XOOMと電子書籍、そしてAndroid 3.1

2011年6月20日 06:00
(太田亮三)

 本誌ではやや影の薄い扱いになってしまったが、6月21日より、XOOMにOSのバージョンアップが提供され、Android 3.1にアップデートできるようになる。北米などではすでにXOOM向けにAndroid 3.1の提供が開始されているが、想像以上に早く日本向けにも提供されるといった印象だ。

Googleが公開したAndroid 3.1のホーム画面

 

 現在のところ、Android 3.1に期待したい改善点は、動画再生の拡充と、Flashの妙な解像度だ。動画再生はごく標準的なフォーマットの動画であればストレス無く再生できるのだが、自前で(変なコーデックを使って)エンコードしたような動画は再生できない場合もある。

 Flashに関してはアドビの範疇かもしれないが、XOOMは大きな画面でWebブラウザを利用でき、快適であるにもかかわらず、Flashを利用したページを描画すると輪郭がガタガタで、低解像度の画像をむりやり拡大したような描画になることがほとんどだ。イラストや写真はまだマシで、小さい文字ともなると読めない場合も珍しくない。

 こんなことを書くのも、Flashを利用して閲覧するタイプの電子書籍コンテンツを、XOOMで利用することを見越して購入し、すでに(パソコンなどで)利用していたからである。具体的には「Fujisan.co.jp」の電子書籍コンテンツで、週刊誌の電子版をタブレット型端末で空き時間に読む、というスタイルを予定していたのだが、前述のようにFlashの描画がパソコンのブラウザのようにはいかず、パソコンでの利用にとどまっている。

 Android 3.1ではこれらの点が改善されていると嬉しいのだが、すでに提供されている地域での評判を、筆者は詳しく調べていないことこもあり、ぬか喜び(?)に終わる可能性もある……。

 一方、Flashとは関係ないが、電子書籍そのものは、うまく利用できるものも多いだろう。電子書籍のサービスは、今ではたくさんの選択肢がある。例えば、サービス開始当初からAndroid 3.0にも対応している「ブックプレイス」は、リーダーアプリを使うこともあり、描画そのものは快適だ。

 しかし、前述の筆者のように「読みたい雑誌」が最初に決まっていた場合では、そこから電子版を探し、対応するサービスや利用方法を調べ、結果として利用できるフォーマットが定まってしまうのだ。こういう場合、Flashがダメならアプリにすればいいじゃん、とはいかないのだ。

「最前線」で配信されている小説を表示したところ

 オンライン上の電子書籍という意味では、少しだけユニークなアプローチもある。アプリ、あるいはPDF、Flashといったあたりが提供形態として一般的だが、HTML5を利用したサービスも登場している。筆者がよく利用する星海社の「最前線」もそれで、小説やライトノベル、コミックが、HTML5の技術を駆使してブラウザ上で、アプリのように読める。XOOMのブラウザでは、最下部の情報バーの移動がワンテンポ遅れるものの、それ以外は問題無く読める。

 同サイトのコンテンツは、素人の投稿作品ではなく基本的には商用作品で、DRMフリー、無料で配信というのも特徴として挙げられている。ちなみに文庫化されたタイトルもあり書店で購入できるが、筆者が購入したタイトルは紙質やフォント、スペーシングなどにこだわり、作品中に挿入されるイラストもすべてフルカラーで印刷するという、「本」として非常に質の高い仕上がりだった。

 動画クライアント、電子書籍端末など、まだまだXOOMの使いかたを広げたいところだが、Android 3.1でどうなるのか注目したい。