

 ↑こーゆーよーなメニューとかボタンとかを操作していて「ぐぬぬぬ〜キーボードショートカットも煩わしいしボタン操作も煩わしい〜」とか思う。そこでいつも思い浮かぶのが“左手コントローラー”の類。コントロールサーフェスとか呼ばれたりもする、特定の操作や機能呼び出しを物理的なボタンで行えるようにする汎用コントローラーだ。

 具体的な製品としては、たとえばTourbox Tech社のTourBoxシリーズ。初代TourBox(2020年登場/生産完了)、TourBoxNeo(2021年登場)、TourBoxElite(2022年登場)の3機種がある。そして今回、最新版であるTourBox Eliteを試用する機会を得たので、これを使ったら俺的「ぐぬぬぬ〜」を解消できるかどうか試しつつレビューしてゆきたい!!!

クリエイター向けデバイスだが、高い汎用性があるTourBox Elite

 TourBox Eliteは汎用的な左手コントローラー。macOSとWindowsに対応し、PCとの接続はUSB-CもしくはBluetoothで行う。専用アプリ「TourBoxコンソール」と組み合わせて使う。

ダイヤルやボタンなどを複数搭載しており、ボタンとダイヤルなどと組み合わせて使用できるため、非常に多くの機能をTourBox Eliteからコントロールできる。電源は単3型電池×2本(Bluetooth接続時に使用/USB接続時には電池は不要)。カラーは、アイボリーホワイト、クラシックブラック、トランスルーセントの3色がある。直販価格は3万9960円から。
片手で操作しやすいサイズ感。裏面に滑り止めがあり、本体は不意に動くほどは軽くないので、片手で安定的に操作できる。
専用アプリ「TourBoxコンソール」。これがないとTourBox Eliteは使えない。
TourBox Eliteとキーボードとマウスを並べて使うの図。
アプリによってはTourBox Eliteとマウスだけで使えたりもするので、キーボードは机の端に追いやっちゃう人も。

 ちなみに、右手でマウスを握りつつ、キーボードショートカットなどは極力使わず、左手にあるコントローラーでアプリの機能を呼び出したりパラメーターを変更したりするので、(この類のデバイスは)左手コントローラーとか呼ばれている。でも左手にマウスで右手にTourBox Eliteって使い方もアリっす。

 一般的には「TourBoxはクリエイター向けのコントローラー」と思われていたりする。確かに標準搭載プリセット(ボタンにどんな機能を割り振っているかのセット)がクリエイション系アプリのものなので、まあそうではある。だがユーザー独自のプリセットも作成でき、ボタンにはマクロを使って多彩な機能や動作を割り振れるので、実質的には「たいていの用途に使える汎用の物理コントローラー」という感じ。

俺的Photoshopの「ぐぬぬぬ〜」は解消できるのか?

 TourBox EliteとMacをBluetooth接続してセットアップ完了。TourBox Elite(をドライブさせるためのTourBoxコンソールアプリ)にはPhotoshop用のプリセットが用意されているので、さっそくソレを使ってPhotoshopでフォトレタッチしてみる。

あらかじめTourBoxコンソールアプリにはPhotoshop、Lightroom、Premiere-edit、Premiere-color、camera rawといったAdobe製クリエイティブアプリ用プリセットが用意されていた。ので、すぐにTourBox Eliteをこれらアプリと組み合わせて利用できる。

 なーんとなく使い始めたものの、いきなりその利便を超実感!!! 画像の拡大縮小やパラメーターの調整がいきなりスゲくラクになった。とくにパラメーターの調整が快適になり、微調整を積極的に行える気分になった。

TourBox Elite左上にあるホイールが、Photoshopでは画像の拡大縮小に割り当てられていた。キーボードショートカットではOption+マウスホイールで行えたが、マウスの設定などにより拡大縮小の段階がわりと大雑把だった。しかしTourBox Eliteではその段階を小刻みに調節することができ、さらにホイールの感触フィードバックがあり、非常に実用的かつ気分よく拡大縮小を行えるようになった。
こちらはCameraRawで画像を調整している様子。マウスだと小さなスライダーが動かしにくく、細かな数値調整を行いにくかった。一方、マウス+TourBox Eliteだと、スライダーにマウスオーバーしてTourBox Eliteのダイアルで微調整できるので、ものすごーくパラメーターを調整しやすくなった。

 ほかにも丸いノブでブラシサイズ調整ができたり、4方向ボタンを押しつつホイールを動かすとツールの切り替えができたりして、それぞれ非常に便利。

 これはヤバい。一度使ったら後戻りできない系。TourBox EliteがないとPhotoshop使う気になれなくなる……と思われる。ある種の中毒性がある入力デバイスだ。

 ともあれほかの機能も試しつつ、一部ボタン機能を修正しつつ使ってみたら、なるほどTourBox Eliteがあると高機能アプリ利用が捗る。感触フィードバックはホイール類の回転し過ぎを防ぐ効果と小気味良い使用感があってスゲく良い。またBluetooth接続なので無線であり、煩雑さナシに使える&しまえるのもイイ。

スクロール、ダイアル、ノブの「3つの丸い入力装置」は、回転させると手にラチェット的な感触が伝わってくる(感触フィードバック)。これはオフにすることもできる。

 直販価格が3万9960円からと、けっこうなお値段がするコントローラーではある。が、これを使ってみたら俺的Photoshop「ぐぬぬぬ〜」な鬱憤はほとんど解消された。

 ちなみに、プリセットのカスタマイズは思ったよりも簡単だった。アプリのキーボードショートカットをどのボタンに割り振るかなどが悩みどころだが、とりあえず割り振っておいて、気が変わったすぐ変えるということも容易。一度入力したキーボードショートカットは名前(タグ)をつけて保存されるなど効率よくプリセットを編集していける機能性があるので、けっこう「使い込む気にさせるカスタマイズ性」があると感じられた。

TourBox Eliteでネット動画を快適化するッ!!!

 TourBox Eliteはクリエイティブ系アプリ以外にもいろいろ使えそうだなーとか思っていたら、知り合いが「私はパソコンのWebブラウザでYouTube見るとき使ってますよ」と。え? YouTubeにコントローラーって!? 「早送りで観るときや、コマ送りしたいときなどに便利なんです」とのこと。

 あーっソレってアリかも! 確かにコマ送りしたいときってあるし! さっそくYouTube用のプリセットを作ってみることに。WebブラウザでのYouTube視聴なので、Safari(macOSの標準Webブラウザ)をターゲットとしてTourBox Eliteのボタン設定を行った。なお、YouTubeのキーボードショートカット一覧はコチラ

Safari用のTourBox Eliteプリセットを作ってみた。Safari上でYouTubeを観るときに役立ちそうなプリセットとした。再生/一時停止、5秒の送り戻し、コマ送り戻し、音量調節などイロイロなことをTourBox Eliteから行える。
デフォルト表示とシアターモード表示(Webブラウザ画面左右いっぱいに動画を表示)はキーボードショートカット「T」で切り替えられる。YouTubeはシアターモード表示で観ているので、この切り替えをTourBox Eliteでできるようにしたら超便利♪
動画の早送りなどもTourBox Eliteでできるようにしてみた。また、動画の再生/一時停止をボタンに、コマ送りをダイアルに設定したら、決定的瞬間を手軽にじっくり観られるようになった!

 いや〜TourBox EliteでYouTubeをコントロールできるの、スゲく便利っスわー。字幕のオンオフとか再生速度変更とかまで設定したが、より自在にYouTube上のコンテンツを楽しめるようになった。

 じゃあアレはどうかな、Amazon Prime Videoアプリ。Prime会員なので多用しているが、TourBox Eliteを使うとPrime Videoアプリも快適になる?

再生/一時停止、10秒送り戻し、音量UP/DOWN、ミュートのオンオフ、字幕のオンオフあたりを設定してみた。
スクリーンショットなので映像は表示されていないが、TourBox Eliteを使ったらPrime Videoアプリでの視聴とコントロールがより手軽になった。

 YouTubeはコントロール幅が広いのでTourBox Eliteを使うとかなり便利さが増すが、Prime Videoアプリは「ちょっと便利になった」くらい。でも動画視聴時にマウスを使わず特定のボタンをポンと押すだけになるので、鬱憤がすこーし減る方向で快適&愉快になるのであった。

TourBox EliteでGoogleマップは快適化できるか?

 じつはGoogleマップ閲覧がスゲくスゲく超スゲく好きな俺であってGoogleマップ閲覧は数ある俺的趣味のうちの上位にランクインしている。TourBox Eliteを使って片手で自由自在にGoogleマップ閲覧がデキたら素晴らしい! と思ってトライしてみた。

ブラウザ版Googleマップのキーボードショートカット。Googleマップ上で「shift+/」で表示されるョ!
そのショートカットをTourBox Eliteのボタン類に割り振ってみた。ChromeブラウザでGoogleマップを見ることとして、Chromeブラウザのプリセットとして登録したのであった。
ボタン操作でサイドバーを出したり隠したりできる。ポップアップ表示を消すのもワンボタン。
地図表示を通常表示、地形表示、航空写真と変えるのもワンボタンで行えるようになった。
航空写真の立体表示コントロールもノブやダイヤルで行える。地図の拡大縮小はホイールで行える。

 TourBox Eliteでブラウザ版Googleマップをしっかりコントロールできるようになった。のだが、しかし、航空写真の立体表示コントロールはマウス+キーボードのほうがずーっと快適でスムーズだ。もしかするとTourBox Eliteのプリセットをもうちょい工夫すればいいのかもしれないが、TourBox Eliteだと素早い表示コントロールが難しいのであった。

 ただ地図レイヤスタイルの切り替えやサイドバーの出し入れ、ポップアップの非表示などはTourBox Eliteのほうが快適。TourBox Eliteが加わることでブラウザ版Googleマップが明らかに便利化したと感じる。

 また、アプリによって「TourBox Eliteで使うとどの程度快適になるか」が異なる。高機能なアプリほど快適になる傾向があると思うが、総じて「キーボードショートカットを使うより、TourBox Eliteのほうが手を動かさずに済むので便利」だと感じる。キーボードショートカットは2本以上の指とか両手を使うことが多いが、TourBox Eliteの場合は片手の指だけで済むことが多いし、手を動かす範囲もTourBox Elite上だけなので、操作のクイックさで勝っていると思う。

 てな感じのTourBox Elite。クリエイティブ系アプリを使っている人の時短につながるのは確かだと思うが、常用アプリをちょっと便利化するのにもしっかり役立ってくれる感じ。なので、「クリエイティブ系アプリも使っているし、常用アプリをより便利にしてみたい」という方にはとくにオススメできる。使いやすさとシンプルさ、カスタマイズの平易さを兼ね備えたデバイスなので、興味のある方はぜひチェックしてみてほしい。

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スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。