スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

第7世代iPod touch買ったゼ~!

最小&最新iOS端末として期待を込めて購入

 iPod touchの第5世代(A1421)を使っておりまして。2012年に買ったもので、iPhone 5と同時に発売された端末です。使っている……というより「たまに遊ぶ」って感じ? なんか好きなんですよこの端末。iOS端末としては最小。凝縮感が愉快です。

筆者が使用中っていうか時々イジって遊ぶ第5世代iPod touch。背面左下にある丸いものは、iPod touch loopと呼ばれる専用ストラップ装着部です。OSやアプリの更新はしていますが、処理速度が物足りないので常用はしていません。

 これ、2012年の端末なので、最近はやっぱり不満が出がち。容量64GBの第5世代iPod touchですが、端末内に音楽などのデータを入れておくには容量不足です。プロセッサ(Apple A5)も現在ではモッサリ感があり、アプリ動作もハッキリ体感できるほどゆっくりめ。まあ今のアプリを7年前の端末で使っているから仕方ありません。

 というわけで、たまに遊んで「やっぱイイなぁiPod touch」と思いつつも、モッサリゆっくり動作に遠のいていく実用性を感じながら遊び終え、最新のiPhoneをいじって「やっぱ速ぇ! 快適!」などと2012年と2019年を行き来する筆者なのでした。

 そんなところへ! イキナリの最新iPod touch! 2019年モデルこと第7世代iPod touch!

 内心「もうこういう薄くてイカシたiOS端末出てこないんだろうなあ」とか思っていましたが、約4年ぶりの新型登場です。直前の第6世代iPod touchと外観やサイズは変わっていませんが、プロセッサが「Apple A10 Fusion」になって処理速度が上がったもよう。

 ……あ、欲しいかも。あーでも今さらiPod touchはナイかな~。ていうか欲しい。やっぱ使ってみたい。ていうか買う。ポチッ。

2019年5月29日に発表され予約注文が開始されたアップルの「第7世代iPod touch(A2178)」(公式ページ)。税別2万1800円(!)から買えます。カラーバリエーションは6色ですが、またもや(PRODUCT)REDを買ってしまいました。容量は256GBを選択。税別価格4万3800円。

 第5世代iPod touch→第7世代iPod touchという約7年越しの乗り換えです。第7世代iPod touchのプロセッサは、2016年発売のiPhone 7などと同じApple A10 Fusion。筆者使用中の第5世代iPod touchがApple A5。A5とA10で、プロセッサの世代が5世代も違うので、これは相当な体感差があるだろう、と期待。

 他にもいろいろ魅力が。相変わらず小さくてイイ感じだし、イヤホンジャックもフツーに便利そうだし、容量たっぷりで手持ち音楽全部入りつつオフラインマップなんかも入っちゃいそうだし……みたいな。というわけで今回は、第7世代iPod touchの使用感などについて書いてみたいと思います。

華奢なボディに力強いプロセッサ

 第7世代iPod touchはiOSを搭載する現行端末の中で最小サイズです。具体的なサイズは、縦123.4×横58.6×厚さ6.1mm。質量は88g。サイズに関しては第5世代や第6世代と同じで、ケース類は第5/6/7世代で流用できます。ただし、第5世代iPod touchには専用ストラップのiPod touch loop装着部がありますので、第5世代iPod touch用ケースを6/7世代iPod touchで使うと「背面に謎の穴」ができてしまいます。

 余談ですが、歴代iPod touchシリーズを見ますと、第4世代以前のモデルは第5/6/7世代よりもコンパクトに感じられます。縦が1cmくらい短い。ただ、重さや厚みについては第5/6/7世代が10~30gくらい軽く2mmくらい薄いので、持った感じとしては「第5/6/7世代は軽くて軽い」という感じ。iPhoneシリーズと比べたりすると「こんなに華奢な端末なのに同じiOSが動いちゃうの!?」と驚けたりします。

最新の第7世代と2012年モデルの第5世代のiPod touchを並べてみました。表側だと見分けがつきません。裏返すと第5世代特有のストラップiPod touch loop装着部により、ようやく見分けがつきます。
サイズが同じ第5/6/7世代ではケースが流用できます。ボタンやカメラの位置も同じ。でも第7世代と第5世代のケースを入れ替えるとオカシなことに……。
左は第7世代と第4世代のiPod touchを並べた様子。右は第7世代iPod touchとiPhone XS Maxを並べた様子。第7世代iPod touchは現行iOS端末の中で最小のボディです。

 第7世代iPod touchの主なスペックですが、プロセッサにApple A10 Fusion(1.64GHz)を搭載し、メモリ(RAM)は2GB。ストレージは32/128/256GBのモデルが用意されています。OSはiOS12.3が初期搭載され、現在はiOS12.3.1へとアップデート可能です。

 ちなみに、256GBのストレージはiPod touch史上最大容量。HDD式iPodの第6世代iPod classicに160GBモデルがあり、端末内に音楽を大量に入れて使うユーザーに人気がありましたが、それさえも抜いてiPod系端末では最大容量となりました。

 ほか、画面は4インチのRetinaディスプレイ(1136×640ピクセル/326ppi)でマルチタッチに対応します。カメラは画面側に120万画素のFaceTime HDカメラ、背面に800万画素iSightカメラを搭載。Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n/acに対応し、GPSは搭載していません。

 こんなスペックを見ていると、現在のiPod touchは音楽プレイヤーというより、iPadのWi-Fiモデルに近いという印象があります。まあ画面サイズはだいぶ違いますが。ただ、残念ながら、充電やPCとの接続に使う端子はまだLightningコネクタで、認証は指紋認証のTouch IDや顔認証のFace IDに対応しておらず、ホームボタンを押してパスコードを入力するという方式。このあたりは古いままです。

 でも、ステレオイヤホンジャックが相変わらず残っているのはナニゲに非常に便利&実用的だったりします。もちろんBluetooth搭載なので、Bluetoothイヤホンの類も使えます。

 なお、第7世代iPod touchはストレージ容量別で32/128/256GBの3モデルがあります。それぞれの税別価格は、32GBモデルが2万1800円、128GBモデルが3万2800円、256GBモデルが4万3800円。現在新品で購入できるiOS端末としては最安です。最新・新品のiOS端末が2万1800円から買えるって、インパクトありますよね~。

軽くて薄くて小さくてイイ! そして十分速い!

 第7世代iPod touchの良さは、やっぱりこの軽さ小ささだと思います。筆者が第5世代iPod touchをたまにイジってニヤついているのも、そのサイズ感がひとつの大きな理由です。「こーんなに薄くて小さくて軽い端末で、メールもウェブも動画再生もできちゃう。極小コンピュータかっこいい!」みたいな感覚。

第7世代iPod touchを手に持った様子。ポケットサイズで超薄なので、ポケットはもちろん財布に入ったりもします。特に薄さがイイ感じですね~♪ ちなみに、6.1mmという厚さは突起した背面カメラ部の厚さで、それ以外は5.1mm(実測値)です。

 まあ第5世代iPod touchとサイズは変わっていないわけですが、第7世代iPod touchには新しめのプロセッサが搭載されていて、3D描画もサクサクですしARアプリもしっかり動きます。第5世代iPod touchは現在の各種アプリおよびiOS(現在はiOS9.3.5まで使用可能)を使うにはかなりモッサリした処理速度だと感じますが、第7世代iPod touchは快適。とても機敏に動作します。

例えばアップルのARKit(公式ページ)で作られたAR(拡張現実)アプリ「jigspace」(App Store)がスムーズに動きます。眼の前の空間に仮想的な立体物を置きつつその構造等を学べるアプリですが、サクサクのグリグリで軽快に利用可能。右はiOS標準のマップアプリで、3D・航空写真表示も非常にスムーズです。ちなみに、第5世代iPod touchはiOSバージョンが古いので、こういったARKitによるアプリはインストールできません。また、iOS標準マップアプリで3D・航空写真表示はできますが、動きも読み込みもかな~りゆっくりです。

 第5世代iPod touchから最新の第7世代iPod touchへと乗り換えた筆者ですが、その処理速度の差に驚きました。「こ~んなに違うものなの?」って感じ。

 第6世代iPod touchの処理速度的な使用感は知りませんが、「iPod touchは長いこと新型が出ないし、古いモデルは処理速度が足りずに実用的ではないし、消えゆくシリーズなんだろうなあ」とか思っていました。しかし最新iPod touchを使ったら「まだまだ全然イケるじゃないか、この最小最軽量iOS端末は!」とエキサイトした次第。

 筆者の常用スマートフォンはiPhone XS Maxで、iPhone中最大級のサイズです。画面が大きくて快適に使えますが、時々「小さめのiPhoneにも憧れるなあ」とも思います。第7世代iPod touchには携帯電話回線を直接使う機能はありませんが、でも超小さいしシッカリ速いしで、なんか「小さいiPhone欲しい欲」がけっこう満たされたような気もします。

第7世代iPod touchを、iPhoneっぽく使える? iPhoneとどう違う?

 処理速度的には今時のiPhoneに近い快適さがある第7世代iPod touch。この小さな端末をイジっていると、いろいろな可能性を感じます。例えば「コレってサイクルコンピュータとして使えるかも」とか「オフラインマップが使えればBluetooth対応のGPSモジュールと組み合わせてナビゲーションに使えたりするかも」とかイロイロと。結局、第7世代iPod touchをiPhone的に使えるかどうかを模索し始める感じです。

 で、実際、第7世代iPod touchはiPhoneのように使えるんでしょうか? そもそも第7世代iPod touchとiPhoneはどう違う? そのあたりを考えてみました。

 まずiPhoneとの違いですが、携帯電話回線を直接的に使えない点があります。通話はできませんしSMSも使えません。そのままではインターネットアクセス方法がWi-Fiのみに限られます。

 それからGPSが搭載されていないこと。現在位置特定方法はWi-Fiアクセスポイントから割り出す方法のみです。Wi-Fiアクセスポイントの位置情報サーバーにアクセスできる必要がありますので、Wi-Fiでネットにつながっている必要があります。近くにWi-Fiアクセスポイントがない場合は現在位置がわからず、またWi-Fiアクセスポイントの数によってはかなり大雑把な現在位置特定となったりもします。

 それからNFC非対応という点もありますね。Apple Payなど電子マネーは使えません。

 ほか、ちょっと前述しましたが、生体認証が使えません。ホームボタンを押してパスコードをタップしてのロック解除方法のみ。iPhone 7以降から搭載されているような防水性能もありません。現行のiPhoneシリーズと比べるとカメラ性能が劣るので画質的にもだいぶ下という感じがしますし、iPhoneのようにガンガン使おうとすると電池の保ちもよくありません。

 ちなみに、第7世代iPod touchのバッテリー持続時間は、音楽再生時間が最大40時間、ビデオ再生時間が最大8時間というのが公称値です。ただし、前出のARアプリや3Dマップアプリなどを連続して使っていると、バッテリー持続時間はもっとずっと短くて、「長時間連続して使うのは厳しい」という印象があります。旧機種と同じ筐体サイズなので、バッテリー容量を増やせなかったのかもしれません。

 でも、使い方によってはiPhone的に使えるような気がします。例えばモバイルルーターと組み合わせて使えばWi-Fiアクセスポイント有無の心配も不要。さらにGPSロガー(関連記事)と組み合わせればマップやナビも普通に使えそうです。

 携帯電話回線での通話はヤメて、メッセンジャーアプリやSNSアプリで通話する方向で! 電子マネーは……カードで使う方向で! 生体認証は諦めて防水はビニール袋作戦で電池不足はモバイルバッテリーで補う方向で! そうすれば第7世代iPod touchをiPhoneっぽく使える!?

 てゅーか素直にiPhone使えって話にナリガチです。ですが、一部の機能ならiPhoneと同様に使う方法はあるわけです。また、「このアプリとこのアプリが使えればいい」くらいの要望なら、第7世代iPod touchが叶えてくれると思います。他の高価なiOS端末を買わなくても、です。そう考えると、第7世代iPod touchは「ちょっとiOSを使いたい」「ライトにiOSを利用したい」というユーザーには魅力的な端末になるかもしれません。

 といった感じの第7世代iPod touch。最小で最安のiOS端末であり、イジってるとなーんか楽しくなってくるモバイルデバイスなので、興味があればぜひ触れてみてください。筆者はもうちょっと第7世代iPod touch活用を深掘りしてみようと思います。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。