スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

スマホと相性抜群のポケットGPS!

Bluetooth対応GPSロガーで仕事を記録

 んむむ~GPSロガーが欲しいゼ~! GPSロガーがあれば仕事が捗るゼ~! とか思ってアレコレ調べまくった結果、Bad Elfの「GPS PRO+」(公式ページ)が急浮上。ちょっとお高く、Amazon価格3万6980円だったんですが、ポチッとイッときました♪

Bad ElfのGPS PRO+(型番:BE-2300-GPS)。ポケットサイズのGPSロガーで、サイズは縦76.5×横61.5×厚さ17.5mm、質量は90gです。GNSS(Global Navigation Satellite System; 全球測位衛星システム)レシーバーとしては、GPSとGLONASSに対応(66チャンネル)。精度2.5mで、高度・速度・気温・湿度なども計測可能です。USB充電で、24時間以上の連続使用・200時間以上のログ記録が可能。IPX4の防水性能(あらゆる方向からの飛まつによる有害な影響がない/防まつ形)があります。スマートフォンやPCとのBluetooth接続に対応しているのも大きな特徴。メーカー直販価格は299.99米ドル。

 まず、なぜGPSロガーが欲しくなったかと言えば、仕事に役立つと考えたからです。たとえば家電 Watchで「電動アシスト自転車のレビュー記事」(関連記事)を書いたりしていますが、移動した軌跡をGPSログとして残しておけば、記事を書くときに「あの場所はどこだっけ? どの順で通ったっけ?」といったことを確実に調べられて便利。ほか、サイクリングやウォーキングや山歩きや街中散策など日常の行動軌跡をライフログとして残しておけば、後から行動をよりリアルに振り返ることができて楽しいですよね。

家電 Watch記事「レンタルe-bikeで観光したら京都の魅力を再発見!! 混雑も渋滞も無縁だから、穴場も定番スポットも自由に巡れて超快適♪」(関連記事)のロケでGPS PRO+を使い、GPSログを取得。記事執筆時にその軌跡を地図上に表示して使いました。後から正確なルートを調べることができて実用的です。なお、このスクリーンショットはMac用アプリ「GPX Binder」(公式ページ)のものです。

 でも、ソレってスマートフォンのGPS関連アプリでログを取ればいいだけでは? とか思いますよね。筆者もそう思いました。

 しかし、「アプリでGPSログを取るとスマートフォンの電池消耗が早い」「通信圏外だとスマートフォンのA-GPS(関連記事)が使えないから測位に時間がかかる」というような難癖を緊急発動。やっぱりスマートフォンじゃなくて専用機だろココは! と強引にGPSロガー購入理由をでっち上げたんでした。だってGPS関連機材好きなんだも~ん!

 そんなスタンスでGPSロガーを探し始めたわけですが、探しているうちに非常に良さそうなのを発見。前述のGPS PRO+です。

 コレ、GPSレシーバー/ロガーとしての基本性能が高いのに加え、スマートフォンやPCとBluetooth接続すれば「外付けGPS受信機」として使えます。Bluetooth経由でスマートフォンなどにリアルタイムのGPSデータを流し込める。なので、たとえばiPod touchにGPS測位機能を追加できます。オフライン対応マップアプリを入れておけば、iPod touchをGPSマップとして活用することもできます。

 もちろん、GPS PRO+で取ったGPSログをBluetooth経由でスマートフォンに転送することも可能。スマートフォンとの連携性に優れ、高精度GPSロガーで、しかもポケットサイズ! ソソる! コレだ、コレを使うしか! という流れなのでした。ともあれ以降、GPS PRO+の機能性や使用感について書いてみたいと思います。

 ちなみに、最初に書いておきますが「GPS PRO+を使うにはiOS端末(iPhone/iPad/iPod touch)が必須」です。各種設定などを行うのにiOS端末が必要。設定を完了したら他のOSで後付のGPSレシーバーとして使えます。なお、GPS PRO+はMFi認証取得製品(Apple公式認定品)でもあります。

GPS PRO+ で何ができる?

 まずはGPS PRO+で「できること」から。GPS PRO+は現在位置測位のための人工衛星からの電波を受信するレシーバーで、GPSとGLONASSに対応しています。これら人工衛星からの電波を受信し、現在位置などを特定し、情報を画面上に表示します。

 これらの位置関連情報を逐一記録することもできます。つまりはGPSログを記録可能。これにより移動したルート(軌跡)を残すことができます。

本体には液晶画面(128×96ドット表示)があり、測位データなどが表示されます。現在位置の緯度・経度数値表示、補足中の衛星数や電波強度、GPSログの状態、移動速度や高度など、気圧や気温など、それから現在の測位精度などが表示されます。なお、ボタンは左に見える3つだけで、背面には充電/通信用のmini USBポートがあります。

 測位などはGPS PRO+の電源を入れれば自動的に開始されます。電源は本体左上ボタンひと押しでオンになり、長押しでオフです。筆者的な印象では、測位できるまでにかかる時間はかなり短く、電源オンからいつもだいたい20秒くらいで測位できる感じ。このテのスタンドアロンGPSレシーバーとしては非常に高速な部類と思います。GPSに加えてGLONASSに対応しているからだと思われます。

 ログの取り方も簡単で、本体左下ボタンを長押しでログ記録開始。記録中に長押しすれば、POI(Point of Interest;特定地点)登録やログ記録終了を行えます。なお、ログ記録の開始や終了やPOI登録はアプリ(iOS用やApple Watch用)からも行えます。

iOS用の専用アプリからでもGPSログ記録開始・終了・POI登録が行なえます(右)。Apple Watch 用アプリからも可能(中央・右)。

 Apple Watch用アプリからのGPSログ記録開始・終了・POI登録が非常に便利です。筆者の場合、GPS PRO+はなるべく受信感度が良くなる位置に固定して使用。ときにはバックパックの上部とか、自転車フロントバッグの上ポケット内とか。そういう場所だとGPS PRO+のボタン操作がしにくいんですが、Apple Watchから使えるので頻繁なGPSログ記録開始・終了やPOI記録も容易。快適に使えます。

 さて、記録したGPSログはGPS PRO+本体内に残りますが、これを専用アプリへとBluetooth経由で転送すれば、専用アプリのマップに軌跡を重ねて表示することができます。もちろんGPSログをファイルとして書き出すことも可能。ファイルはGPX形式(.gpx)やKML形式(.kml)でエクスポートされます。iOS上で専用アプリを使って書き出すことができるほか、GPS PRO+ とPCをUSB接続すれば外部ストレージとして認識されてそこにGPXファイルが現れます。

専用アプリを使いGPS PRO+からiPadへとGPSログを転送している様子。Bluetooth経由なので転送にはちょっと時間がかかります。転送後のGPSログはGPS PRO+本体から消すことも残すことも可能。
専用アプリ上でGPSログを表示させた様子。マップ上に軌跡が表示され、その移動速度や高度をグラフ表示させることもできます。
専用アプリに転送したGPSログはリスト形式で見ることができ、これを共有したりファイルとしてエクスポートすることができます。なお、ひとつのファイルを選択した場合はファイルをそのままでもアーカイブ状態でも書き出せますが、複数のファイルを選択するとひとまとめのアーカイブ状態でしか書き出せません。
専用アプリからマップ系アプリにGPSログデータを共有して表示した様子。左はiPad用のスーパー地形アプリでの表示、右はiPhoneでジオグラフィカアプリで表示させた様子です。アプリによっては、GPS PRO+が生成したGPSログデータを表示できないこともあります。

 筆者の場合、GPSログファイルはアプリから書き出しています。GPS PRO+本体からアプリへとBluetooth経由でファイルを転送し、アプリつまりiOS端末内に入ったファイルをiOSのファイルアプリへと書き出し。iCloudを経由して、GPXファイルなどをiOS端末上でもPC上(要iCloudアプリ)でも扱えるようになります。お手軽。

 なお、電池持続時間ですが、メーカー公称値は最大35時間です。筆者はクルマや自転車での移動時にGPS PRO+でログを取ったりしていますが、ずっとオンにしていても大して電池が減らない感じ。5時間くらいログを取り続けるとバッテリー目盛りがひとつ減ったりします。目盛りは4つありますので、20時間くらい連続してログを取れる感じでしょうか? ともあれ、バッテリー切れの不安が出にくい電池持続時間です。

iOS専用アプリってどんなもの?

 先ほどから頻繁に「専用アプリ」という言葉が出てきていますが、これは「Bad Elf GPS」アプリ(App Store)です。GPS PRO+などのBad Elf製GPS製品を扱うためのアプリで、製品の各種設定を行うには必須。現在のところ、iOS版しかないので、つまりはiOS端末がないとGPS PRO+の設定ができません。

 ではこのBad Elf GPS アプリでどんなことができるのか、スクリーンショットと説明文でザッと見ていきましょう。

Bad Elf GPS アプリ(iPad用)の表示例。GPS PRO+をBluetooth接続している状態での表示です。左のように移動速度や高度が表示されます。GPS PRO+本体設定はこのアプリから行います。
GPS PRO+は設定項目が非常に多いGPSレシーバー/ロガーですが、アプリから設定を行えるのでスムーズに使っていけます。表示は全て英語ですが、簡潔で理解しやすいと思います。ただし、GPS関連の専門用語はある程度調べる必要があるかも。ともあれ、まず行うべきは、表示させる単位の設定です。初期設定はヤード・ポンド法(マイルやフィート)になっていますので、メートル法(国際単位系/SI)にするとわかりやすいでしょう。
GPSロガーとしての動作をちょっとカスタマイズすると、GPSログを取りやすくなり、扱いやすいデータを得ることができます。たとえばロギングレート(位置情報を記録する頻度)ですが、60秒間に1回から1秒間に10回まで幅広く設定できます。
左はスマートフィルターの設定で「移動速度が設定速度を超えるとGPSログ記録を開始(設定速度より遅いと記録を一時停止)する」という機能です。右のように、電源オンで自動的にGPSログ記録を開始したり、USB給電(充電)するとGPSログ記録を開始したりすることも可能。
GPS PRO+から転送したGPSログは個々に管理・閲覧することができます。GPSログを軌跡としてマップ上に表示したり、速度や高度などのグラフと同時に表示することが可能。左のメニュー表示を閉じてマップとグラフを広く表示したり、マップのみ全画面表示にすることもできます。マップはiOS純正のマップアプリのもので、航空写真地図も表示できます。
こちらは現在位置のマップ表示。メニュー部分にはマップのサムネイルが表示されます(モザイクをかけています)。
左は現在のGPS/GLONASSの電波捕捉状況。刻々と変わる捕捉状況は見ているとミョーに楽しいです。右はBad Elf製品カタログ。見ているとミョーに欲しくなります。
FAQなども読めます。「App Setting」はアプリ設定ですが、表示単位設定はGPS PRO+本体とアプリで個別に行います。

 といった感じ。iPhoneやiPadがないと設定を行えないわけですが、逆に、そういったiOSデバイスから設定を行えるのはスムーズで実用的です。購入当初は「iOSデバイスがないと使えないGPSロガーかぁ……」とモヤモヤしていましたが、使ってみるとスマートデバイスから設定するのが実用的と思うようになりました。Android用の専用アプリも登場するといいのですが、現在は存在しません。

非セルラーモデルのiOS端末にGPSを

 GPS PRO+はスマートフォンやタブレットとBluetooth接続すると、それら端末に対して自動的に位置情報を送出します。つまり無線の外付けGPSレシーバーとして使えます。ちなみに、同時にBluetooth接続できる端末は3台まで。

 これは、たとえば iPad Wi-Fiモデルでマップ系アプリを高精度で使うのに役立ちます。iPad Wi-FiモデルはGPS機能を搭載していない(Wi-Fi + Cellularモデルは搭載しています)ので、その弱点を補う目的で使えるというわけです。iPod touchについても同じように使えます。

 ちなみに、GPS機能非搭載のiOS端末でも、Wi-Fi接続すれば位置情報を取得可能。GPSほど現在位置表示の精度は高くありませんが、マップ系アプリをまずまず実用レベルで使えたりします。

 ところで、GPS PRO+をiOS端末にBluetooth接続すると、どのくらい現在位置の表示精度が変わるのでしょう? ちょっと試してみました。スクリーンショットと説明文でご覧ください。

屋外の特定位置でiPhone XS Maxを使ってGoogleマップを閲覧している様子。左がiPhone XS Max単体で、右がGPS PRO+をBluetooth接続したときの表示です。iPhone XS Max単体のときは現在位置精度を示す水色の円のサイズが変動したり、現在位置が少し動いたりしますが、GPS PRO+をBluetooth接続すると現在位置がほぼ固定状態になり、水色の円も見えなくなります。iPhone XS Max単体時より現在位置表示精度が高まったことがわかります。
こちらはiPod touch(第5世代)をiPhone XS MaxでテザリングしてGoogleマップを閲覧した様子。上と同じ場所です。右がそのiPod touchにGPS PRO+をBluetooth接続した状態ですが、やはり現在位置表示精度が高まりました。水色の円が二重にあるのが謎ですが……筆者が何かミスをしているのかもしれません。

 こんなふうに、GPS PRO+はiPhoneの現在位置の表示精度を高めてくれたり、GPS機能非搭載のiOS端末にGPSを後付したりできるというわけでした。まあでもiPhoneなどの今時的スマートフォンはフツーにGPS機能搭載で現在位置特定精度も高いので、GPS PRO+と併用するメリットはあまりありません。iPad Wi-FiモデルやiPod touchとGPS PRO+を組み合わせつつ、オフライン地図表示対応のマップ系アプリを使うのは現実的ですね。

 といった感じのGPS PRO+。気軽に使える高精度GPSレシーバー/ロガーで、スマートフォンなどとBluetooth接続もできる。かなり活用幅が広い製品だと思いますので、気になる方はじっくりとチェックしてみてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。