法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」
「OPPO Reno3 A」は防水防塵&おサイフケータイで定番を狙う
2020年6月25日 06:00
オッポジャパンは6月16日、国内市場向けの新製品として、「OPPO Reno3 A」を6月25日に発売することを発表した。2018年に国内市場に参入した同社は、昨年、「OPPO Reno A」でタレントの指原莉乃をイメージキャラクターに起用し、一気に国内市場に攻勢をかけてきたが、今回発表された「OPPO Reno3 A」はその後継モデルに位置付けられる。ひと足早く実機を試すことができたので、レポートをお送りしよう。
オープン市場の競争から起きる変化
かつては各携帯電話会社が販売する端末がほぼすべてを占めてきた国内のモバイル市場だが、ここ数年はSIMロック解除やMVNO各社の成長などもあり、ようやくSIMフリースマートフォンを中心としたオープン市場がユーザーに認知されるようになってきた。昨年10月には改正電気通信事業法が施行され、各携帯電話会社の端末購入時の割引や月額割引なども制限されることになったため、各携帯電話会社が販売するモデルとSIMフリースマートフォンがほぼ同列で比較されるようになりつつある。特に、価格面については消費者のシビアな評価が聞かれるようになり、ユーザーが期待する機能と価格のバランスが取れたミッドレンジの価格帯のモデルが注目を集めている。
そんな国内のオープン市場向けに、2018年1月から端末を供給してきたのが中国のOPPOだ。スライド式ステルスカメラ搭載の「OPPO Find X」のようなエポックメイクな端末を発売する一方、国内向けモデルとして、おサイフケータイ対応の「OPPO R15 Pro」を投入するなど、積極的に日本のユーザーにニーズに合う端末を模索してきたメーカーでもある。昨年10月に発売した「OPPO Reno A」では、タレントの指原莉乃をイメージキャラクターに起用し、「いろいろと余裕のスマホ」というキャッチコピーとと共に、広告やテレビCMを積極的に展開し、各方面で話題となった。端末そのものも防水防塵やおサイフケータイといった日本のユーザーが重視する仕様を搭載しながら、4万円前後の価格を実現し、オープン市場の販売ランキングでも上位にランクインするほどの人気モデルになった。
今回発表された「OPPO Reno3 A」は、その「OPPO Reno A」の後継に位置付けられるモデルだ。「いろいろと余裕のスマホ」を受け、今回は「余裕が進歩したスマホ」というコピーが与えられ、防水防塵対応、おサイフケータイ対応という従来モデルの仕様を継承しながら、超広角レンズなどを含む4眼カメラを搭載し、4万円を切る価格を実現している。販路もヨドバシカメラやビックカメラ、ヤマダ電機などの家電量販店量販店、AmazonやひかりTVショッピング、OPPO公式楽天市場店などのECサイト、IIJmioやUQモバイルなどのMVNO各社に加え、楽天モバイルとワイモバイルでの取り扱いも発表されており、オープン市場からキャリア向けまで、幅広い市場に展開することで、国内市場での存在感を示そうという構えだ。
折しも国内市場は新型コロナウイルスの影響で、期待されていた各社の5Gサービスが限定的なスタートになってしまったが、各社の5G対応スマートフォンのラインアップをチェックしてみると、シャープやソニー、サムスン、LGエレクトロニクス、富士通といった既存のメーカーのほかに、OPPOはauとソフトバンクに5G対応端末を供給することが決まっており、昨年12月に国内市場に参入したばかりのシャオミもauの5G対端末に採用され、オープン市場で戦ってきたメーカーがキャリア向けにも採用される流れが形成されつつある。OPPOとしては、好調な売れ行きを記録したOPPO Reno Aの流れを今回のOPPO Reno3 Aでもしっかりと継承し、国内でのポジションをさらに堅固なものにしていきたい構えだ。
6.44インチフルHD+有機ELディスプレイ搭載
まず、外観からチェックしてみよう。ボディは昨年のOPPO Reno Aの流れを継承し、フラットな前面ディスプレイに対し、背面は側面側を少し湾曲させた持ちやすい形状に仕上げている。ボタン類も基本的に同じレイアウトに仕上げられているが、サイズや背面のカメラのレイアウトが異なる。日本向けモデルとして開発されたため、OPPO Reno Aと同じように、市販のケースはバリエーションがまだ少ないが、パッケージにはクリアタイプの保護ケースが同梱される。
ボディカラーはホワイトとブラックの2色展開だが、ホワイトは薄い水色を組み合わせたグラデーションカラーで仕上げられており、マットな仕上がりのブラックと対称的だ。ちなみに、防水防塵はOPPO Reno Aに引き続き、IPX8の防水、IP6Xの防塵に対応する。
ディスプレイは2400×1080ドット表示が可能な6.44インチのフルHD+対応有機ELディスプレイを搭載する。ディスプレイ上部にはインカメラを内蔵した水滴型ノッチを備え、画面占有率は従来モデルよりもわずかに向上し、89.9%となっている。ディスプレイのガラスにはCorning社製Gorilla Glass5を採用しており、これに加え、出荷時には通常利用が可能な保護フィルムが貼付されている。OPPOをはじめ、中国のメーカーは市販品と同等の保護フィルムを貼付した状態で商品を出荷することが多いが、ユーザーとしてはしばらく出荷時の保護フィルムで利用しておき、細かい擦れなどが目立ってきたら、市販のフィルムやガラスに貼り替えるといった使い方ができる。
生体認証はディスプレイ内指紋センサーを利用した指紋認証に対応する。認証のレスポンスも良く、インカメラを利用した顔認証を組み合わせれば、ストレスなく使うことができる。顔認証については暗いところでの利用を考慮した明るさの自動調節の補正、寝顔などでロックを解除されないようにする機能などもサポートされるほか、画面ロック解除のほかに、セキュアに使いたいアプリの起動を制限することにも利用できる。
バッテリーは4025mAhの大容量バッテリーを搭載する。バックグラウンドアプリの動作を制限する「省エネモード」、省エネよりもパフォーマンスを優先する「高パフォーマンスモード」など、動作状況を選ぶこともできるQuick Charge 2.0の急速充電に対応し、残量がない状態から、約30分で45%、2時間でフル充電ができる。パッケージには18WのACアダプタが同梱される。
チップセットは米Qualcomm製Snapdragon 665を採用する。Snapdragonのシリーズとしては従来のOPPO Reno Aに搭載されていたSnapdragon 710から、ひとつ下のシリーズに移行したことになるが、インターネット上に公開されているベンチマークテストの差は小さく、一般的な利用の範囲であれば、実使用で明確に体感できるほどの違いがないため、それほど気にする必要はないだろう。RAMは6GB、ROMは128GBを搭載する。従来モデルはオープン市場向けと楽天モバイル向けで、ROMの容量が異なる仕様だったが、今回はそういった差別化は図られていない。外部メモリーは最大256GBのmicroSDメモリーカードを装着でき、2枚目のSIMカードとの排他利用になる。SIMはnanoSIMカードに対応し、デュアルSIM、デュアルVoLTEに対応する。ネットワークはNTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの国内4社での動作が確認済みで、VoLTEについてはNTドコモ、au、ワイモバイル、楽天モバイルで利用できる。
プラットフォームはAndroid 10ベースのColorOS 7.1を搭載し、日本語入力はGboardを採用する。Google PlayなどのGoogleモバイルサービスが利用でき、従来バージョンのColorOSに比べ、独特の操作性はかなり抑えられてきた印象だが、設定画面などの項目の配列や表現は少し独自の部分があり、他製品から乗り換えたユーザーは少し戸惑うかもしれない。ちなみに、原稿執筆時点では2020年4月5日のセキュリティパッチが適用されていた。
また、前述のように、従来のOPPO Reno Aに引き続き、おサイフケータイに対応する。[おサイフケータイ]アプリや[GooglePay]アプリも出荷時に設定されており、そこから各サービスの手続きができる。モバイルSuicaやモバイルPasmoの対応機種情報(2020年6月9日版)は発表前だったこともあり、まだ掲載されていないが、従来のOPPO Reno Aも対応機種に掲載されていることから、問題なく利用できそうだ。
超広角を含む4眼カメラを搭載
これまでのOPPO製端末のレビュー記事でも触れてきたように、OPPOは早くからスマートフォンのカメラ開発に注力してきたことで知られ、今やどの機種でも当たり前となった「美肌モード」や「ビューティーモード」などの補正機能も早くから搭載したり、昨年の「OPPO Reno 10x Zoom」では他製品に先駆け、ペリスコープ構造の光学ズームを搭載するなど、着実に実績を積み重ねている。
今回のOPPO Reno3 Aでは背面に4つのイメージセンサーを利用した4眼カメラを搭載する。主に利用するのが4800万画素のイメージセンサーにF1.7のレンズを組み合わせたメインカメラで、800万画素のイメージセンサーにF2.2のレンズを組み合わせた視野角119度の超広角カメラ、200万画素のイメージセンサーにF2.4のレンズを組み合わせたモノクロ対応カメラ、同じく200万画素のイメージセンサーにF2.4のレンズを組み合わせた深度・距離測定カメラの4つのカメラから構成される。ディスプレイ上部の水滴型ノッチには1600万画素イメージセンサーにF2.0のレンズを組み合わせたインカメラを内蔵する。インカメラは従来モデルに引き続き、A.I.ビューティー機能を搭載し、顔のパーツごとの美顔補正にも対応する。
撮影モードについては「写真」や「ビデオ」、「夜」、「ポートレート」を左右のスワイプで選ぶことができ、「その他」には「ステッカー」や「スローモーション」、「タイムラプス」なども用意されている。フレーム(画角)は標準の「4:3」のほかに、「1:1」と「FULL」が用意されているが、高解像度で撮るのであれば、「4:3」を選ぶ仕様となっている。メインカメラの4800万画素イメージセンサーをフルに活かした撮影モードは、カメラを起動し、「写真」モードで右上のメニューをタップし、「48 MP」ボタンをタップする必要があり、やや操作が煩雑な印象が残る。「夜」モードも「写真」モードなどから切り替えると、画角が変わってしまうため、撮影時のポジションを調整しなければならないことがある。逆に、「ポートレート」は「写真」と同じ画角のため、スムーズに切り替えて、撮影ができる。また、従来モデルにも搭載されていたが、薄暗い色や鈍い色、露出オーバーなどをAIが認識して、調整する「ダズルカラーモード」もサポートされている。全体的に発色も鮮やかになるので、気に入ったシーンはファインダー内上部のアイコンをタップして、このモードに切り替えて、撮影しておくといいだろう。
日本仕様のサポートでオープン市場の定番を狙う
昨年10月の電気通信事業法改正に続き、今年は新型コロナウイルス対策による営業自粛などもあり、国内のモバイル市場は1年前と大きく変わってしまった印象だ。なかでも端末については、販路と価格の面で大きな変革期を迎えており、ユーザーとしてもじっくりと製品を見極めるべき時代に入りつつある。これまでは各携帯電話会社向けのモデルが圧倒的なシェアを占めていたが、オープン市場向けに販売されるSIMフリースマートフォンも着実にユーザーに認知されるようになり、オープン市場で評価を高めたメーカーが各携帯電話会社向けとして、採用されるケースも増えてきている。価格面についても十数万円のハイエンド端末ばかりが売れるのではなく、必要な機能と適切な価格のバランスを考えるユーザーが増えてきたことで、ミッドレンジの価格帯の端末ラインアップが増え、そこで期待される仕様も少しずつ変化してきている。
今回取り上げたOPPO Reno3 Aは、そんな国内のモバイル市場において、日本のユーザーが求める防水防塵やおサイフケータイといった日本仕様を搭載することで、オッポジャパンとして、オープン市場の新しい定番を狙おうとしたモデルだ。同じ4万円前後の価格帯やもう少し下の3万円前後の価格帯には、それぞれ国内外各社の強力なライバル製品がひしめいており、そう簡単にシェアを獲得できないかもしれないが、国内市場参入から約2年で、ここまで日本仕様をしっかりとサポートした端末を連続して投入してきたことは、日本のユーザーにとってもうれしいことだ。端末としての完成度も高く、カメラ機能を中心にユーザーが楽しみながら使えそうな一台と言えそうだ。