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「上限80%」設定とウェアラブルMagSafe充電器でiPhoneのバッテリー寿命が延びる(かもしれない)
2025年3月4日 06:00
筆者は毎年iPhoneを買い換えているが、メインの端末としてそこそこヘビーに使っていると、1年だけでもけっこう劣化する。
ここ数年は位置情報ゲームの「ドラクエウォーク」を移動中はもちろん、在宅中もBGM代わりに起動させっぱなしにしていることが多く、こんな使い方をしていると、ディスプレイも劣化するが(輝度が落ちていく)、内蔵されているリチウムイオン電池が劣化する。
リチウムイオン電池の特性として、充電サイクルが多かったり、満充電状態が長く続くと、内部が劣化し、蓄えられる電力量が落ちていく。スマホを数年にわたってヘビーに使い続けていると、バッテリー切れを起こしやすくなるが、その大きな原因はこのバッテリー劣化だ。
こうしたバッテリーの劣化を防ぐため、2019年リリースのiOS 13以降では、日々の利用パターンを学習し、使い始めるタイミング(たいていは起床時だろう)に満充電になるように充電ペースを自動調整する「バッテリー充電の最適化」という機能が追加されている。リチウムイオン電池の劣化原因となる「満充電状態が長時間続く」のを防ぐ機能だ。
筆者が2022年9月に購入し、メイン端末として約1年間(2022年9月~2023年9月)使ったiPhone 14 Proは、「バッテリー充電の最適化」をオンにして使っていたが、約1年間で「バッテリーの状態と充電」に表示される「最大容量」は「88%」になった。12%分の容量は劣化により失われてしまったわけだ。
このiPhone 14 Proは、ちょっと大きめに劣化した例だが、しかし1年ほどヘビーに使っていると、普通は数%は劣化する。たかが数%だが、これが何年も、となると大きな劣化になっていく。
2023年秋発売のiPhone 15シリーズ以降ではバッテリー関連の設定が拡張され、充電の上限を100~80%の任意の値に設定できるようになった。
筆者が2023年9月に購入したiPhone 15 Proは、この設定で上限を「80%」とした上で、約1年間(2023年9月~2024年9月)使った。前年同様、ドラクエウォークを起動しまくりでヘビーに使ったが、1年後、「バッテリーの状態」に表示される「最大容量」は、100%のままだった。
2024年9月から5ヶ月ほどメイン端末としているiPhone 16 Proについても、同設定をオンにしているが、やはり「最大容量」は100%だ。
iPhone 15シリーズから追加された「上限80%」の設定、バッテリー寿命延長に効果がある、と思う。
しかしこの「上限80%」の設定、バッテリー容量を8割しか使えなくなるというデメリットがある。8割しか使えないなら、毎年数%劣化した方がマシ、と思うかもしれない。しかし筆者の場合、もともと「ウェアラブルMagSafe充電器」を使っていたので、バッテリー容量が8割になった程度では不便になったりはしていない。
「ウェアラブルMagSafe充電器って何だよ聞いたことねぇよ」と思われる方も多いかも知れない。そりゃそうだろう。「ウェアラブルMagSafe充電器」は筆者の造語であり、ググっても筆者の記事しか出てこない。筆者が自作したもの以外は見たことがないし市販もされていない。
筆者が自作しているウェアラブルMagSafe充電器は、読んで字の如く、着用できるMagSafe充電器だ。ズボンやカバンのベルトなどに着用し、iPhoneを持ち運ぶときはポケットなどに入れるのではなく、ウェアラブルMagSafe充電器に貼り付ける。
ただそれだけだが、これでiPhoneを手に持って使っているとき以外、ほぼすべての瞬間において充電しっぱなしになる。たとえば徒歩移動中、信号待ちで立ち止まるたびにiPhoneを手に取っても、歩き始めるときにウェアラブルMagSafe充電器に戻せば、すぐに充電が開始される。iPhoneを手にしている時間より充電している時間の方が長い。
この使い方だと、内蔵バッテリーの最大容量が80%に設定されていても、バッテリー切れの心配はほとんどない。むしろ内蔵バッテリー容量は半分でいいから、iPhoneの重量を100g軽くして欲しいとすら思う。
最近の筆者は、AnkerのMagSafeバッテリーにベルトクリップを貼り付けた自作のウェアラブルMagSafe充電器を愛用している。もちろんメーカー推奨の使い方ではないので、使用は自己責任だ。頑丈に作る必要があるし、走ったり引っかけたりするとiPhoneがすっ飛ぶので落下防止のストラップは必須だ。工作に不慣れた人にはオススメできない。
筆者のようにウェアラブルMagSafe充電器を使わなくても、普通のMagSafe充電スタンドやMagSafeバッテリーを活用し、「使っていないときはなるべく充電する」ということを心がけておくと、「上限80%」の設定を活用しやすい。
たとえば筆者宅では仕事用デスク、ゲーミングPC用デスク、コタツ、脱衣室、寝室の枕元にMagSafe充電器スタンドを置いている。雑に置くだけで充電できるので、使っていないときはほぼiPhoneが満充電(80%)となる。ケーブル充電に比べると使いやすく邪魔にもならないなどのメリット多数だ。
普通のMagSafeバッテリーも持ち歩きに向いている。ケーブルを持ち運ぶ必要がないし、移動中にカバンの中などで充電するなら、ケーブルよりもMagSafeの方が使いやすいし断線などの心配もなく安全だ。
このようにMagSafe機器を活用すると、「上限80%」の設定でもバッテリー切れは起きづらくなる。
最近はiPhoneの買い換えサイクルも長くなり、1台を使う期間が長くなっている。長く使うなら、バッテリー劣化を防ぐためにも、MagSafeを活用しつつ「上限80%」の設定をオススメしたい。iPhone 16eはMagSafe非対応になっちゃったけど……。